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命が燃えた日

今日で阪神淡路大震災が起こってからちょうど16年が経ちました。
私の本籍地は母の実家である兵庫県西宮市です。
夙川の松園町というとても閑静な住宅地なのですが、
ちょうど活断層が近くを通っていたらしく、
震度7の烈震を受け、町の様子は一変してしまいました。

私はそこに暮らしていたわけではなく、
母の実家ももうなくなっていたのですが、
後日何度か実家のあった近辺を歩いても、
はっきりと場所が分からないほどです。

私の出た甲南大学は神戸市東灘区にあり、
ここもかなり大きな被害を受けたところです。
震災後しばらくは大きな体育館が被災住民の避難場所になっていて、
後輩は在校生だけで16名の人が命を落としました。

一昨年から懇意にしていただいている加藤りつこさんの息子さん貴光くんは、
当時私の本籍地である西宮の夙川のマンションで暮らしていて、
崩れ落ちてきたマンションの瓦礫の下敷きになって亡くなりました。

貴光くんの肉体は亡くなってしまったものの、
彼の魂は、
彼がお母さんに書いた手紙「親愛なる母上様」に込められたメッセージとともに
今も多くの人の心で生き続けています。

私も彼が通っていた高校のすぐ近くにある喫茶店「赤い屋根」に行くと、
いつも貴光くんのことを思い出します。
  <赤い屋根 〜風がくれた贈りもの〜>


  かごめかごめ 籠の中の鳥は
    いついつ出やる 
      夜明けの晩に 鶴と亀と(が)滑った
         後ろの正面だあれ?

四国は八十八カ所巡礼が有名ですが、
その四国には霊山と呼ばれる山がふたつあります。
ひとつは石鎚山、もうひとつは剣山です。
四国はこの東西二つの山を中心に
気が横向きの8の字形に巡っていると言われています。

剣山の山肌には自然石で作られた鶴と亀の形をした岩があり、
昔は鶴亀(つるき)山と呼ばれていたそうです。

その鶴と亀がまだ薄暗い黎明の時刻に滑り、
あわ(最初の文字と最後の文字が合わさって “神” の意味)の道(淡路島)を通り、
神の戸を開いて中に入っていった、・・・
こんなことを当時聞いたことがあります。


真偽のほどは分かりませんが、
これだけ大きな災害に対しては何らかの必然性を見出したい、
そしてそれによって自分の心を納得させたいという心理が働くのだと思います。

私の母はこの震災後二ヶ月経った三月に脳出血で亡くなるのですが、
奈良の家で毎日テレビを見ては、
変わり果てた故郷の姿に涙していたそうです。

今日の新聞には被災地での慰霊の集いの様子や、
震災で亡くなった遺族の方の今も心に苦しみを抱える思いが綴られていました。

人はいつか必ず死ぬ運命を背負って生きています。
死は忌み嫌うべきものではありませんが、
深い悲しみを伴うものであることは事実です。
特にこのような災害の場合はなおさらでしょう。

私も今日は自宅で般若心経を唱えながら、
亡くなられた方のご冥福をお祈りさせていただきました。

亡くなられ方たちへの最大の供養は、
祈らせていただくことによって自らの心に命の尊さを深く刻むこと、
そして現在与えていただいている生をより全うすること、
これしかないと思います。

ありがとう ごめんなさい 許してください 愛しています

2011.1.17 Monday  
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