トイレ掃除は心磨き
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草の根の力

川口徹


 一月の清掃に参加させていただきました。場所が平和公園でしたので、締めくくりの挨拶で、先川さんが公衆トイレの清掃と世界平和を関連付けて話しておられましたね。私もそのことを思い返しては、つくづくその通りだと感じているこの頃です。

 多くの戦争は、おごり高ぶる人間の心が招いた結果だと思います。いや、ほとんどの戦争がそうではないでしょうか。戦争を始めるため、また続けるために作られた聞こえの良いスローガンは歴史上に数限りなくあります。しかし隣人を傷つけ、彼らの幸せや自由を奪うことを正当化できる良い理由や言い訳は無いはずです。自分の欲望を満たすために他の人々を犠牲にすること。それこそが戦争の本質だと思います。

 より小さな「争い」はわたしたちの身近にもあります。自分の利益ばかり追求すると、他の人たちとの間に軋轢が生じることは避けられません。だから、わたしたちは自分を愛するように、隣人をも愛さなくてはいけません。そして、隣人を愛するために、わたしたちは謙虚でいなくてはいけません。

 さて、私にとって公衆トイレの掃除は、自分を謙虚に保ってくれるひとつのことです。自分の家のトイレを掃除するのは簡単です。しかし、公衆トイレを含む公共物はどうでしょうか。ごく一般的な考え方は、「どうして人様が汚したものを私が掃除しなくてはいけないんだ? 汚した本人が掃除するべきだろう?! それに、きっと誰かお金をもらって掃除しているやつがいるだろうし…」でしょう。このような責任転嫁、利己的な態度は掃除に限らず、あらゆることに見受けられると思います。これでは日本を良い国にはできませんし、世界平和も望めないと思います。もし、すべての人にとって住み良い世界を作りたいならば、損得勘定ばかりはしていられません。自分ばかりではなく、他の人にも住み良く感じてもらえるように、余分の努力をしなくてはいけないからです。たとえ、それが自分には何の得にもならないように思えてもです。

 人が、他人の幸せを考えられるほど謙虚で、心に余裕を持てるならば素晴らしいことです。そして、公衆トイレの清掃には、そうした心を育む力があるように感じます。公衆トイレの清掃に参加している人たちの思いに損得勘定など微塵も感じられません。そればかりか、他の人が汚したトイレを、参加費を払ってまで掃除することに喜びを感じているのですから。「トイレを磨きながら、自分の心も磨いている!!」‐‐それが、信条の一つですからね。参加させていただき、それが真実であることを私も実感しています。これは理屈ではわからないことです。掃除を終えたあとの爽快感、充実感は他では味わえないものがあります。

 さて、話を「世界平和」に戻しますが、草の根の人々の意識は大切だと思います。尖閣諸島問題の後、中国人に対して悪感情を抱いている人は少なくないと思います。でも、私には中国人の友達がおり、個人で付き合っている限り、彼ら一人一人は良い人たちであり、私は彼らとの友好関係を楽しんでいます。こういった草の根の人たちの友好関係というのは、世界平和の真の礎になると信じています。そして、住み良い世界を作ることについても、国や政府の役人ばかりを当てにしていることはできません。自分たちにできることをこつこつと続ける善意を持った草の根の人々こそ、幸せな世界を築いてゆく主役たちであると思います。そういう意味でも、この活動にひとりでも多くの人たちが参加し、日本ばかりではなく、世界中にこの輪が広がっていくことを心から願っています。

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