乳牛贈呈

one cow is for one kid

この春南インドを訪ねた際、HIVの子どもたちや貧困家庭を支援するSSHという団体を訪ねました。
<SSH 忘れられない日>


<SSH(Society for Serving Humanity)>

あの日子どもたちやご家族の方たちから受けた歓迎、HIVの子どもたちの優しい微笑み、ぬいぐるみをあげた時の喜びの顔、その子どもたちが暮らす粗末な家、・・・ひとつひとつが忘れられない、また忘れてはいけない大切な思い出です。

インドは世界で最も労働に従事する子どもたちの数が多い国で、その数は6000万人とも1億1500万人とも言われ、正確な数字は分かっていません。

また路上で生まれ、生涯路上での生活を強いられる人たちも多く、乞食を生業とする人の中には少しでも施しを多くもらうため、幼い頃に眼や手脚に意図的な障害を負わされるということもいまだ現実として行われています。

伸びゆくアジアの中でも経済発展の著しいインドではありますが、貧しい人たちは依然貧しいままで、日本と同様、貧富の差はますます広がりつつあります。

そんな貧困の連鎖から脱するためには、これまで十分な教育機会を与えてもらうことのできなかった子どもたちに適切な教育の場を与え、低賃金労働から脱する方法を自らつかみ取る力をつけてあげることが必要です。

 

そんな支援の方法として、フォスターペアレントというシステムがポピュラーです。
フォスターペアレントというのは養父(母)、里親という意味で、ある特定の子どもの里親になり、その子を養育するという目的で毎年一定金額を支援するというものです。

自分の行く児童養護施設はドイツのキリスト教団体の援助を受けて運営しており、そこでは子どもたちが生活するコテージの入り口に子どもたちの顔写真や名前、生年月日とともに、その子の里親となるドイツ人の名前が記されています。

五年前に三ヶ月半駐在したコスモニケタンという小・中学校は、大阪のアジア協会というところが運営資金を出していて、そこもやはり会員からの資金提供が受けやすいようにということで里親制度に切り換え、自分はその準備をしました。

 

里親になった人には里子の子どもたちから定期的に手紙をもらったりして、その成長を楽しみに見ていくことができますが、一定の金額を何年間にも渡って送金するというのはなかなか大変です。

またその支援金も以前は年間一万円程度だったものが、今は貧困国の物価上昇に伴って金額が上がってきています。

 

この春SSHを訪ねた際に提案いただいた支援方法は、現地からアップした「牛一頭で人生が変わる」というページにも書いたように、毎年定額を支援金として送るのではなく、金額はそれより多くなるものの、貧困家庭に乳牛を一頭贈り、その収益金で子どもたちに教育を受けてもらおうというものです。

one cow for one kid

上の画像に書いている通り、乳牛は一頭約40000ルピーで、今日10月25日現在、インドの通貨1ルピーは1.53円、つまり乳牛一頭が日本円で61200円です。

乳牛の搾乳期間は約十年です。
インドは州によって学制が異なるようですが、自分の行くインド最南端タミルナド州は日本の小学校にあたるプライマリースクールが7年、その上のハイスクールが3年、計十年間が義務教育期間で、ちょうど乳牛から乳が採れる期間と同じです。

牛からは毎日10から15リットルの牛乳を採ることができ、そこから干し草を買ったりする経費を差し引いた利益で一人の子どもが学校に通えるという計算です。

この金額が学資として十分なものなのかどうかは分かりませんが、貧しい家庭にとっての希望の光となることは間違いないでしょう。

この春訪ねた貧しい村での子どもたちの姿、質素な生活の中、なんとかそこから脱したいと願って上の学校への進学を希望するもののそれも叶わぬ夢・・・。
そんな子どもたちにほんの少しでも喜びの種を分け与えてあげたい、それが自分の胸の奥から湧き上がってくる思いです。

 

『一頭の乳牛で一人の子どもの人生が変わる』
『one cow is for one kid』(一人の子どもために一頭の乳牛を)

とてもキャッチーなコピーで、これなら多くの人に訴えやすいと感じます。
一人でも多くのインドの貧しい子どもたちを貧困、不幸の連鎖から救いたい、一人でも多くの日本人にインドに関心を持ってもらい、支援の手を差し伸べてもらいたい、その願いをこの活動にかけてみます。

と言うことでまずは自分から、自己資金で乳牛一頭を贈ることにしました。

そしていざ送ろうとインドへの送金方法を調べると、最近法律が変わり、海外への現金送金の際には自分のマイナンバーを入力しなければならないということが分かりました。
けれどマイナンバーカードは持っていないので、まずはそれを取得しなければなりません。

こういった行政手続きは大の苦手です。
少し時間を取って役所に出向いて手続きをし、その後一ヶ月ちょっとで手元にカードが届きました。

そうすると今度は知り合いから自分も乳牛を贈呈したいという嬉しい申し出があり、その方といろいろ相談し、その方と合わせて二頭分をSSHから指定された送金方法で今日無事お金を送ることができました。

Support children infected and affected by HIV/AIDS
<Support children infected and affected by HIV/AIDS>

これまで準備でいろいろ手間取ってきましたが、クレジットカード決済だとあっけないほど簡単です。
なぜか途中でマイナンバーの入力も求められませんでした。
社会福祉関係の支援金だからでしょうか、不思議な感じです。

乳牛は一頭40000ルピーなので二頭で80000ルピー、今日のレートで約122400円。
送金はアメリカドルとなり、1ドル108円ちょっとなので1130ドルぐらいです。
なので二頭分として1150ドル送金させてもらいました。
たぶん先方の受取金額は81400ルビーぐらいでしょう。

 

来年も今年と同様二月か三月頃にインドに行く計画で、その時には今日一緒に乳牛を贈った方も同行される予定です。

送金した後SSHにその旨報告をすると、すぐにメールで来年も是非来てください、何人でも大歓迎ですという嬉しい返事がありました。

今お陰様で少しずつインド支援の輪が広がりつつあります。
この流れで来年の渡印時にはさらなる盛り上がりがあるものと思います。
できれば何人かの人たちとインドに行きたいですね。

やはり実際に南インドに足を運んでもらい、その様子を自分の目で見てもらうと気持ちが入ります。
そして支援すべき貧しい人たちの中に、自らが学び取れる要素がたくさんあるということに気付いてもらえるでしょう。

 

最後にこの乳牛贈呈活動のために作ったチラシをご紹介いたします。
PDFファィルA4用紙での印刷も可能です。(画像をクリックしてください)

乳牛贈呈

貧しいインドの子どもたちへの支援、これを自らの天命としてこれからも取り組んでいきます。