ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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ヨガナンダ



心の範囲<2>

これからは心の時代、
だからこそ心を律する形あるものに目を向けていきたい、
これは私の大切にしているモットーのひとつです。

心の範囲を広げるといっても、
口で言い、心で決意したところですぐに実行できるものではありません。
日々の訓練によって体を鍛え上げていくように、
心もまた、形ある訓練を通し、
ひとつの方向に向かって形作られていくものです。

ではどうすればその心の範囲を広げていくことができるのか、
私はそれに対して明確な回答を示すことができるほどの技量はありません。
強いて言うならば、このホームページに書いている、
心と体にとっていいと思われることすべてかもしれません。

また自分自身という狭い範囲に限って見るならば、
過去と現在との自分を比較して、
その変化の中から、心の範囲を広げるための方法が語れるかもしれません。


心の範囲が広がるということは、
自分の幸せの価値観が広がって、
その価値観と周りの人の幸せの価値観が大きく重なるようになり、
自然と利他的な行動が取れるということです。

自分の中の利己的な心と利他的な心、
このふたつを近づけることが心の範囲の広がりです。

私にとってはやはりトイレ掃除
この心の範囲を広げるために最も役立ってくれました。

公衆トイレを磨くことは、
公衆トイレボランティアというのとは少しニュアンスが異なります。
ボランティアというのは、
人のために無償で奉仕するという意味合いですが、
私のトイレ磨きは完全に自分のために行っているからです。

これまで何度も言ってきましたが、
トイレ掃除を実践すると奇跡が起こるというのは事実です。
そして『トイレ掃除は心磨き』であり、
自分自身の心に大きな変化を呼ぶことも事実です。

これは多くの人が同様の体験をしていることであり、
その喜びを知っているからこそ、
熱心な人はずっと何年もトイレ掃除を続けているのです。

私はトイレ掃除をはじめて半年で、
自分の心が以前よりも穏やかになったことを実感しました。

なぜそうなるのか、
そんな心理は本来分析するものではないのかもしれませんが、
あえて考えてみると、
公衆トイレの汚れというものは、他人がつけたものであり、
本来自分にはまったく関わりも掃除する義務もないものです。

それをあえて自らが進んで行うというのは、
自分というものの範囲を広げ、
自分と間接的にでも関係のある人たちの喜びを、
自分のものにしようとするトレーニングだからではないかと思われます。

ボランティアというのは自分の範囲外のことをさせてもらうことですが、
トイレについた他人の排泄物の汚れというのは、
自分から最も遠く、また忌み嫌うものだからこそ、
自分、自分の心を広げる働きが大きいのではないかと考えられます。

あくまでも過去との比較ということですが、
私はトイレ掃除をはじめてから、
明らかに気持ちが穏やかになり、
自分と違う意見に対しても、無気になって反論したりすることが少なくなりました。

便器についた他人の汚物を素手で触ることを続けているせいでしょうか、
身の回りで起こる不本意な出来事、意見に対しても、
無意識のうちに受け入れることができるようになったのかもしれません。

これは本当に自分にとって幸せなことであり、
これを実感できるからこそ、
「トイレ掃除は自分のため」であり、
またあえて誤解を受けるような表現ですが、
「私はトイレ掃除を損得勘定でしています」
と公言しているのです。

損得勘定というのはすごく利己的な表現ですが、
人間は本来究極的には利己的なものであり、
他人への奉仕が好きな人も、それはその人が好きで行っていることだとも言えます。


私にとってはトイレ掃除は心を磨き、心の範囲を広げる最高の手段です。
けれどもだからといって、
みなさんに絶対にこれをしてくださいとは言いません。
同じような方法はたくさんあり、
またそれを自ら見つけていくことにも価値があります。

ただ自分の経験から言えることは、
他人のいやがるようなこと、本来自分がやらなくてもいいようなこと、
下々のこと、
そういった中にこそ、自分を磨き、
心の範囲を広げる鍵があるのではないかと考えられます。


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2011.6.13 Monday  
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