あとがき

文明法則史学やガイアの法則で示されているように、今は極めて大きな文明の転換期です。

文明を転換するというのは、リレー競技で次の選手にバトンを手渡すようなものであり、それをいかにスムーズに行うかは、全体の流れを左右する極めて重要なものです。

また新たに生まれてくる価値観や文明はひとつの生命です。
人間が胎児や幼児の時期にどのような環境で過ごし、どういった教育を受けるかが、その後の長い人生を左右する大きな影響力を持つように、これから誕生する東洋、日本の文明を、いかに充実したものにするかという、今この時代に生きる人間のあり方が、今後何百年、何千年と続く人類の歴史を決める大きな鍵を握っています。

けれど残念ながら、その価値観の転換は、現在スムーズに行われているとは言い難い状況です。
心と体のつながり、全身のバランスを考慮した統合医療、スピリチュアリズムといった新たな時代の流れを感じさせる動きはあるものの、旧来の価値観に根ざしたものの力は依然根強く、そこからなかなか脱却することができていません。

生物の進化が、突然変異によって生まれた一部のものによって新たな形態へと変わっていくように、文明の転換も、何かのキッカケによって全体が大きく導かれていく可能性があります。
そこで最も強く変革を望むのが、これから社会の礎となり、新しい時代を築いていく子どもたち、その子どもたちに与えられる教育です。

今の学校教育は、国語、算数、理科、社会といった西洋の価値観に基づく科学的で要素還元主義的なものばかりです。
これは本来のあるべき姿ではありません。

これからの時代の転換期を乗り越えていくためには、このバランスを整え、科学的なものとともに、物事を全体から大きく捉える生命思考を教育に加えていくことが必要不可欠です。

これからの時代の教育

 

東洋思想の根幹である陰陽思想、これに基づくマクロビオティックの創始者である桜沢如一氏は、その生命観を子ども向けに易しく説いた『魔法のメガネ』という本を、約八十年前に著しました。
『コラム ~ 魔法のメガネ』でご紹介したのは、その生命観の分かりやすいほんの一例です。
今求められているのは、来たるべき東洋の時代、生命の時代を見つめていくための、新たなる魔法のメガネです。

この冊子は、その新たな魔法のメガネの役割を果たすことを願い、できるだけ易しい言葉で生命の仕組みについて書きました。
たぶん高校生以上の方には十分理解していただける内容だと思います。

ここで説かれている生命観は、科学的な知識と同程度のウエイトで扱われなければなりません。
また本来は、義務教育の課程で、この知恵を子どもたちに伝えていくことが必要です。

さらに将来的には、東洋への時代の流れを受け、この生命観が、科学的思考よりもより重きを持つものとなるはずです。
これは地球の自転、公転周期が変わらないのと同様に、この時空における絶対法則でありバランスです。

すべてのものに通じる生命、その生命という魔法のメガネをかけて世界を眺めると、きっとこれまでとは違った世界が開けてくるでしょう。
そしてその世界とは、すべての動物、植物、海、大地、空、・・・そして地球生命体ガイア、すべての生きとし生けるもの、すべての生命系がいきいきと光り輝く世界です。

最も尊いものは生命。
来たるべき生命の時代を、ともに喜びを持って迎えましょう。

2018年 秋
酒井伸雄
https://yogananda.cc

芽生えの時

 

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