メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲

安塚かのんさん

久しぶりに音楽のことを。

心落ち着かせ、いい気分になりたいと思う時は音楽を聴くのが一番です。
部屋の片付けをする時はiPadのスピーカーからリズミカルな音を響かせ、その薄い筐体からなぜこんな迫力ある音が鳴るのかいつも感心しながら聴いています。

じっくりと音楽に浸りたい時はベッドで横になり、スマホに入れたCDやYouTubeのサウンドに耳を傾けます。

今年になってからケイタイをようやくガラケーからスマホに換え、それまで英語学習用兼音楽プレーヤーとして使っていたiPod nanoもスマホに引き継ぎました。

ワイモバイル Android one

昨今のスマホは音がいいですね。
通話音声の質は据え置き型電話機を含めて過去最高で、音楽プレーヤーとしてもiPod nanoの音質をはるかに凌ぎます。
加入時におまけでもらったものなのに、有難いことです。

ちなみにここインドではインドで買った別のスマホを使っていますが、通話品質はイマイチです。

 

スマホの中には128GBのmicroSDカードを入れ、そこにMP3に変換したCDデータを収めています。

今はこんなご時世、内省的気分に浸るにはやはりクラシック音楽が適しています。
また心により深く染みてきます。

スマホにはクラシックだけで気に入ったアルバム二十数枚が入っていて、ここ数日はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を何度も聴いています。
この曲は、チョン・キョンファとヒラリー・ハーンの二枚のアルバムを入れていて、特に第3楽章が好きなので、そこを聴き比べたりしています。

チョン・キョンファは言わずと知れた超一流の演奏家ですが、そういった超一流の演奏家たちの中でもヒラリー・ハーンの技巧は際立って優れています。

もう人間技のレベルを超え、いい意味で機械が演奏しているのではないかと思えるほど、一音一音の響きが明瞭で粒立っています。

 

今日facebook を見ていると、広島の若きヴァイオリニスト安塚かのんさんの新聞記事がアップされていました。
彼女は身近なグループの間でとても有名で、ここ一二年の間でも、生演奏を十回近く聴きました。
その音はまだ幼く純真な彼女の想いがこもり、とても美しく心打つものです。

安塚かのんさん

この記事を読んで驚きました。
彼女もメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第3楽章が好きだと書かれています。
今日それを知ったというのは何か縁を感じます。
今度彼女と会う機会があれば、是非そのことを話してみたいと思います。

 

二枚のアルバムに話が戻りますが、日本にいる時はこれらのアルバムを聴くことはほとんどありません。
それはこのメンデルスゾーンの名曲に関しては、YouTubeで聴いた諏訪内晶子の演奏がとても素晴らしく、それをパソコンにダウンロードして繰り返し聴いているからです。

そのデータはiPadにもスマホにも入っていません。
けれど今日安塚かのんさんの記事を読んでどうしても聴きたくなって検索すると、今もきちんとアップロードされていました。

やはりこの演奏はいいですね。
聴いていて心の中の何かが自然とスウィングするのが感じられます。
音に艶があって瑞々しく、音楽の表情が豊かで生き生きとした生命を感じさせます。

なお音楽に対する評価は個人の主観に基づくものということをお断りした上で述べますが、天才ヒラリー・ハーンの演奏は、あまりにも彼女の技巧が勝ちすぎて、オーケストラとのアンサンブルで素晴しいと感じたことがほとんどありません。

諏訪内晶子の演奏は、ソリストとして自ら先頭にたちながらもオーケストラ全体を底から引き上げ包み込むような豊かさがあり、また彼女もそれを意識しながらオーケストラと呼吸を合わせようとしているのを感じますが、ハーンの演奏は、至宝の芸術ともいえるその音を、オーケストラが恐る恐る腫れ物にでも触るような心持ちでミスをしないよう懸命について行っているという印象で、そこに一体感が感じられないのです。

 

諏訪内晶子の第3楽章の演奏は、特に躍動感があって素晴しいものです。

ここの聴きどころは、ソリストとバックのオーケストラがまったく別のメロディーを奏で、その見事なコントラストが最後は一体となって盛り上がるところです。

このアンサンブルが本当に素晴らしい・・・。
あたかも広いお花畑の上を一匹の蜂が自由に飛び回っているのような、また雲の上をふわふわと漂っているような、その情景が、平板ではなく立体的に目に浮かびます。

 

やはり協奏曲ではアンサンブルが最も大切です。
自分はこのアンサンブルの妙を感じ取るのが何より好きで、クラシックでは協奏曲を最も好んで聴いています。

これを今の時世に結びつけるなら、個人の生き方も、時代という巨大なオーケストラと絶妙のアンサンブルを奏でるのが最も美しいのでしょうか。

名曲メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲を聴きながら、そんなことを感じます。

 

繰り返しますが、演奏の評価は個人の主観です。

以前広島のヤマハで諏訪内晶子のベスト盤を試聴し、その中でバッハのパルティータNo.3を特に素晴らしいと感じ、これもYouTubeでその演奏を見つけたので、ダウンロードして繰り返し聴いていました。
(CDを買わずに申し訳ございません)

けれどある時ヒラリー・ハーンの演奏する同曲を聴き、自分としてはハーンの演奏がすべての面で優っているように感じ、それ以来そちらばかりを聴いています。

ハーンの精巧で透明なガラス細工のような音は、バッハの深遠な音の響きとマッチします。

 

これがヒラリー・ハーンの奏でるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、この演奏が最高だと感じる方もおられるでしょう。
音楽に限らず芸術は、主観と客観、両方の上に成り立っているからこそ素晴らしいですね。