ネットで広がる世界<2>

三上晃先生

今から四十年近く前、社会人一年生として公文教育研究会に入社した時、新卒の同期に混じって中途採用で学研から出版のスペシャリストとして八重野充弘さんという自分より少し年配の方が入っておられました。
立派な顎髭を蓄えられたいかにも業界人といった方で、これはネット上にあった近影です。

八重野充弘

入社して七年で公文を退職したその何年か後、たまたまテレビで八重野さんのお顔を見かけました。
肩書きは日本一のトレジャーハンター、つまり埋蔵金などのお宝を探し求める第一人者としてご活躍されているようです。

最近はテレビを全く見ないので分かりませんが、二十年以上前の当時は、そういったお宝探しがよく話題になっていました。
夢のある時代です。

地下に埋もれたものを探すのは、地中に根を張る植物さんの最も得意な分野です。
植物の超能力を研究しておられる三上晃先生は、いつも徳川埋蔵金のありかが分かると話しておられたので、三上先生のご研究を幅広く世間に知ってもらうためにも是非テレビで取り上げて欲しいと八重野さんに連絡をとりました。
下の画像はたけしとさんまの特番に出られた時の一場面です。

三上晃先生

その後しばらくして八重野さんがコーディネーターを務める徳川埋蔵金探しの特番が組まれ、そこに登場する埋蔵金探査のスペシャリストとして三上先生も取材を受けることになりました。

その番組に出ているスペシャリストは霊能者や金属探知機を使う技術者で、誰一人埋蔵金の場所を特定することはできません。
けれど三上先生はその場所を具体的に特定していて、後は現地に行って掘るだけという段階です。

それを世に知らしめるのがいいことなのかどうなのか、結局その時はタレントのきたろうが取材に来たものの、撮影に使ったビデオカメラのノイズリダクションの調子が悪くて放送に使えるような状態ではないとのことで、三上先生の登場部分はボツになってしまいました。

徳川埋蔵金を世に出すのは時期尚早だということなのでしょう。
その時はそう理解しました。

 

その頃は、太平洋戦争当時 日本軍が朝鮮で若い女性を慰安婦として強制連行したという吉田清治の虚偽情報が朝日新聞に繰り返し載せられ、日本国民は広くそのことを信じていた時代で、戦争経験のある三上先生もそのことにとても心痛めておられました。

三上先生によると徳川埋蔵金は何兆円にも上る規模で、それは穴を掘って埋められたのではなく、山肌の傾斜地に置いて上から土をかけられたのだとのことです。
そしてこういったものは埋めた人の念が入っていて、これを私利私欲のために掘り起こすのはよくないことだと言われます。

さらに三上先生はこの埋蔵金を、もし過去に苦しみを受けた韓国の従軍慰安婦の方たちへの賠償金に充ててくださるのなら、自分はその場所を公開してもいいとおっしゃってくださいました。

それを受けてその当時真っ先に頭に浮かんだのが前項でご紹介した岡山県の小田圭一県議で、もう細かいことは忘れましたが、電話をした記憶があります。
けれどこんな常軌を逸した話はまともな政治の場に持って行くことは難しく、そのまま立ち消えとなってしまいました。

 

二十年以上前のあの頃は、身近にネットがなく、今のように簡単に情報収集や発信ができる環境ではありませんでした。
それでも今考えると、その中でいろんな人との交流を持っていたことが少し不思議に感じられます。

何事も便利がいいというわけではありません。
人間をはじめとした動物は自由にいろんなところを動き回ることができますが、一ヶ所に根を下ろす植物は自分の力で移動することはできません。
その代わり地中に張った根っこがアンテナとなり、他の植物さんたちとのネットワークを利用してありとあらゆる情報をキャッチすることができる、それが三上晃先生が研究、発見された理論です。

すべてのものはつながっています。
ワンネスです。
人間が暮らす地球もひとつの生命体ガイアであり、そのつながりを感じ取るには、インターネットという機械によるネットワークに頼りすぎることなく、自身の感性のネットワークを磨かなければなりません。

そんなことを超植物的姿勢で生きておられた三上晃先生を思い出すことで感じました。

これからは地球生命体ガイアとともに、すべてのものに生命のつながりを見い出す時代です。
ガイアシンフォニーの龍村仁監督も三上晃先生と共感するところが大きかったようです。