心象風景

St. Boniface Anbaham 2008

これまでの人生で、たくさんの写真やビデオを撮ってきました。
デジタル時代になってからはそのほとんど、それ以前、幼少期からのものは抜粋した一部のものをデジタル化し、パソコンの中に収めています。

最近は旅行や講演会などで写真やビデオを撮影することが多く、その後のパソコンでの処理が得意なこともあって、周りの方は自分のことを半ばプロカメラマンように認識してくださることがあります。

けれど本当は写真の撮り方などまったく勉強したことがありません。
ただほんの少し、他の人よりもコツとなるものを知っているだけです。
それでも上手だと誉められるのは嬉しいもので、その言葉を励みに、少しでもいい写真や動画を撮りたいと努力しています。

昨日は車椅子介助のほのぼの広島会の会合があり、その席で、昨年秋に撮った車椅子の方たちと広島の縮景園や広島城を巡った際の動画を披露させていただきました。
これは車椅子の方にも気軽に広島観光に来ていただきたいという願いを込めて撮ったものです。
露出をオーバー気味にしてしまいましたが、まだご覧になっていない方は是非ご覧ください。

これをみた皆さんからカメラワークが上手だとのお言葉をいただき、とてもハッピーでした。(^_^)/

 

可愛い南インドの子どもたちの元にはもう九回足を運び、その間たくさんの子どもたちの笑顔を撮り、子どもたちにも大喜びしてもらいました。

インドの人たちってとても写真好きでオープンなんです。
学校でも児童養護施設でも路上でもマーケットでも、どこでもカメラを向けるとみんな喜んでそれに応えてくれます。

持っていく機材もその間少しずつ進化してきました。
最初に訪れた2008年は簡単なコンデジ(コンパクトデジカメ)ひとつだったのが、今は一眼レフにiPadとパソコン、スマホとなり、その場で撮った写真をiPadで大きく見せることも、その写真をカメラ屋さんに持っていってプリントしてもらうのも簡単です。

今年はさらに進化し、重いパソコンは荷物に入れず、iPadにその代りをさせようと考えています。

 

カメラやビデオ機材が進化し、写真もよりきれいで解像度の高いものが撮れるようになりましたが、いい写真や動画を撮るために最も大切なものは被写体であるという事実が変わることはありません。

12年前の2008年、最初に南インドのホームを訪ねた時に持っていったのは、ニコンの簡単なコンデジです。
もう型番も忘れてしまいました。

コンデジにメモリーカードを一枚入れ、それで動画や写真を撮り、撮った写真を確認するのは本体に付いている小さな液晶画面で、写真を撮った後、子どもたちはそれを見たがってカメラに群がってきました。
これがそのコンデジで撮った動画です。

今の基準からするとあまりキレイではありませんが、もうこれで十分ですね。
今このページのためにこの動画をアップロードし、久し振りに当時の子どもたちの笑顔を見て、懐かしくてジーンときてしまいました。

ホント、なんて可愛いんでしょうか!!
もうこの上ありません。
子どもたちが「ブラザー・カッティンゲー」みたいなことを言っていますが、カッティンゲーとかカニゲーとかいうのは、現地の言葉タミル語で「見せて」という意味だそうです。

2008年はちょうど一ヶ月間インドにいて、このホーム以外、日本山妙法寺サンカランコービル道場やそこのお坊さんたちとともにスリランカも訪ね、経由地のマレーシアを含め、写真だけで1100枚ほど撮りました。

その写真や動画を日本に戻ってからパソコンに入れてあらためて一枚ずつ確認し、自分で言うのも何ですが、その写真の素晴らしさに感動してしまいました。

それは自分の写真撮影の腕が素晴らしいからではなく、被写体である子どもたちの笑顔が光り輝き、その喜びを全身で表現しているからに他ありません。
写真で最も大切なのは被写体、そのことを強烈に教えてもらいました。

これらが2008年にコンデジで撮った写真です。

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思い出は、それぞれの人の胸の中におぼろげにあるもので、写真や動画はあくまでもそれを引き出してくれるひとつの手段です。
そしてそれは他人が初めて見たものであったとしても、その人の心象風景と重ねて感じ取るのだと思います。
ですからその写真や動画が数千万画素、4K動画ではなくても、もう十分に“リアル”です。

そのリアルさは、ピカソや谷内六郎の絵のリアルさに通じます。

谷内六郎

 

なぜ今日このようなことを書いたかというと、Twitterでフォローさせてもらっている素晴らしい写真家岩倉しおりさんのこのツイートを見たからです。

この心暖まり、そしてなんとなく懐かしい写真、これはまさに谷内六郎の現代版、写真版であるように感じます。

ここに書かれているように撮影機材は関係ないですね。
逆にそこに囚われていると、本当に心打つ写真を撮ることはできません。

そしてまたほんの少しぼやけているからこそ、逆にリアルに感じ取れることもあるのです。

 

たくさんの写真や動画とともに、自らの心に秘めた心象風景を大切にしていきたいと思います。