心と身体はひとつです。
そして身体のひとつひとつの器官、細胞は意思を持っていて、そこに思いを伝え、言葉をかけることによって、その意思を反応によって示してくれます。
これはオカルトチックな話ではなく、実際に体験、体感したことであり、自分にとっては真実です。
可愛いサッちゃん
’99年3月、当時土木の仕事をしていて雨の中での作業中、重機をダンプカーに積みこむ際に誤って重機から落ち、左肘をアスファルトの路面に激しくたたきつけてしまいました。
かなりの激痛が走り、すぐに現場近くの知り合いの東洋医学の治療院で診ていただき、翌朝には痛みが引くだろうと思っていましたが激しい痛みは変わりません。
そこでその先生に近くの別の病院を紹介していただくと肘の尺骨が折れていることが分かりました。
その日から仕事は全くできません。
数日おきに病院に通い光線や磁気を当てて労災で治療を受けるのですが なかなか思うように腕が動くようにはなりません。
しばらくして職場復帰し、その後も折をみて病院に通うようにとは思うのですが、診療時間が午後六時までなのでなかなか行くことができません。
またその病院は元々痔の治療専門の病院で、先生方は皆さんとても親切ですが、本格的なリハビリ治療からはほど遠い状態だったのです。
このまま肘の関節が固まってしまい左腕が自由に使えなくなったらどうしよう・・・。
暗澹たる思いで日々過ごしていたそんなある土曜日の午後、市内で講演会があり、気功治療の先生のお話を聴きました。
「みなさん、ご自分の身体と対話してみましょう。言葉をかけ労わってあげてください」
アッなるほど、身体のことは身体自身が一番よく知っているんだ。
とても腑に落ちるところがありました。
早速その日から実践です。
お風呂で身体を洗う時に声をかけます。
左利きの人のことをサウスポーと呼びます。
ですから怪我をした左肘を「サッちゃん」と名付けました。
「サッちゃん、痛い思いをさせてゴメンネ。
けどあなたがかばってくれたお陰で頭や胸をケガせずに済んだんだよ。本当にありがとう」
「今のままだったら左腕を完全に伸ばしたり縮めたりできなくなるかもしれないよ。
どうしたらいいのかな? 教えて!」
お詫びと感謝の思いを込め、懸命に語りかけました。
いつかその言葉に応えてくれることを信じて・・・。
お話を聴いて実践を始めた翌々日の月曜日の朝のことです。
いつものように出かける支度をしていると会社からFAXが届きました。
自宅近くに見積もり物件があるのでそこへ直接行くようにとの連絡です。
そして自転車で十分ほどのその場所へ行くと目的の家があり、その向かいが接骨院、見積もり物件はなんと接骨院の先生のご自宅だったのです。
接骨院の外側に大きな看板が出ていました。
「診療受付午後七時まで・・・労災適用・・・」
これはなんという偶然、というか必然なのでしょう。こんなに早く応えが返ってくるとは。
対話を始めてたった36時間後の出来事でした。
「サッちゃん、本当にありがとう!」
心の力、言葉の力の偉大さを思い知りました。
もちろんその日からその接骨院に通い始めました。
約一年とちょっと、計160数回通い、激しい治療の痛みと戦いました。
現在はほぼ元通りに曲げ伸ばしができるようになり、懸垂や腕立て伏せもできるし腕相撲だって大丈夫です。
生活には全く支障がなく、左腕のケガを意識することはほとんどありません。
身体への言葉がけは本当に大きな効果があります。
その時以来いろいろな場所でこのことをご紹介し、その場で一緒に言葉がけをしています。
そうすると、その場で上がらなかった腕がスッと上がるようになったり、膝が曲がるようになったりと、不思議と感動の連続なのです。
身体も意思を持っているのでしょう。
そして言葉をかけるという行為がきっかけで心の状態が変わり、身体の状態の変化、奇跡を呼ぶのです。
対話の形
身体と対話する上で大切なことが三つあります。
1.手当て
対話する身体の部分に手を当て、優しく撫でてください。
お腹が痛くなった時、自然とお腹に手を当ててゆっくりとさすります。
可愛い赤ちゃんを抱っこしている時も自然と優しく手が動きます。
それとまったく同じで、自分の身体を思いとともに手でさすって労ってあげてください。
2.声がけ
感謝の思いは思うだけでは伝わりません。
手当てと同じく、思いは言葉にして口に出すという”形”にして初めて深く伝わります。
「ありがとう」、感謝の思いを文字や声を通して相手に伝えるように、自分の身体にもその思いを伝えてください。
声がけは”肥がけ”、作物に肥料を与えることと同じです。
3.見つめる
これも形の問題です。
対話しているところに思いを傾けるには、そこに視線を送らなければなりません。
他のことが気になってよそ見をしていては、思いを込めることはできません。
日本には武道や茶道など様々な道と呼ばれる世界があり、そのいずれもが作法、型というものを重んじます。
それは型を守ることで心がともに律せられるからです。
身体との対話で大切なのは思いです。
だからこそ、それを伝えるための形を知る必要があります。
深まる対話
身体との対話を初めてはや四半世紀、お風呂の中ではいつも全身くまなく手当てをし労っています。
これは義務では続きません。
身体と対話することが楽しく、対話ですから反応が返ってくるのが楽しいから続けられるのです。
最初に接骨院との出会いをいただき、対話の効果を確実に感じられたので、当初から感謝と喜びの思いで対話を続けることができました。
その感謝と喜びの思いがさらなる感謝、喜びを生み、思いもより一層深まっていきました。
身体に感謝 → 身体が喜ぶ → さらに感謝が深まる → ・・・
こういった流れです。
身体との対話を続けるには、まず最初に何らかの効果、反応を自分自身で感じ取ること、そうなるまで継続することです。
そしてそうなれたなら、その感覚をもとに感謝と喜びの思いを深めていってください。
いったんそこまで至ったら、身体はより敏感になっているので、善循環サイクルに乗って思いを深めていくことはそう難しくはありません。
身体との対話によって得られた一番の身体の変化は、この敏感さです。
自分の心と自分の身体、この二つがより密接になったからでしょう、身体にいいことをしたり新たな健康食品を口にしたりすると、即座に反応が現れ、自分に合ったものかどうかが直ぐに判断できるようになりました。
時には、理由はよく分からないのですが、体験直後に過剰反応が現れ、その後少しずつ落ち着いてくるということを何度も体験しました。
まさに人間測定器、人間リトマス試験紙といった感じです。
そんな密接な関係になった自分の心と身体ですが、その関係とは対極に、自分というものと身体との距離が離れていく感覚があるのです。
これは当初まったく予想していなかったことです。
特にお風呂で身体との対話を実践している時に強く感じます。
当初は自分の身体と心の一体感が増してくるだろうと考えていたのですが、実際はその逆で、自分の身体と心、あるいは自分自身というか自己の中心とでもいうか、そのような意識存在が身体から離れていくのです。
身体と心は密接につながっていても、その存在感はどんどんと分離していく、そんな不思議な感覚を味わいました。
これは有限の肉体を持つ人間として、その表面にある身体との関係がよくなることにより、意識の焦点がより深い永遠の魂に向けられたからではないかと感じます。
喜ぶ身体
身体を労わる。
労わるとは何でしょうか?
それは身体自身が教えてくれます。
日々お風呂の中で身体との対話を続けていて、とても心地よく感じる時とそうでない時があります。
その違いは明確です。
その日一日しっかりと身体を使い、活かすことができた日は、適度な疲労感とともにお風呂でいい汗を流すことができます。
その逆に一日のんべんだらりと過ごし、重い気分でお風呂に入っても、さらに疲れが増してくるような感じです。
与えられたものは使い、活かさせてもらう、これは身体に限らずすべてのものに対する最高の感謝の表現なのだと思います。
身体と対話することを教えてくれた大切なパートナーである左肘のサッちゃん、彼(彼女?)には特に念入りに対話するようにしています。
サッちゃんからご縁をいただき、サッちゃんのリハビリをしていただいた接骨院には約一年ちょっと通い、完全ではないものの、左肘はほぼ元通りに曲げ伸ばしできるようになりました。
リハビリでの激痛も回を重ねるごとに少しずつ楽になってきましたが、ある時ふと、サッちゃんにこんな痛みを与え続けるのは申し訳ないという気持ちになり、その時からリハビリ通いをやめました。
その時点で、左肘のことで生活に支障が出ることはまったくありません。
ただ献血に行った際、採血するために左腕を台に乗せても腕が伸びきらず、前腕が少しだけ宙に浮いた状態になっていました。
ところが、リハビリをやめた後に何度か献血に行くと、そのたびに腕が伸びるようになっているのが確認でき、今では左腕全体が台の上に乗るようになったのです。
リハビリをやめた後も身体との対話によって肘の状態がさらに改善されていく、通常こんなことがあり得るのでしょうか?
リハビリ終了時の左肘可動状態が90%だとすると、今は98%かそれ以上といった感覚です。
喜びを力に
『喜びを力に』
どこかでこんなキャッチコピーを聞いたことがあります。
喜び、感謝、それを形とともに示すことで偉大な力が発揮されます。
そしてそれを感じられたならまたさら喜び、感謝が膨らんで・・・再び善循環の始まりです。
この善循環サイクルをいかに日々の生活の中で築いていけるのか、それが幸せに生きるための大きなポイントです。
そのことに気づかせてくれたサッちゃん、ありがとう!
これからも身体との対話を楽しく感謝の思いで続けていきます!!
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