宝くじと人生<2>
宝くじに当たる人は幸運な人なのでしょうか。

たしかに大金を手に入れたという結果だけを見ると超幸運なのかもしれませんが、
全体を通してのその人の人生の流れを見ると、
前項で書いたように決して幸運とは呼べない状態になってしまうのが自然の理です。


幸運と同じような意味で「ツイてる」という言葉を使うのが、
最近一部で流行のようになっています。

“ツイている”の元々の語源は“憑いている”ということです。

憑きものとはキツネやタヌキなど、いわゆる物の怪(け)です。
物の怪ですので即効的な力はあるものの、
その後お礼をし、大切に崇めなければ大きな祟(たた)りがあります。

高額納税番付で常に上位を保ち、「ツイてるな〜」という言葉を唱え、
「ツキ」を自分に呼び込むための方法を伝えることを使命(?)とされている
斎藤一人さんには、信奉者と呼べるほど熱烈に支持をする方がたくさんおられます。

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先日も毎週参加している積極人間の集い
斎藤一人さんの信奉者の方の話を聴きました。

その方の話では、ツキを自分に導き、幸せを得るためには、
  ・ 顔につやを出す
  ・ 大きなアクセサリーを身につける
  ・ 女性は花のような明るい色の服を着る
  ・ 普段から、ありがとう、ツイてる、楽し、嬉しい等明るく積極的な言葉を使う
  ・ 人の幸せを願う

こういったことが大切だとのことでした。

普段から明るい言葉を使い、前向きに考え行動することによって
望むべきいい結果が得られるのであれば、
それはとてもいいことだと思います。

しかしながらツキを求めるテクニックに走り、
分不相応な幸運を手に入れるためにのみ意識を向けたならば、
一時的にいいと思える結果を得たとしても、
最終的にはその反動を受けハッピーエンドとはならないでしょう。

ツキを求めて得られた憑きものの力はあくまでも外部のもの、
外から借りた力やモノは最終的にはきちんと収支決算しなければならないのです。


具体的な例で話をしましょう。
ここに10軒の家を訪問して一件の仕事が取れるセールスマンがいるとします。
彼がだいたい一日で回れる家が50軒だとすると、
一日平均約5件の仕事がとれるという計算になります。

その彼がなんとか現状を打破し、大きく成果を上げたいと考えました。

そこで努力をし、よりいいセールストークを考え、
持っていく資料も相手に分かりやすく説得しやすいものに変更しました。
その結果成約率が上がり、5軒に1件の仕事が取れるようになり、
これまでと同じく50軒の家を回っても、
今までの倍10件の仕事を取ることができるようになりました。

またセールス方法を変えることができなくても、
足を棒のようにして歩き、一日100軒の家を回ったならば、
10件の仕事を取ることは可能でしょう。

その時彼は「今日はツイていたな〜」と言うでしょうか?
自分が努力し、その当然の結果として大きく成果が上がったのなら
それはツキではなく実力です。
彼は決して「ツキ」のお陰とは思わないでしょう。

ツキとは実力ではなく、棚からぼた餅的幸運を求めることにも繋がります。

セールスの手法も訪問件数も変えることなく、
つまり自己改革なしに、ただいい結果、「ツキ」という幸運を自分の外に求めるから、
外から憑きものという魔が入り込んでしまうのです。


それとツキを求める人、成功哲学に熱心な人の多くは、
「自分にとって本当の幸せとは何なのか」ということを
真剣に考えていない人が多いようです。

お金、健康・・・ステレオタイプな幸福の形を
ただ機械的に追い求めているように見受けられます。

“ツイてる話”を聴いた積極人間の集いでは、
講師の話の後で参加者全員の一言スピーチがあります。

その中で広島キリスト教会の勝見牧師がこんな話をしてくださいました。
勝見牧師は神学の勉強のためアメリカに留学された経験があります。

成功哲学が盛んなアメリカで、こんな話があります。

ある人がツキという幸運を求めて山に入りました。
ほどなくして足下に落ちているツキを見つけた彼は喜んでそれを拾いました。
そうするとその少し先に落ちている別のツキを見つけ、
そこまで歩いていき、またツキを拾いました。

その山にはツキがたくさん落ちていて、
それを大喜びで拾い集めている内にどんどん山の奥に入り込み、
いざ日が暮れて家路に着こうとした時には、
家に帰るべき道が分からなくなってしまっていました。

ツキ、成功というものをがむしゃらに追い求めていると、
自分というものの本当の姿を見失ってしまう危険性があります。


とても素晴らしいスピーチでした。

これはチルチルミチルが幸せの青い鳥を探し求めていくと、
最終的には自分の住んでいる家にその鳥がいたことに気が付くお話と、
まったく逆の題材を提示しながら同じ内容を語った話なのだと受け取りました。

「ツイてるな〜」が、
「ありがたいな〜」、「感謝しま〜す」という感謝の意味で使われるのなら、
それはとても価値ある言葉だと思います。

大切なのは感謝する心と、
今現在の自分が、ただ今の状態そのままで「ツイてる」のだということを知る、
現状肯定だと思います。


「ツキ」の語源は、夜空に輝く「月」から来ているという説もあります。

「月に願いを」「絶対テンポ116」でも書きましたように、
月の運行は人間の精神に大きな影響を与えます。

こちらの「ツキ」は憑き物の「憑き」ではなく、
月のリズム、自然のリズムに則って生きるということです。

その人の持つ精神(想念)のあり方、リズムが、
月の持つ自然のリズムときれいにシンクロ(同期)し、最大限の力を発揮した時、
月の力にうまく波乗りし「ツイてるな〜」となるのです。

物事を始めるのは新月直後、
活動のピークは満月の時、
この月のリズムを活かすことがツキを呼ぶポイントです。

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私はたびたびご紹介しているこの本から月のリズムを知り、
新月が訪れるたびに心を新たにし、自分を見つめ、計画を立て、
新しい自分をスタートさせています。

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宝くじから少し話が外れてしまいましたが、
幸運とはたまたま偶然やってくるものではなく、
きわめて精巧な自然のリズム、法則、
そしてそれに基づく己の行動から導かれてくるものであるということです。


成功哲学にはどんな魔が潜んでいるのか、この本に分かりやすく書かれています。

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「表の体育・・・」の後書きにも神田昌典氏が成功哲学に対する反省を書いていて、
ここでの告白はより生々しく、
他人の著書だからこそ書ける本音が現われていて必読です。

表の体育 裏の体育―日本の近代化と古の伝承の間に生まれた身体観・鍛練法 (PHP文庫)
表の体育 裏の体育―日本の近代化と古の伝承の間に生まれた身体観・鍛練法 (PHP文庫)甲野 善紀

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2007.9.25 Tuesday


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