2月29日、寝台列車に乗ってインド最南端カニャクマリに向かいます。
インドで寝台列車に乗るのは南インドを最初に訪ねた12年前から数えて五回目です。
今回はスレッシュと娘のジーナに同行させてもらい、チェンガルパトゥ駅から乗車します。
駅のすぐ横にある湖の向こうには多くのビル群が目に入り、それらは新たなビジネス街として“ニューチェンナイ”と呼ばれていて、伸びゆく現在のチェンナイの象徴です。
乗り込む車両はスレッシュ親娘とは別々で、二人は三等寝台、自分は2AC(セカンド・エーシー)二等寝台というひとつ上のグレードの車両です。
それは自分だけは予約時期が遅く、三等寝台のウエイティングリストに入れてもらったものの空きがなく、無償でアップグレードしてもらったというラッキーな結果です。
二等寝台は進行方向に向かって二段ベット、垂直方向に二段ベットが対座する形で、三等寝台は、垂直方向に対座するベットが三段になります。
寝台料金は700キロ弱の距離をちょうど丸半日かけて走る三等寝台で1800円、二等寝台で2400円程度と日本と比べて格安です。
乗り込んですぐに近くの人が話しかけてきてくれました。
遠くムンバイから来ているIshaという著名なヨガグループのファミリーでした。
若い娘さんは東京で働いていたことがあるそうで、記念に折り鶴を折ってプレゼントすると「ありがとうございます」と日本語で返事が返ってきたので驚きました。
どこに行っても折り鶴はコミュニケーションツールとしてとても役立ちます。
明るくなる直前の午前6時、終着駅であるカニャクマリに着きました。
インドの鉄道車両は長大な22両編成で、ホームの端から延々と歩きます。
迎えに来ていたスレッシュの息子タンビの運転する車に乗ってスレッシュの母親、兄スギルタンが暮らし、スレッシュのセカンドハウスのあるマダラムドラに行きました。
マダラムドラにはトリチーのタタ(おじいさんの意味)と呼ばれるスタッフと子どもたちが二人いたので驚きました。
彼らは一時的に手伝いに来ているそうです。
到着した3月1日は日曜日、ほとんど休憩する間もなく教会に向かいます。
自分はいつものように外で時間潰しをし、くたびれていたので椅子に座って二度うたた寝をしてしまいました。
南インドタミルナド州にはキリスト教の教会がたくさんあり、信仰心の篤い方が数多くおられます。
インドでは何かの宗教を信仰し崇めるのは、ほぼ生活の中の必須項目となっています。
そして3月1日はタンビの28回目の誕生日でもあり、お昼過ぎに牧師さんも来られて盛大にお祝いをしました。
スレッシュが自分のiPadに入っているTiny Pianoというアプリでハッピーバースデーを弾いています。
インド人たちは誕生日をとても大切にし、いつも盛大にお祝いします。
バースデーケーキを互いの口に入れて抱擁し合うのも恒例の儀式です。
誕生日をお祝いした後はお食事会で、ツルツルしたバナナの葉っぱがお皿です。
スレッシュの家は一部取り壊しての改築中で、台所から外が丸見えです。
毎度同じことを言いますが、インドの食事はめちゃくちゃ美味しいです。
この美味しさはとにかくダイレクトに体に響きます。
これを強いて言葉で表現するならば、日本の高級料理は舌と頭が喜ぶ料理、インドの料理はより根源的で心と体が喜ぶ料理です。
野外キャンプで食べるカレーライスやバーベキューのダイナミックな美味しさ、あれに近い感じです。
これが改築中のスレッシュ邸、今の時期の南インドは天気がよくて雨も降らないので、こんな状態のままでもノープロブレムです。
スレッシュのいるチェンナイホームには以前門番のおじいさんがいて、下の写真でセメントガラを頭に担いでいるのはその息子さんだそうです。
日本ではバケツかテミに相当するそのガラ入れは古タイヤのゴムでできていて、なかなか使い心地がよさそうです。
大工さんが使っているスケールを見せてもらいました。
インドではメートル法と併用してインチも使い、二種類の目盛りが書かれています。
こんな感じで子どもたちのいないマダラムドラではのんびりとした時を過ごしています。
ここはチェンナイより2度ぐらい気温が高いようで、よりトロピカルムード満点です。
これは泊まっているゲストハウスから外を見た景色です。
部屋の中はこんな感じでかなり広くてきれいになっていて、トイレも洋式で、ここは水浴びする水が少しぬるめなので助かります。
ゲストハウスの下には山羊がいて、門番の代わりをしています。
豊かな自然の中で暮らす人々を見ていると、みな生きているんだという当たり前の実感が湧いてきます。
ここも時折ネットがほとんどつながらなかったり不自由なこともありますが、それも含めて大いなる自然を感じ、ただ鳥の鳴き声、燃える太陽の恵みを感じ、その恩恵を享受しています。
豊か自然は人間の感情をより肯定的にしてくれます。
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