まだ夜が明けきらぬ午前5時過ぎ、水場から子どもたちが歯を磨いたり水浴びしたりする声が聞こえてきます。
泊まっているスタッフルームは男の子たちが使う水場のすぐ横です。
水浴びが終わると掃除の時間です。
インドの子どもたちの掃除をする姿、そしてその後に描かれたほうき目の美しさにいつも感心させられます。
ほうきと同様雑草を鍬で刈っている姿も腰を低く落としています。
日本の鍬と比べて柄が短く先端の角度が急なので、必然的に腰を落として作業しなければなりません。
インドのほとんどの道具はインド人の基礎体力の高さを前提に作られています。
みんな写真が大好きで、子どもたちの要望に応えてすべての写真を撮るのは面倒なので、女の子にカメラを渡したら好き勝手に撮りまくっていました。
カメラが壊れないか心配ですが、こんなことで満足してもらえるなら有り難いです。
今男の子のコテージでパソコン作業をしています。
その横でじっとディスプレイを眺めているマギンドランという男の子が、下の写真、右から二番目の女の子マーガレッチミーは彼と双子の兄弟だと教えてくれました。
ホームには双子の子が数組います。
昨日書いた子どもたちのボロボロのカバンとはこんなのです。
インド製のカバンはとにかくジッパーが弱いのです。
この写真をアップロードしていると、横にいるマギンドランが、左の女の子はベリープアー(すごく貧しい)なのだと教えてくれました。
彼女はちょっと縮れ毛で声がかすれ気味なのが特徴で、愛嬌があって当たりが柔らかで、よくキャンディーなんかをくれるとても愛おしい女の子です。
そんな話を聞くいて胸が痛くなりました。
学校に行くとピロがきれいな服を着て校門のところに立っています。
数年前まではとても華奢で可愛い子でしたが、すっかり逞しく(?)なりました。
ほとんどのインド女性は年をとるごと横幅が限りなく拡張します。
ピロのお母さんはかなりの巨軀で、ピロもそれに一歩ずつ近ずくのでしょうか。
軀
ピロになんできれいな服を着ているのかと聞いたら、家に帰るからと答えていましたが、今パソコンの横にたくさん集まってきた男の子たちによると、誕生日だからだということです。
そういえばインドの学校ではそういう習慣があるのを思い出しました。
学校の横を通って町の方へ向かって歩いていると、学校の中から「サッカ~イ」という女の子の声が聞こえてきました。
ホームの女の子がゴミ捨て場にゴミを捨てに来て、自分に声をかけてくれたようです。
そして要望に応えてシャッターを押しました。
校庭はいたるところがゴミだらけ、ゴミ捨て場と校庭の区別がつきませんね。
その校庭の横を通り過ぎたすぐ先に茶屋があってそこでよくチャイをいただきます。
一杯7ルビー10円ちょっとで、いつも砂糖抜きを注文します。
店の軒先にひさしがあるものの、午前中は直射日光がもろに当たります。
右のおばあさんはなぜか英語が堪能で、以前もここで何度か会ったことがあります。
二人に折り紙を作ってあげると「スゴイ!」と喜んでくれました。
けど肩肘ついたままなのがインド的です。
茶屋でほっこりしていると突然車のクラクションが鳴り、車からホームのドライバーであるサロナが顔を出しました。
サロナは極めて陽気な男で、たまたま見かけて声をかけてくれたのです。
トリチーの町まで行くサロナの車に乗り、買い出しに出かけました。
まずは今夕の食事、ティッフィンで出すスイカを買います。
その横でジュースを売っていたので迷わず飲むことにしました。
インドのジュースは激うまなのです。
メロンの果肉をスプーンですくってそれをネットでこします。
そこに激うまのサルバーツという香料エキスを加えるのです。
屋台ですので電気はありません。
ですからミキサーは手動でハンドルをぐるぐると回します。
キルニーフルーツとサロナは説明してくれました。
香り、コク、甘味、すべてが120点、二杯で25ルピー40円で超超激うまです。
こんなのが日本にあれば絶対に毎日飲みますよ。
スイカは電子ばかりに乗せて量り売りです。
ここは牛肉を売る店、これも今夜の食材です。
ホームに戻ると、スタッフたちがクーリーの処理をしています。
これはホームの木から採れるインド料理に欠かせない食材で、子どもたちも総動員して外の皮をむいて調理に使える状態にするのです。
ラスト・イグザム、その日の最終テスト課目を終え、10年生たちが帰ってきました。
ラスト・イグザムは言語の異なる全インド共通で、ネットにテスト問題とその解答がアップされています。
彼らからそれを見せてくれとせがまれました。
夕方子どもたちを学校に迎えに行くと、なぜか顔なじみになった女の子たちから声をかけてもらいます。
サカイという名前は、学校でも町でもいろんなところで声をかけられる有名人です。
インドは昼食と夕食の間にティッフィンという軽食を食べます。
この日のティッフィンはスイカで、残った皮は山羊の餌になります。
またまた花飾りを作る女の子の写真をアップします。
花と女の子、やっぱり絵になります。
右の女の子はプレアダッシニー、インドではポピュラーネームです。
彼女はとても落ち着きのある感じのいい子で、三年前の2016年に撮った下の写真は2017年の年賀状の素材として使わせてもらいました。
プレアダッシニーは右側です。
その年賀状を一昨年訪問時に彼女に渡し、今も大切に持っていてくれているようで、先日それを見せてくれました。
彼女が作る花飾りです。
摘んできた花に子どもたちに大人気のパペットを添えて写真を撮ろうとしてら、彼女がパペットの上にそっと花を置いてくれました。
そのプレアダッシニーも10学年を終え、いよいよホームから巣立ちます。
これから2年間、自宅からトリチーの町の女学校に通うそうです。
彼女が迎えに来た母親とともにホームに出て行く時、胸がものすごく苦しくなりました。
南インドのホームを訪ねるようになって11年、何度もこういう別れを体験したことでしょう。
そしてそのたびにさみしい思いをしてきました。
けれどそんなことで感傷的になっていてはいけません。
今自分の頭の中にあるのは先日出会ったHIVの子どもたちです。
あの子たちが幸せになるにはどうすればいいのか、自分になにができるのか、そのことを考えていきたいと思います。
今このトリチーホームにいるのは、ほんの少しの憩いと自分を見つめる一時です。
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