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インドのアルコール

アルコール

日本語の「酒」は「神に捧げる水」の意味、飲み過ぎると身体を壊したり社会的にもまずいことになったりしますが、適量ならば人を幸せにし、『酒は百薬の長』と言われるように人生を豊かにしてくれます。 

ですから冠婚葬祭、宗教行事などでもお酒は欠かすことができません。

けれどここインドではまったく事情が異なり、お酒は堕落した人生へと導くろくでもないものであり、酒飲みは悪い奴で悪い奴は酒飲みと相場が決まっているようです。

インドの田舎は外国人が一人で出歩くのは危険だとよく言われます。
その時は財布、カメラに気をつけろということとともに、かなりの確率で
「あそこは酒を飲んでたむろしている奴らがいるから」
と、やはり酒飲みが悪い人間の代名詞のように語られます。

 

それでも州によって酒の扱い方は異なります。
インドは指定言語が22、州の公用語が18もある国で、州が違えば言葉が異なり、まるで外国のような雰囲気です。
これはほぼ単一民族国家の日本からは想像もできません。
同じ国民同士が違う言葉を話し、逆に外国なのに同じ言葉を話す人たちがいるのですから・・・。

今いるインド最南端タミルナド州では、お酒を求める暴徒がいて、酒の販売は政府管轄の店で鉄格子を隔てた状態で売られています。

インド サンカランコービルの酒屋

今いるところの一番近い町コッターラムの店は以前は幹線道路沿いにあったのが、今は風紀の問題で町の片隅に追いやられています。
それぐらい酒屋は厄介者扱いです。

けれどインド二番目の大都市である商都ムンバイでは、お酒を綺麗に並べてオープンな状態で売られているので驚きました。

インドムンバイの酒屋

どこの国に行っても思うことですが、お酒はその国の文化であり、その土地の気候風土にマッチしています。
軽く爽やかなテイストのバドワイザーは、アメリカ西海岸の抜けるような青空の下で飲むと最高です。
中国の紹興酒は、あの濃密な街の空気の中、こってりとした中華料理とよく合います。
日本も一時期コクのあるキリンビールが大きくシェアを落としましたが、その一因として日本の畳、茶の間文化の衰退があるものと感じます。

インドは残念ながら酒は忌み嫌われる存在であり、その中で美味しい酒が生まれるはずがありません。
最近飲んだキングフィッシャービールはかなり日本のビールに近づきましたが、洋酒系はイマイチです。
それでもインドのお酒の値段は日本より少し安いかなといった程度で、所得水準からすると高級品です。

キングフィッシャービール

これまで何度かインド人と一緒にお酒を飲んだことがありますが、彼らはウイスキーでもショットグラスに入れて一気にクィッと飲んでしまいます。
たぶんアルコール分解酵素をしっかりと持っているのでしょう、ですからそんな彼らがアル中になったら大変です。

インドでは高濃度のアルコールを求め、有害なメチルアルコールを飲んで百人前後の人たちが亡くなるという飲酒事故がたびたび起きています。

インド メチルアルコール死亡事故

 

そんなインドでロックダウンによる隔離生活を強いられ、ちょうど二ヶ月間の禁酒生活を過ごしました。
こんなに長い間お酒から遠かったのは成人して以来初めてです。

そこに救いの手が!!
スギルタンのところに来たお客さんが、海外に行ったお土産として免税店で買ったシーバスリーガルを持ってこられ、それをスギルタンが部屋に持ってきてくれたのです!!

スギルタンもペットボトルに入れて少しだけ持っていき、もうかなり減りました。
横にあるのはツマミにしているピーナツです。

シーバスリーガル

スギルタンは病み上がりなので今はお酒はほとんど飲むことができません。
その代わり、自分の部屋には空になって酒瓶を百本ぐらいコレクションしていて、次回渡印時にはしゃれたお酒をプレゼントしようと考えています。

二か月ぶりのウイスキーは最高でした。
最初の一口飲んだら笑いが止まらなくなったぐらいです。(*´∀`)♪

 

インドの酒屋はこのロックダウンに伴ってすべて閉店しています。
けれどアルコールがないと病的症状を発するアル中の人がいるので、そういった人には特別な許可を出してアルコールを販売していると聞きました。

今日はそんなアルコールについての話題がネットニュースに出ていました。

アルコール

‘Alcohol can clean throats of virus’: Rajasthan MLA wants liquor shops to reopen – The Week

「アルコールはウイルスに汚染された喉をキレイにする」
なんとも素敵な見出しです。

アルコールがインドでは忌み嫌われた存在であっても、そこから得られる税収は各州にとって貴重な財源です。
それを確保するためと、偽アルコールによる健康被害を防ぐため、さらにはアルコールによって手を洗い、喉を潤すことでウイルスを除去できるので、ロックダウン中でもアルコール販売を再開すべきだと説いています。

 

喉や口から侵入したウイルスは喉にしばらく留まるので、それを気管から肺へと入れないよう、15分おきに少量の水やお湯を飲んで消化器系に流すのがいいとする説があります。
これが本当に有効ならば、是非それを確かめて多くの人、特に医療関係者の方たちに伝えていただきたいと願います。

それと同様にアルコールもウイルスを除去できるとしても、一日中お酒を飲み続けることはできないので、少し無理がある話のように思えます。

インド人は体力があり、歌や踊りが大好きな陽気な民族で、いったんアルコールの味を覚えたらそれにはまってしまう危険性があるのかもしれません。

 

コロナ禍によって環境改善が進んだムンバイでは、例年以上に大量の約15万羽ものフラミンゴが飛来してきているそうです。

ムンバイのフラミンゴ

こんな景色を眺めながらお酒が飲めたら最高ですね。
お酒は適度に楽しみ、いい関係を保ちたいですね。