囚われなく見る

面積迷路 (学研ムック)

『青春とは人生のある時期ではなく、 心の持ち方を言う』

詩人サミュエル・ウルマンの「青春」のこの一節は、自分が常に心がけていることです。
今この瞬間、そこに無上の喜びを感じることも大切ですが、どんなことでもいい、ほんのわずかずつでも成長できる、それを信じ実践を通して実感していく、これは年齢に関係なくできることであり、それが永遠の若さを保つ根本だと考えています。

今でももっと頭脳が明晰ならより幅広い活動ができるのにと考え、ほんの少しずつでも頭にいいことをと願い、こんな算数パズルを解いています。

いくつかの四角形を組み合わせた図形の中で、一部の辺の長さや面積が提示され、そこからあるところの数値を導き出すというものです。
問題は難易度順にレベル1から5まで百問あり、数日前から一番易しい第一問目から順に少しずつ解いていっています。

最初の内は問題自体はそう難しくありませんが、答えを導き出すまでにいくつかの過程があり、それをいかに速く、しかも暗算で解くかということにチャレンジしています。

数日かけて22問目までは順調に来ましたが、レベル2の23問目で少しつまずいてしまいました。
解答手順はそう難しくありませんが、その途中で用いる辺の長さが分数となり、それを頭の中で記憶しながら計算するのが面倒なのです。
こんな問題です。
本の宣伝も兼ねてページの一部をキャプチャーさせていただきます。

.面積迷路 問題

右側二つの長方形、面積比が1:2なので、縦の辺の長さは上から3cm、6cmとなります。
なので右上の長方形の横辺は10/3cm、そして左上20cm2の長方形の横辺は7-10/3で11/3cm、縦辺は20cm2を11/3cmで割った60/11cm、従って求める左下の長方形、縦辺の長さはそれを9cmから引いた39/11cmで、答えとなる面積は39/11cm×11/3cmで13cm2となります。

これを暗算でするのはなかなか難儀でした。
頭の中でこんな計算をしたことになります。
後半の 7-・・・の部分は前半と同じです。

計算式

ところが、この解答を見てビックリです。
なんとものすごく簡単な計算式があることにまったく気がつきませんでした。

.面積迷路 解答

そういえばこの本の問題はすべて小学校三年生までの学習範囲で解けるように作られていて、すべての途中計算は小数、分数を使わず整数のみで解答を導けると解説されていたのを思い出しました。

 

人間、いったん難しいことを覚えてしまうと、何でも物事を難しく考えようとする傾向があるようです。
詐欺師が「専門家ほど騙しやすい」と語るように、多くの知識を得ると考える時にその知識に頼ってしまい、過去の常識や経験といったパターンで物事を認識しようとし、真摯に物事を見つめられなくなる危険性があります。

冒頭のサミュエル・ウルマンの言葉で言うところの「心の持ち方」とは、常に意欲的に新たなものを求めると同時に、過去に囚われずまっさらな目で物事を見つめられることなのでしょう。

自分にとっては元々算数の計算が得意だったがゆえ、よけいに今現在頭の中に入っている様々なパターンに当てはめて、何も考えずにその方式で答えを導こうとする傾向があるようです。
最も得意な分野で自らの思考の危うさを見せつけられました。

このホームページで『真理は深ければ深いほどシンプルである』ということを何度も書いていますが、その意味するところの深さを、この「面積迷路」で一段深く理解できたような気がします。

先の問題は百問中のまだ23問目、これから最後の百問目に向けて、新鮮な目を取り戻すつもりで楽しく取り組んでいきます。
永遠の青春を目指して・・・。

 

「青春」 サミュエル・ウルマン

青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心
安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ

年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる
歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ
苦悶や、狐疑、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、
精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か

曰く「驚異えの愛慕心」空にひらめく星晨、その輝きにも似たる
事物や思想の対する欽迎、事に處する剛毅な挑戦、小児の如く
求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。

   人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる
   人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる
   希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる

大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大そして
偉力と霊感を受ける限り、人の若さは失われない
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、
皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至ればこの時にこそ
人は全くに老いて神の憐れみを乞う他はなくなる