ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
 ヨガナンダ > スピリチュアル夜話 > 心の範囲<3>



ヨガナンダ



心の範囲<3>

このホームページに言葉を綴っている時、
ふとしたことで何かに気づくということがよくあります。

震災を機に多くの日本人の心はナーバスになり、
私もここに書いたメッセージに対してある方から厳しい叱責の言葉をいただきました。

私たちは国難とも呼べる事態に遭遇し、
今こそ心をひとつにすることが大切であると方々で説かれていますが、
心をひとつにするとは、みんなが同じ考え方を持つことではなく、
心の奥の思いが同じであれば、
表面に現われる考え方や方法が自分の持つものとは異なっていたとはしても、
それを受け入れること、許容することであるとということを、その時に知りました。

そしてそれは今思うと、「心の範囲」を広げることとまったく同じなのですね。
実にシンプルで、かつ深い法則であり事実です。


人間は究極的には利己的な生き物です。
どんな聖人君子であろうとも、自分が一番可愛いのです。
それは当然のことであり、恥ずべきものではありません。

立派な人間になろうと志し、
自らの欲望を抑え、他人のために奉仕しようとするのは尊いことですが、
それとはまた別の角度で、
自分の思いというものを、周りの人たちの思いと無理なく一致できるよう、
そう心に働きがけていくのもいい方法だと思います。

人間は誰しも利己的なもの、
その利己的の “己” と、
利他的な “他” というものが大きくオーバーラップしたならば、
自然と多くの人たちが喜びを分かち合う暮らしができるはずです。

情けは人の為ならず、人を呪わば穴ふたつ、
深い世界に心を向けてみたならば、
そこはきっと自分と他人とを分かつ境界線などない世界なのだと思います。

それを苦しみではなく楽しみをもって感じられるようにすること、
それが人の心を救えるのだと信じています。


私はいつも書いているように、
トイレ掃除は奉仕活動ではなく自分のため、
不思議なことがいろいろと起こって楽しいから損得勘定でしています、
と公言しています。

それは自分を厳しく律して利他的になろうとするよりも、
自分が利己的であることを自覚し、その上で己という「心の範囲」を広げ、
結果として利他的な自分である方が楽であり、
それが多くの人の心を動かせるものになると考えているからです。

そしてその根底にあるのが自分への深い愛情であり、
信頼です。

私たち現代人は、この自分を愛するということが本当に苦手ですね。
今の経済を中心とした社会の仕組みが、
自分に不全感を抱かせ、もっともっと ・・・ と欲望をかき立てることにより、
右肩上がりに自己成長していこうとしているのですから、
そうなってしまうのは必然的なことです。

多くの人と喜びを分かち合える鍵は、
逆説的ですが、もっと深く自分を愛することであり、
本当の心の奥底にある自分の真我を喜ばすところにあるのだと思います。


私も十数年前は、自分を深く愛するということがとても大きなテーマでした。
自分を愛する、言葉で言えば簡単なことですが、
簡単であるがゆえに奥が深く、
当時はのたうち回るようにして苦しんでいた記憶がかすかにあります。
  (つらいことは忘れるものですね ・・・ )

のど元過ぎれは熱さを忘れる、のことわざ通り、
今はすべてが自然で当たり前になってしまったのですが、
あの頃と比べて比較にならないぐらい
自然と自分自身に愛を向けることができるようになり、
また周りの物事に対して心揺れることがなくなりました。

その今の自分の目で、現在のスピリチュアルの世界を眺めてみると、
多くの人が自分というものを見失い、
自己不信と不安の中で右往左往しておられるのがよく分かります。

もちろん今の自分が完璧な存在ではないのですが、
怠惰で不完全で悩み多き自分というものを、
そのままの状態で受け入れられることに、
大きな救いを感じています。

そして不完全な存在でありながらも救いを手にすることができた自分の体験を、
何人かの人たちと分かち合い、喜びを共有できたなら、
私も世話好きな自分の「利己的欲求」を満たすことができ、
それが結果として利他的なものにもなるのだと考えています。


とっても簡単なことですが、
毎日鏡に映る自分の顔を見て、
ニコッと微笑みかける、そんなことも自分を愛することにつながります。
(^o^)v  (^o^)v  (^o^)v

簡単なことがとても大切、実践が何より尊いのです。


与えていただいた尊い命、それを大切にすること、
それが自分を深く愛するということです。



2011.6.16 Thuesday  
ひとつ前へ  ホームへ メニューへ 次へ
Link Free
Copyright 2010 Sakai Nobuo All right reserved.