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トリチーでの日常_6

トリチーでの日々は怒濤のごとく流れていきます。
ものすごく楽しい反面、子どもたちといる間中すべての子どもたちから声をかけられ、心臓がバクバクするほどのストレスも同時に感じます。
そんな中、自分がどこまで真摯に子どもたちと向き合えるのか、それを試され、己を見つめる機会を与えられているのだと感じます。

子どもたちと一緒に学校から帰り、ひとしきり戯れ、その後全員で礼拝堂で夜の礼拝を終えた後は子どもたちの学習時間です。
そこでようやく解放され、夕食時間の8時半までの約二時間、自分の部屋で過ごします。

たいていはそのタイミングで隣の部屋の運転手のサロナがやって来て、その日に撮った写真などを見て過ごします。
サロナが新しいディスプレイを買ったと言ってスマホの画面を見せてくれました。

パナソニック、嬉しいことに日本製です。
自分が現在常用しているカメラがLumixで同じパナソニック製なので、同じ会社のものだと言って喜び合いました。
サロナによるとディスプレイのトップブランドはソニー、二番目がパナソニックで、韓国製はイマイチとのことです。

価格は9000(8999)ルピー、約15000円、先日200個買ったアイスクリームと同じです。
サイズは22インチですから妥当な価格でしょう。

そのサロナがいろんなことを下手な英語で話しかけてくれて、少しずついろんなことが分かってきました。
昨日一緒だった子どもたち二人、ミシャンティニという女の子は通っているイングリッシュ・ミディアムの学校がお祭りの関係で二日間休みだったとのこと。

男の子のアレックス、彼は今日もずっと一緒ですが、彼には両親がなく、10学年の最終試験を終えた今も二歳年下で8学年の妹プレアダッシニーが試験を終える4月10日を待っているそうです。
そして11日に親戚が迎えに来て、その時に二人して田舎に帰るのだそうです。

二年前に撮った妹のプレアダッシニーの写真です。
作って上げた折り鶴を大切にケースに入れ、学校に持って行くカバンに収めてくれていました。

この写真を撮った時は本当に嬉しかったですね。
子どもたちはみんな折り鶴のことをコックー(鳥のこと)と言ってとても大切にして喜んでくれています。
その上ここまで大切に扱ってもらうと感激です。

そして今、彼ら二人には両親がいないと知り、より一層感慨深くなりました。
子どもたちはほんのささやかなことに大きな喜びを感じてくれます。
そのささやかな喜びがこのホームにいると大量に押し寄せてきて、時としてそれをぞんざいに扱ってしまうことがあるのですが、やはりそれは厳に戒めなければなりません。
それが少しでもできるようになること、それが自分がこの場所にいる最大の課題であり目標です。

サロナによると、ホームにいる子どもたちの半数は両親がいて、30%の子どもたちは母親か父親どちらかの片親で、残りの20%の子どもには両親がいないとのこと。
また両親のいない子どもでも休みの期間は田舎に帰り、保護者のいない子どもはいません。

ですからホームは児童養護施設であっても孤児院ではありません。
日本で同様の外国の施設を、○○孤児院を運営しています、□□孤児院を訪ねました、と紹介されているものをよく目にしますが、とても違和感を覚えます。

 

現在子どもたちは最終試験の真っ最中で、子どもたちから「コスチンペパー」がなんたらかんたらと強く要求されます。
最初はなんのことかまったく分からなかったのですが、彼らインド人が発音する “コスチン” とはクエスチョンのことで、試験の問題用紙をネットで見せて欲しいとのことでした。

一体全体どうなっているのかまったく分かりませんが、各学年教科ごとに問題用紙がアップロードされています。
こんなのです。

最終学年のものではなく、これで進路が決まるわけではないので、ゆるい感じのものなのでしょうか、または模擬的なものなのでしょうか。
ともあれ子どもたちはみなiPadやスマホの画面に釘付けです。

 

なるべく子どもたちの普段の様子を写真に撮ろうと思っても、いったんカメラをカバンから出すと自分の写真を撮れ、友だちと、兄弟で、一枚だけ・・・、と撮影要求が止めどなく出てきます。
特に男の子たちは猛烈な勢いで集団で押し寄せてきて、自然な状態の写真を撮ることは至難の業です。

と言うことで、みんな平等になるよう、子どもたち各一枚ずつ写真を撮って印刷してあげることにしました。
それでもやはり大騒ぎで、何度も写ろうとする子がいて大変です。

ドローイングという絵を描くこともひとつの試験科目になっていて、この子はそのドローイング作品と一緒に写真を撮りました。

これはインド人がよくするスケッチというポーズだそうです。

女の子たちも仲良くグループフォトで。

時々こんな楽しい写真が撮れるのが面白いです。

嬉しいことにブラザーとの写真が欲しいと何度も言われ、何枚かセルフィーを撮りました。
一眼レフカメラのバリアングル液晶画面で撮ると、ついついみんなレンズではなく画面の方を見てしまいますね。

撮った写真は学校近くの写真スタジオで印刷してもらいます。
その場でエプソンのカラープリンターを使った印刷してもらうと1枚20ルピー、30円ちょっと、ハガキサイズの大きさで、一枚ずつフォトショップを使って色調補正などをしてくれます。

大量に印刷する時はトリチーの町でするそうで、朝出して夕方受け取り、1枚10ルピーです。

子どもたちにとって写真はものすごく大切でかけがいのないものですから、その思いを大切にして上げたいと思います。
けどみんなその要求度合いがものすごいので、ホント体力をすり減らしますよ。