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自分の中のフェアトレード

嗜好というのは年齢とともに変わるものです。
二十代前半の頃までは、コーヒーを美味しいと思って飲んだことはほとんどありませんでした。
それがいつの頃からか時折口にしたくなり、今でほぼ毎日のように飲んでいます。

コーヒーというのは味ではなく飲んだ時の気分を味わうものでしょうか。
家で仕事をする時、横にコーヒーがあるととても落ち着いた気分になります。

今は季節柄アイスコーヒーを一日二杯程度楽しんでいます。
大きなペットボトルに入ったものをスーパーで買い、それに氷を三、四個浮かべ、真空断熱カップに入れて飲んでいます。

この真空断熱カップというのは本当にいいですね。
冷たいものは冷たいまま、熱いものも熱いまま、長時間温度を保ち、カップ表面の温度は一定で結露せず、机の上が濡れることもありません。
近年買ったものの中で最高の逸品です。

 

アイスコーヒーの値段は税別で900mlのものが一本130円程度、最も安い100円前後のものよりも明らかに美味しいので、最近はそれを飲んでいます。

この130円のコーヒー、末端の生産者にはいくらのお金が入るのでしょう。

フェアトレードという言葉があります。
発展途上国などで原料が作られた商品が、搾取されることなく、生産者から販売者まで、その間携わるすべての人々に平等に利益が分配されることを目指すものです。
特に劣悪な環境と低賃金で働かされている末端の労働者の高賃金化と生活改善を目指しています。
<生産者|fairtrade japan|公式サイト>

このフエアトレードで最も多く例に出されるのがこのコーヒーです。
ネットの情報によると、一杯330円のコーヒーで、末端の生産者が手にする金額はわずかその1~3%、3~9円程度とのことです。

この金額はあまりにも低すぎますね。
もしこれが倍になったとしても、単純計算で最終価格は10円も上がらないということです。

たびたび社会問題になっていることなのに、なぜ簡単に解決できないのか。
これが経済の仕組みの難しいところ、一度構築されたものは容易に変えられないというのが社会です。

 

話が大きく飛びますが、国際基準で周波数A=440Hzと定められた現在一般に使われている音階は、人間の整理に合っていないということをたびたび耳にします。
これは意図的にそうさせられたという説があり、あながち誤りではないように感じます。

それに対して愛と調和に満ちた周波数とされるのが528Hzで、このことに気がついたジョン・レノンは、代表曲「イマジン」にこの周波数の音を含ませたというのは有名な話です。

この「イマジン」の動画、すごいです! 理想世界です!

その528Hzの音叉を持っていて、長い間机の中で眠っていたのを、先日久し振りに引き出しから出してその響きに耳を傾けました。

付属のラバーマレットで軽く音叉を叩くと、キーンというとても心地いい音色がいつまでも尾を引くように響き続けます。
音叉を右の耳に近づけたり左の耳に近づけたり、また角度を少し変えてみたりと、およそ数十秒間その余韻を楽しみました。

なんというゆとりある素敵な一時なのでしょう。
心が洗われるとはこういうことを言うのだと思います。

この音叉は手にした当初は何度となく音を響かせていましたが、気がつけば知らないうちに引き出しの奥に寝らせてしまっていました。
もったいないことをしたなと反省です。

 

その時、横にあったコーヒーを見ながらふと思いました。
コーヒーの流通段階で生じる富の不均衡、それを是正するためのフェアトレード、それと同じことが自分の日々の生活の中でも起こっているのではないかということを。

大切なことはみんなが等しく幸せになること、それは国を超えた商取引でも、自分という小宇宙の中での心の持ち方、時間、意識の配分という面でも同じです。

コーヒー豆生産者という最も末端にいる人たちが虐げられているのと同じように、自分の身の回りの様々なものの中にも、もっと大切に扱えばいいのにおろそかにしてしまっているものがあるのではないか。

ほんのちょっとそこに意識を傾けるだけで全体がより幸せになれるもの、それに気付くことなく、ただ目先のことに追われているのではないか、そんなことを感じました。

そのことを気付かせてくれた528Hzの音叉、それが響くほんの数十秒、一日24時間の中のわずか千数百分の一、二千分の一程度の時間です。

こんな小さな宝のような時間をもっともっと大切にしていきたいですね。

 

これはまた時間の第二領域にも関わってくることです。

時間の第二領域とは、緊急性はないけれども重要なこと、将来的な糧となるようなこと、そういったことにいかに意識を向け、時間を割くことができるかということ、これが人生の質を向上させ、これをおろそかにすると、目先のことばかりに追われるということになってしまいます。

 

この世はすべてフラクタル(自己相似形)、大宇宙のマクロの世界から素粒子のミクロの世界まで、すべて調和の取れた関係を築いています。
そしてその間にある自分の身近な世界もまた、ひとつの調和に向けて動いていくことが望ましいと言えます。

これからコーヒーを飲むたびに、そのことに心を傾けていきます。

 

※ より大きな目で見ると、調和と不調和も二つひとつのバランスであり、不調和なものがあるからこそ、そのバランスを取ろうと循環が生まれます。

時空の真理はシンプルですが、それを厳密に語ると常識的範囲の中では一見矛盾に満ちたような形となり、なかなか難しいのです。