自分に優しく<3>

How Self-Love Can Help You Create The Life (And Career) You Want

東洋的生命の真理はすべてに通じ、その根底は同じです。
お腹(肚、はら)に力をみなぎらせる大切さは、何度書いても書き切れません。
これができていなければ、何事も為すことができないと言ってもいいほどです。

偉大な教育者森信三先生の至言『教育の基本は立腰にあり』、
腰骨を立て背筋を伸ばすこと、そのためには肚ができていなければなりません。
これは身体の中心軸最上部と下端にある、ともに陰陽の関係である脳と腸を上手く連携させることを意味し、肉体のみならず、思考、精神にも大きな影響を与えます。

焼き場に立つ少年

もしこれができていない状態で何かを為したとしても、それは表層的な達成に終わるかもしれません。
なぜならば肚は肉体の根底であると同時に、精神の根底でもあるからです。

肚を据えて物事に取り組みましょう。
肚から喜び、幸せを味わいましょう。

 

肚は極めて大切な働きをしていますが、肚がすべてではありません。
脳と腸は陰陽の関係であって、このバランスが大切です。
そして現代人は情報過多の知識中心社会に生き、脳にエネルギーが集中しているがゆえ、調和を取る意味でも肚に力を蓄えることが大切です。

また今は時代の大変革期、すべての価値観が大きく変わろうとしています。
こんな時代は過去の知識を使った応用力よりも、無から有を生み出す根本力が求められ、これからは東洋の時代になるということも相まって、その力点が頭、脳から肚、腸へと移っていくことは必然です。

今自然療法の世界では、これまでの定説を覆して血液を造るのは骨髄ではなく腸であるという千島学説が大きな脚光を浴びていて、これも“腸の時代”のひとつの流れと考えられます。

 

肚を鍛えるには、咀嚼習慣、良質の植物性発酵食品の摂取、腹式呼吸等様々な方法がありますが、そうやって肚を鍛えると同時に、脳との連携を考えたならば、二つをつなぐ中心軸の通りをよくすることも大切です。

相撲では身体の安定感を増すために四股を踏みますが、これはただ単なる筋トレではなく、脚を土俵に勢いよく振り下ろすと同時に上にある気を一気に肚、丹田に落とし込む、一種の気功であると考えられます。

相撲 四股

四股を実際に踏んでみると分かります。
高く上げた脚を地面に叩きつけた瞬間に、背骨を通って勢いよく気が肚に落とし込まれます。
ただしそのためには頭部から肚に至る背骨が直立している必要があり、両脚を180度開脚する股割りを訓練するのはその意味もあると考えられます。
ですから股割りのできない一般人が、四股の効果を完全に体感することはできません。

 

その中心の通りをよくする手段として、最近知ったこのネドじゅんさんのエレベーターの呼吸というのが優れています。
身体の中心軸に沿って呼吸とともに意識を上下させる方法です。

このネドじゅんさん、普通の大阪弁のおばさんといった感じですが、語られる言葉は平易でも、そこに深い真理が含まれていて本当にすごい方だと思います。

ネドじゅんさんは、ある日突然脳内の思考のおしゃべりが止まってしまい、完全に右脳、直感優位で過ごせるようになったのだとか・・・、それをご自身の体験談として脳の働きを元に解説しておられます。

本の内容も実に分かりやすく実践的でお勧めです。

 

もうひとつこの確信メソッドという方法も、意識を上から下に向かって肚に落とし込むというもの。これも実に理に適った方法で、この本を初めて手にした時には思わず手を叩きたくなりました。

思いを一気に肚に落とし込む、これで肚に力を蓄えると同時に中心軸の通りもよくなります。

自分に優しくなるには、まず自分を深く愛すること、そのためには自分自身、その存在、根底を大切にしなければなりません。

その奥深い自分の存在は、意識の表面の頭ではなく深い自意識、潜在意識を司るお腹にこそあります。
これはネドじゅんの言われる右脳的働きと言えるでしょう。

“幸せの青い鳥”は最も身近な自分の中にあった。
それを知ること、これが自分に優しさを向ける究極です。