フラクタルとは、日本語で自己相似形という意味です。
ひとつのものを大きく全体で見ても、小さく部分的に見ても、そこに共通した形や性質を有するということです。
自然の中にあるものは、木、山、雲、海岸線、様々な造形が、このフラクタル性を持っています。
いくつか具体的な例をみてみましょう。
大きな樹は、その全体の姿も、大きな枝から伸びる小枝、小枝から伸びる葉っぱ、そしてその葉っぱの上にある葉脈も、すべて同じ放射線状の形を持っています。
カリフラワーの仲間のロマネスコ、太古から繁茂するシダ類の葉も、とても分かりやすいフラクタル形状をしています。
ロマネスコ と シダ
もっともっとスケールを大きく、また小さくしていくと、ミクロ世界の原子の構造と宇宙にある太陽系の構造も、核となる中心の周りを電子や惑星が周回するというまったくの相似形です。
原子 と 太陽系
下の写真は、左はネズミの脳内にある神経細胞、右はコンピューターシュミレーションによって宇宙が進化、成長する様子を描いたもので、驚くほど酷似しています。
このように自然の中にあるものは、そのスケール(大きさ)を越えてフラクタルであるものが数多く存在します。
先に述べた生命の本質を表わす二重らせん構造も、遺伝子DNAというミクロ(極小)の世界から歴史の流れというマクロ(極大)の世界まで、スケールを越えたフラクタル構造です。
さらには遺伝子DNAは空間に存在し、歴史や気候の変化といった二重らせん構造は、時間と文明の興亡、気温というまったく異なった座標軸の上に成り立っています。
つまりこの生命のフラクタル性は、時間、空間、その他様々な枠組み(パラダイム)をも越えたものなのです。
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