今日もここインド最南端カニャクマリでは激しい雷鳴が轟き雨が降りました。
今日の雨は約一時間ぐらい続く長くもので、二匹の犬が普段は絶対に昇ってくることのないゲストハウスの二階まで雨宿りのためにやってきてくれました。
この写真を撮った後は二匹とも床に這いつくばってリラックスムードになり、自分も横に椅子を置き、雨音を聞きながら読書に勤しみました。
南国の雨はとても爽やかです。
昨日「新たな時代へ」でマスコミのことを少し書きましたが、今日はその続きです。
ロックダウン中のインドで経済活動の部分的再開のひとつとして数日前から酒類販売が再スタートしたことは日本のマスコミでも報じられています。
約40日ぶりに販売された酒を求め大勢の人が殺到し、店の前ではソーシャルディスタンスを保てない大変な行列になっています。
上の写真では棒を持った人が何人も立っていますが、インドではきちんと行列を作れるだけで驚異です。
インドでは酒の税収が貴重な財源になっていて、それが販売を再開した大きな理由です。
けれどインドではお酒を飲むのは主に低収入労働者層で、酒類販売停止中は家庭内での暴力もなく平和でよかったという意見もあります。
販売を再開されたお酒ですが、店に群がる人たちを減らすのと、ロックダウンによって激減した税収を取り戻す二つの目的で、70%にものぼる「コロナ特別税」を酒の販売に課すと報じられました。
これはFNNニュースの記事です。
新型コロナウイルス対策で、全土で封鎖が続くインドでは、4日から、緩和措置の一環として、酒の販売が再開された。
5日からは、酒の小売価格に、70%の「コロナ特別税」が課される。
この表現は誤解を生みます。
端的に言えば誤りです。
インドにおける酒類の取り扱いは州によって大きく異なり、酒のラベルには製造された州の記載があり、州を越えて酒類を持ち運ぶことは罰金や処罰の対象となります。
ですから酒にかけられる税金も州によって異なり、その税収は州政府の財源となります。
FNNニュースの表現だと、インド全土で一律70%の「コロナ特別税」が課せられているかのように受け取れますが、実際にこの税が適用されるのは首都であるデリー周辺の一部管轄地域のようです。
また4日から販売とありますが、これも誤りです。
州によっては4日以前から販売を再開しているところもあり、またいまだ閉まったままの小売店も数多くあるようです。
これは嘘というよりは間違いで、思い込みによって生じたものと思われます。
日本のように全土が統率されたひとつのルールの下で生活している国民には、インドのような混沌とした多民族国家の実態が皮膚感覚で理解できないのでしょう。
今日もうひとつ興味を持ったのはこのニュースです。
<高齢者は朝のドラッグストアへ本当に「殺到」したか 購買データで解明 >
長い間不足が続いていたマスクもようやく供給が追いついてきたそうですね。
一安心です。
そのマスク不足と前後して一時期トイレットペーパーが品薄になるというデマが流れ、大混乱した時期がありました。
上の記事ではその時の購買データを解析し、世代ごとの行動に対する興味深い結果を出しています。
要約すると、トイレットペーパーが不足するとのデマがSNSで拡散された際、そのSNSのデマを直接見たであろう10〜40代よりも、そのデマによって品薄になった店の様子を報道したテレビを見たであろう50〜60代の来店が急増したというのです。
また緊急事態宣言が出され外出の自粛が要請されて以降も、若年層の来店数が減っていくのに対し中高年層は逆に増えているという結果が出ています。
これによって推察されるのは、中高年層は不安に対する耐性が低く、それを解消するために社会性を阻害する傾向があるのではないかということ。
もうひとつは、マスコミ報道は人々の不安を助長するということです。
この記事の最後で、
国や自治体から来店頻度の軽減を求められているスーパーと同様、ドラッグストアもまた、外出自粛下でも生活必需品を買うため来店せざるを得ない業態だ。ただ、感染時のリスクが高めの高齢層が同じタイミングで店に集まり「密」を作ってしまう事態は、やはり問題と言える。若年層だけでなく、この世代の消費行動を行政やメディアがどう変えられるかが問われる。
と書かれていますが、これは「どう変えられる」以前の問題であって、多くの人の関心を引くために不安を煽るような報道だけは控えていただきたいと願います。
マスコミは必ずしも正しい報道をするとは限りません。
またそれをストレートに受け止め、自分を失くし、不安を増幅させ衝動的行動に走ってはいけないということです。
まずは自分というものをしっかりと持つこと。
それが絶対的な原点です。
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