判断力を養う

ファクトフルネス

先の「悪銭身に付かず」に書いた横浜のIR構想に、港湾業者を束ねるハマのドンこと藤木幸夫氏が反対の意を唱えています。
なんでも「街が死ぬ」とのことで、「命張ってでも反対」なのだそうです。

けれど一昨年の「現代」の記事によると、
<正念場のカジノ法案、成立か廃案か〜「ハマのドン」も都知事もやる気(伊藤 博敏) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)>

「(カジノ法案は)通りますよ。間違いないです」

こう断言した後、藤木氏は「菅(義偉官房長官)にはもう言ってある。(山下埠頭の再開発は)『俺がやるよ』とね。(中略)そこにカジノだとか、何を呼ぶかは、林が、林(文子横浜)市長が決めること」と、述べている。

同誌は「官房長官も横浜市長も呼び捨てにする“ドン”が、ついに動き出した」と、結んでいるが、それだけの実力者であるのは間違いない。

時の官房長官や市長を呼び捨てにするというのはその人の品位が問われますが、もしこの発言が事実なら、横浜のIRの構想(抗争?)は、単なる醜いカネの奪い合いということですね。

やっぱりこの博打場建設で、横浜市民が幸せになれるとは思えません。

 

しばらく前からオレオレ詐欺が社会問題となっていて、そのことが盛んに報じられ、各所から注意喚起がなされるものの、その手口は次第に巧妙化し、収まる気配がありません。

先のページに書いたように、庶民の射幸心を煽り、宝くじを販売するのは一種の詐欺的行為だと考えます。
これはもちろん刑法で定められた詐欺罪ではありませんが、「他人を騙し、金品を奪う」という詐欺の定義に広く当てはまるものだと、自分の考えで判断しています。

ただし定義をそこまで広く解釈するならば、世の中のものすごく多くのことが詐欺に当てはまります。
「報道しない自由」を駆使するマスコミなどはその典型例で、その具体的事例はここで紹介するまでもなくネットにあふれています。
<報道しない自由 – Google 検索>

 

以前から思っていたのですが、ここでタチが悪いのは、本当の一流の詐欺師というのは、決して嘘をつかないということです。
事実を都合良く並べ、不都合なことは隠し、相手を自分の意図した方へと導いていきます。

こんな言葉があります。
『数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う』

こんなことは驚くなかれ、スピリチュアルな世界でもよくあります。
宗教を批判する人は、昔から『宗教は脅しだ』と言われますが、これなどは宗教が人の恐怖心を煽るその側面を見たものです。

具体的な例を出せばよく分かるのですが、さすがにそれははばかられます。

 

少し前に自己啓発セミナーというのが流行りました。
これは一種の洗脳プログラムで、その手法は、KGBなどが洗脳に使っていたものと同じです。

最初にコミュニケーションゲームなどをやり、今の自分がいかに不完全かを思い知らせます。
日本人は誰しもが気恥ずかしさを持っていて、初対面の人といきなり上手くコミュニケーションは取れません。
そこで自分を深く自己否定させ、そこに新たな価値観を提示すると、人はそれに飛びついてしまう傾向があります。

セミナーでは部屋のカーテンは閉め切り外の様子が見えないようにする、時計を見せないようにして時間感覚を麻痺させる、同じことを何度も繰り返さし倦怠感を抱かせ、新たなものを欲する状態にさせる等、様々な手法があります。

 

マクロビオティックの創始者である桜沢如一氏は、
『人間の持つ最も尊い能力は判断力である』
と述べられ、自分はこの言葉は金言であると感じています。
そしてこの言葉をこのホームページに何度も書いてきました。

詐欺というものは、この判断力を意図的に鈍らせ、または誤らせる行為と言えなくもありません。
けれどそこまで言ってしまうと、例えば商品のキレイなディスプレイなども、これも詐欺なのか・・・ということになってしまいます。

 

そこで思うに、オレオレ詐欺のように明らかに嘘の情報を交えていない限り、それを詐欺かどうかを厳密に判断することはできないということです。
あるものが詐欺か詐欺でないか、その差は紙一重です。
そしてそれは客観的には判断できません。

ですから大切なのは、詐欺的行為を減らすことよりも、その奥にある意図を見極め、自分の眼でそのものの本質を見る力を養うということです。

現代は、他人の評価に振り回される人が多すぎます。
それが詐欺的手法をのさばらせる元凶でしょう。

 

人間を最も強く行動に駆り立てるのは、喜びや感謝ではありません。
怒りや恐怖です。

嬉しい時はその場で飛び上がりたくなりますが、もし目の前に突然ライオンが現れたなら、一瞬にしてその場から消えるほどのスピードで走り出します。

 

健康食品のセールストークの中には、そのモノの効用だけではなく、今の医療、製薬、食品業界の闇といった話が含まれていることがよくあります。

抗ガン剤は副作用ばかりあってガンにはほとんど効果がありません。
医者は自分や自分の家族には抗ガン剤を使いません。
それでも医者がこぞって使うのは、それでお金が儲かるからです。
日本の薬漬け医療は今の仕組みが変らない限りなくなりません。
食品添加物の危険性は各種動物実験で明らかです。
政府はそれを知りながら、わざと目を逸らしています。
マスコミはその事実を大スポンサーである食品メーカーに忖度し、一切報じません。

こういったこと、誰しもが一度は耳にしたことがあると思います。
たぶん大きく違わない事実なのだと思いますが、健康食品のセールスでは、こういったことをトークの中に挟むことで、聴き手である消費者の恐怖心や怒り、不安を煽り、実際以上にその健康食品への期待と評価を高めようとします。

けれどそれで評価が高まってしまうのは、最終的には本人の責任です。
そうならないように本人自身が己の判断力を磨き、社会全体がそうなれるような環境を作っていく必要があります。

 

こうして考えてみると、多くのものがこの判断力に結びつきます。
『自分を愛する』ということがよく言われますが、この自分を愛することができなければ、他人に依存し、他人の言葉に頼ってしまって自ら判断する力を失います。

直近のことでは韓国のGSOMIA破棄が大きなニュースになっていて、これなどは、反日思想という怒りに駆られた韓国政府の判断ミスであると考えます。
(長い目で見れば、正常な日韓関係を築く一歩になるでしょうが・・・)

 

ここであるスピリチュアル系の動画を思い出しました。
そこでは最初に講師がアドラー心理学の話をします。

フロイトやユングなどの一般的な心理学では因果律を説き、因果律はどこまでも遡ることが可能で、それらすべての因果を解消するのは実質的に不可能です。
そこでアドラーの考え方、すべては未来に因がある目的指向論を話すと、聴き手全員がそこに絶対的な救いを見いだします。

そうなってしまえば、後はその講師の話は信頼性抜群です。
どんな高額のセミナーや商品でも、みんなが好感を持ってそれを受けて入れてしまいます。

 

「嫌われる勇気」の作者である岸見一郎氏は、『アドラーは人生を変える劇薬』であると述べています。

たしかに「嫌われる勇気」は人の価値観を根底から変えるだけの力を持ったものです。
だからこそ、価値観が変るその空隙、一瞬空っぽになった自分の心の中に、相手の意図した考えが入り込みやすいのです。

これはアドラーが悪いわけではまったくなく、ただそれたけ衝撃的なものほど、詐欺に利用されやすいということを言いたいだけです。

 

これは一般論的言葉にすると、
『表大なれば裏大なり』
ということで、素晴らしいものほどまた危険を伴うということです。

これもやはり判断力です。
人は素晴らしいものに出会うと、ついついそれに信奉し、そこに価値観を依存させてしまいます。

カリスマと呼ばれる人と深く関わると、そこから学ぶものも大きい代わりに、カルト(狂信的)になってしまう可能性もまた大です。

学校教育では、幼いうちからこの正しい判断力、客観的に物事を見つめる力を指導してもらいたいと考えます。

 

そんな正しい判断力を養うための本が世界的ベストセラーとなり、あのビル・ゲイツは、アメリカの大学新卒者で希望する若者全員にこの本のダウンロードデータをプレゼントすると発表しました。
これは思い込み、先入観を捨てるという、正しい判断力を身に付けるための重要なひとつの要素です。

正しい判断力、『正眼』を養いましょう。

日本語字幕があります。