石谷上人一行

この南インドにご縁をいただいたのは、
日本山妙法寺サンカランコービル道場の石谷政雄上人と出会ったことがキッカケです。

その石谷上人一行が、思いがけずスレッシュのホームに来られました。
現在建設中の仏舎利塔が完成に近づき、
その四面に据える仏像とガンジー像を作るため、
チェンナイ近郊の町を訪ねるのが目的です。

前日の夜にサンカランコービルを寝台列車で出発し、
マライマライナガールの駅に早朝5時に着かれました。
石谷政雄上人、木村千草庵主さん、そして初めてお目にかかる仏師の野沢茂さんです。

スレッシュの息子タンビを運転手に自分を含め、
一行六名でマーマラプラムという町に向かいました。
ここは石の彫像で有名な町です。

町の道路脇にはたくさんの彫像を作る工房が建ち並び、
その奥に建築と彫像を教える州立大学があり、
まずはそこの学長を訪ねました。

学長としばらく話をした後、
学長は昨夜知り合いにご不幸があったとのことで葬儀に出かけられ、
また午後に出直すことになりました。

その間、まずは校内を回って生徒さんたちの実習を見学させてもらいました。
教室の中にはたくさんの作品が並んでいます。

そのほとんどがヒンディーの神様で、女神の姿が目立ちます。

この部屋では木像を作っていますが、インドの彫像は石像が多いようです。

美しい彫像を作るには、基礎となるデッサンが欠かせません。

まだまだ時間は十分にあるので、
町の彫像を作っているところを見学に行きました。

このガンジー像はイラストチックというかユーモラスというか・・・、
こういった感じの像が多いようです。

グラインダーで彫像を彫る職人さん、
その手元のグラインダーには身を守るためのガードは付いていません。
しかも裸足です。
こんな光景、日本では絶対に見られません。
大手の現場でこんなことをすれば、即入場禁止です。

インドの彫像は筋骨隆々、グラマスなものが多く、女神の胸も豊かです。
ちよっと叶姉妹を思い出しました。

日本の狛犬の原型でしょうか。
けれど左右の像の口の開き方が同じで、陰陽、あうんの関係になっていません。
他にも同じようなものがあり、それも口の開きが同じで、
片方には牙があり、もう片方には牙がありませんでした。

インドで人気の猿神ハヌマーン、口元の盛り上がり方がすごくて、
猿というより犬に近い感じです。

仏像のお顔の表情、衣にはその国独特の特徴があり、
インドではその衣から中国風と思えるものが多くあります。

町には彫像をテーマにした公園があります。

広島の希望の花、そしてインド原産である夾竹桃がいたるところで咲いています。
こんな真っ赤な夾竹桃は広島ではあまり見かけないような・・・。

これはインドでよく見かけるバニアンという樹、枝から下に向かって根っこが生えています。

公園にいた七面鶏は立派な体格をしたオスたちで、声をかけてかまうと、
なぜか “クルクルクル~” と全羽が同時に鳴き声を上げました。

夕方近くになって大学に戻り、学長に腕がいいという職人さんを紹介していただきました。
意外と若い方です。(奥の紫のシャツの方)

その職人さんの工房で作られた仏像を見せていただきました。
日本人的感覚に合う美しい仏像です。

インドでは何かひとつ事を運ぶのにものすごく手間がかかります。
思うに初めて南インドを訪ねた11年前の2008年、
あの時は日本山妙法寺サンカランコービル道場の開闢法要で、
お仏壇に置く仏像が法要前日の深夜に届き、
その場にいた全員で金箔を貼りました。
あんな経験は二度とできないでしょう。

この後石谷上人一行はチェンガルパッドの駅から再び寝台列車に乗って帰路につかれました。
日本山妙法寺のお上人さんたちはいつも超ハードな強行軍で頭が下がります。
このたびは期せずしてお会いでき、またいい経験をさせていただきました。

南無妙法蓮華経