循環

お釈迦様が『諸行無常』と説かれたように、この宇宙にあるものは、すべて時間の流れとともに移ろい、姿を変えていきます。
それはすべてのものが周りの何かと共生関係を持ち、その影響を受けているからです。

東洋では、共生は陰陽思想で示され、同様に循環は五行思想というもので表されます。
五行とは、この宇宙にある万物を木・火・土・金・水、この五つの要素で表したもので、この五つの要素である五行が、循環するように互いに活かし合い、滅し合っています。
下の図は、左は五行が活かし合う相生図、右が滅し合う(克する)相克図です。

五行図

 

相生図は、木が燃えて火が生じ、火でもって物質は灰となって土を肥やし、土の中から金属が生まれ、金属(ミネラル)が水を活かし、水が木を育てる、こういった活かす関係を示しています。

相克図は、木は土の養分を吸い取り、土は水をせき止め、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属でもって木は切り倒されるという、相手の性質を滅する関係を示しています。

相生図と相克図、これも二つでひとつの循環を表す共生関係です。
ここで注意しなければならないのは、活かす関係が善で、滅ぼす関係が悪ではないということです。
生まれるものがあって滅びるものがある、この二つがバランスよく存在し、循環することによって調和が保たれます。
人間も赤ちゃんが生まれるばかりで死ぬ人がいなければ、地上に人間があふれてしまいます。

陰陽思想と五行思想が合わさり、陰陽五行思想と呼ばれます。
これはあまり身近でないと感じられるかもしれませんが、一週間の月火水木金土日、この七日間は、月はお月様で陰、日は太陽で陽を表し、残りの火水木金土は木・火・土・金・水で五行です。
つまり一週間の曜日は陰陽五行で成り立ち、共生・循環の理を表しているのです。

陰陽五行で一週間

 

この宇宙のすべてのものが共生しているのと同様、すべてのものはまた循環しています。
そしてその循環の様子が形としてハッキリと見られるものが数多く存在します。

竜巻や台風、海流、渦を巻く銀河、貝殻、植物のつる、人体においても、頭のつむじ、脳、腸、指紋、内耳、胎児の姿などです。

自然の中の渦

循環は単純な回転ではなく、渦を巻きながら変化、進化していきます。
人類の文明は、東西二本の文明波がらせん状に進み、少しずつ進化を重ねてきました。
季節も四季を繰り返しながら、一年後に同じ季節が巡った時には、前年とは周りの環境、条件は必ず変化しています。

循環し続ける宇宙において、繰り返す循環のリズムは一定でも、時とともにそこに表れる形や現象は常に変化、進化し続けているのです。

生物も個体としての誕生と死を繰り返し、新たな子孫へと生のバトンを受け渡しながら、生命の循環によって種としての生命を保ち続けています。
その子孫を残すため、一部の微生物や植物を除き、ほとんどすべての生物は男女、オスメスという二つの性を持ち、有性生殖を行っています。
有性生殖は、両親の遺伝子を半分ずつ受け取って新しい個体を作るため、そこで多数の遺伝子組み合わせのパターンが生まれ、多様性を得ると同時に環境に適応した個体を作ることができます。

二つの性による有性生殖という共生関係は、循環による変化、進化を助けていて、どちらもなくてはならない関係と役割を持っています。

生命の循環と共生

 

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