帰国難民

インド武漢肺炎感染者数

今日のニュースで、現在外国にいる日本人で日本への帰国が困難な帰国難民が約4000人いると報じられていました。

茂木敏充外相は3日の衆院外務委員会で、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた各国の国境閉鎖措置などにより、海外から帰国できない状態となっている日本人が約50カ国に4000人いると明らかにした。

4000人いる帰国難民、自分もその中の一人だと思うと胸が痛みます。

 

ここインドに入国したのが一ヶ月少し前の2月23日、その後数日のうちにアライバルビザ、通常のビザともに発給停止、無効化となり、入国している外国人は移動も自由にできないようになりました。

日本では外国人の入国審査がいくら厳しくなっても、それで入国後に差別的待遇を受けることは絶対にありません。
けれどそれは先進国の論理であり、インドでは通用しません。
公的に許されていることでもそれがすべてではないのです。

日本人がいるのが見つかると警察に捕まって二週間病院に入院する必要がある、一緒にいるインド人も同様に二週間隔離され、家は消毒されて立ち入り禁止になる、・・・いろんな噂レベルのことを言われましたが、幸い周りにいるインド人たちはとても親切で、それらのことはすべて杞憂に終わりました。

今はインド最南端のカニャクマリという町にいて、先月25日に発令された外出禁止令(ロックダウン、都市封鎖)に従い、知り合いの家で4月15日にロックダウンが解除されるのを待っています。

 

ここは南国の木々が生い茂る数千坪のミニ植物園のようなところで、懇意にしているインド人たち二家族が暮らし、毎日食事を提供してもらい会話を楽しみ、まったく何不自由ありません。
逆に日本にいる時よりも快適です。

けれど世界には見知らぬ土地で突然のロックダウンで身動きが取れなくなり、困り果てている人たちもいるようです。
現在外出制限を受けている人は世界で39億人超、これは世界の総人口の半数以上に上る大変な数字です。

インドでは帰国難民の日本人を対象にJALが4月3日と4日にデリー・羽田線の臨時便を飛ばすことになり、道路封鎖を突破して車で向かうための「通行許可証」も在印日本大使館のホームページからダウンロードできるようになっています。

首都デリーが近ければ自分もそれにと思いますが、ここからデリーまでは直線距離で2200キロ以上あり、それは不可能です。

ここインド最南端タミルナド州にはマレーシア人がたくさんいて、その人たちのためにマレーシア政府が用意した飛行機が、州都チェンナイやトリチーから出るそうで、各国それぞれの事情に合わせた対応をしています。

 

本当に4月15日にロックダウンが解除されるのかどうか今はまだ分かりませんが、解除後はなるべく早くチェンナイに移動し、飛行機を予約した上で帰国の途につく予定です。

今いるところはインド最南端、州都チェンナイはタミルナド州のほぼ北東端にあり、約700キロの距離があります。

タミルナド州地図

ここから300キロほど北上したところにタミルナド州第二の都市マドライがあり、そこに懇意にしているスシルが家族とともにストップしていて、封鎖解除後は彼らとともにチェンナイに行くかもしれませんが、それもまだ未定です。

 

武漢肺炎の勢いはいまだ止まることを知らず、収束の気配はまったく見えません。

インドも最近感染の勢いが急に増してきて締め付けは厳しくなる一方で、ここタミルナド州の感染者数はインド全土で二番目とあまり思わしくない数字です。

インド武漢肺炎感染者数

今でも感染率は日本の十分の一ですが、今のように日本以上に厳しい対応をしなければ、衛生環境が悪く、その概念も低く、トイレもないように劣悪な環境で識字率の低い人たちが多く暮らすインドでは、感染拡大を食い止めることはできません。

逆に日本のように緊急事態宣言を出さず、強制力のない“お願い”や“要請”で感染拡大を一定位レベルで抑えられているのは世界的に見て驚異です。
(これからは分かりません)

フィリピンなどは外出制限を破ったり抗議集会に参加した者は銃殺するというのですから穏やかではありません。

インドでも勝手に外を出歩く者は罰金が科せられ、乗り物は没収され、日本では考えられないことですが、警官が違反者に体罰を加えます。

今いるところから車で15分ほどの大きな町ナガラコイルでは、先日感染者が三人見つかり、その関連で三つの地区が消毒の上、完全に出入り禁止になっています。

いずれも厳しい措置ですが、こちらの方が今の世界の標準に近いでしょう。

それぐらい徹底されていて、この近所も前の道路も静かなものです。
ただ相変わらず近くの宗教施設からは早朝や夕方に、けたたましくも調子はずれな祈りの声が鳴り響きます。

 

今いるところは南国の楽園で、心身ともにゆったりと過ごすことができ、身体もすこぶる快調で、新陳代謝がよくなる影響でいつものように体重は3キロ以上落ち、ズボンのウエストがダブダブになりました。

ここで豊かな自然に囲まれ少人数のインド人たちと過ごす限り、感染の危険性はほとんどなく、日本に戻ることに多少の不安を覚えます。

けれど一般論として、日本はこれまで海外からの入国者によって感染が広がった事実があり、感染危険国もそうでない国もすべての国からの入国者に対し、入国時の対応がより厳しくなるのは致し方ないことです。

そのため、インドで足止めを食らっている間に新たなルールが決まりました。
4月1日に発令された日本において「水際対策強化に係る新たな措置」というものです。

●全ての国及び地域からの入国者に対する検疫強化(日本国籍者も対象)。
(1)空港の検疫所において、質問票の記入、体温の測定、症状の確認などが求 められます。
(2)入国の翌日から起算して14日間は、検疫所長の指定する場所(ご自宅や ご自身で確保された宿泊施設等(※))で不要不急の外出を避け、待機すること が要請されます。
※自宅等への移動は公共交通機関(鉄道、バス、タクシー、航空機(国内線)等) を使用せずに移動できることが条件となりますので、事前にご家族やお勤めの 会社等による送迎、ご自身でレンタカーを手配するなどの移動手段の確保を行 ってください。

幸い関空から出る手段は確保できそうですが、当面は大人しくしている必要があります。

 

今日本は感染が急拡大するかどうかの瀬戸際、あるいはその直前といった状態です。

高いモラルを持つ日本人の気質に頼ることなく、今この段階でより厳しい宣言を発令するべきだと強く思います。