体幹の力

腰骨を立てる、立腰の大切さはこれまで何度も書いてきました。
感情の解放再び<2>

腰骨を立てるためには身体の中心軸である体幹が強くなくてはなりません。
この世はすべてフラクタル(自己相似形)、身体の中心軸である体幹は、心の中心軸である自己をしっかりと確立することにつながり、いつも背中を丸めた状態では自分をしっかりと持つことはできません。
逆もまた真なりで、常に下腹、肛門に力を入れ、口元を引き締め、背筋を伸ばした状態を保っていると、回りの言動に感情を揺さぶられることがなくなります。

腰骨を立てるもうひとつの大きな意義は、五体を十分に活用できるということです。
五体とは頭であり四本の手脚です。

頭の中の脳とお腹の中の腸はともに共生する陰陽の関係です。
この関係を十分に活かすためには、二つを結ぶ背筋を正しい状態に保つ必要があります。

そして四本の手脚を自在に操るためには、その大本である胴体を安定させなければならず、それが体幹力であり、「腰が据わった」「腰が入った」といわれる状態です。

 

熱帯の南インドは至る所で椰子の木が生い茂り、椰子の実も葉も様々な方法で生活の中で活かされています。
この写真は手慣れた様子で椰子の葉を編んでいる女性です。

このたった一枚の写真から、彼女がいかに高い身体能力を持っているのかが分かります。
しっかりと安定した体軸、そこから椰子の葉を固定するのに最も適した位置に自然と脚が伸び、その状態のままブレない上半身から出た両手が作業を進めています。

体幹の力、高い同体力が効率のいい手脚の動きを支えています。
効率よく動くから物事をどんどんと捌(さば)いていくことができます。

“捌く”とは、手偏に別けると書きます。
腕が自在に使えるから効率的に作業することができ、そのためには大本である体幹の力、腰骨を立てることが重要です。

 

体幹が安定しているから、腕を自在かつ正確に使うことができます。
インドの児童養護施設の子どもたちの毎朝の日課であるほうきを使った掃除では、そこに描かれる地面の紋様に感動させられます。

南インドのホームの子どもたちの掃除

体幹が安定し、腰も上半身もぶれないので一定の動作を正確に続けることができます。
そしてその結果、地面には竜安寺の庭園のような美しい紋様が残されます。

南インドのホームの子どもたちの掃除

インドでは、大人も子どもも身体の動きがとても美しく、いつもその動作に見とれてしまいます。
掃除をするイングリッシュ・ミディアムに通う女の子たち、ほうきは椰子の葉の軸を束ねただけのもので、使う時は腰をかがめる必要があり、それを上手に扱っています。

南インドのホームの子どもたちの掃除

 

こういった身体の使い方ができるようになること、これが真の体育です。

『教育の基本は立腰にあり』
プロパガンダメディアに洗脳され、他人の顔色ばかりを窺う忖度社会に染まった日本人が、真の日本人精神を取り戻すためには、健全なる精神の支えとなる身体文化を復活させる必要があります。

ネットで古き良き日本のそば屋の出前持ちの写真を見つけました。
たぶん昭和二十年、三十年代の写真だと思われます。
この頃の身体文化、戦後の占領政策によって失われた日本の文化を取り戻すことが新生日本、新たな心の時代をリードする日本の役割を導く大きな力になるものと信じます。

そば屋の出前持ち そば屋の出前持ち そば屋の出前持ち