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スピリチュアルビジネス

時代が大きく変わりゆく中、
いち早く形を変えていくものと、
旧来の様式に止まり、
なかなかそこから脱することのできないものとが混在しています。

中には外側の形は大きく変わっても、
その本質となる中身はこれまでとまったく変わらないものも見受けられ、
それは本質から乖離しているという自覚を生まない分、
大きな危険性を伴っているように思えます。

究極的にはこの世の中に善悪といったものは存在しません。
どんなに人を惑わすようなものであったとしても、
そこから何かを感じ、学び取れたならば、
それはそれでそれなりの価値、役割を持っていると言えるでしょう。

けれどもこの大転換の時をスムーズに通り過ぎ、
明るい新しい時代を少しでも混乱のない形で迎えたいというのは、
多くの人の願うことであり、
また今に生きる私たちが果たさなければならない務めなのだと思います。

本質があって形がある、
混沌とした現代だからこそ己をしっかりと見つめ、
大切なものは何かを見定めなければなりません。


金属のように形がしっかりとあり、
強い拘束力でもって人を導いていた時代は終わりを迎えようとしています。
そのひとつの表れとして、宗教というものが形骸化し、
その悪い面が大きく露呈してきています。

それに取って代わるように現われたのがスピリチュアリズムで、
水のようにしなやかで自由な教えは、
人の心を喜びとともに解放させてはくれますが、
形のない水は捉えどころがなく、
自らの強い思いがなければどこかに消えていってしまいます。


現在世間で広まっているスピリチュアリズムの中には、
形こそ自由でおおらかですが、
中身は知識や方法論という形式を重んじ、
強い拘束力でもって自らのグループに導こうとしているものが見受けられます。

形を重んじる宗教は厳密なる教義、組織、建物等の施設、プロの専従者を持ち、
それを維持するために多額の資金や労力を必要とします。
それは決して悪いことばかりではなく、
それが人をひとつのものに引きつける力となっています。

スピリチュアリズムは本来その宗教とは対極に位置するものです。
けれどもスピリチュアリズムで商売をしようとすると、
どうしても宗教と同様に、
「私たち、私たちの説くものが絶対である」ということをアピールし、
自らの魅力とともに人を引きつけなければならなくなってきます。

自由が信条であり、自らの内に神性を見出すはずのスピリチュアリズムが、
拘束と外への依存という形になるのです。


『表大なれば裏大なり』、
この東洋の基本的真理を、
今この価値観が大きく移ろい、魅力あるものが数多く現われている今だからこそ、
声を大にして言いたいと思います。

スピリチュアルな世界には魅力あるメッセージがあふれています。
けれどもその魅力の陰には、
反面大きな危険性を伴っているということをよく心得ていてください。

それが魅力的であり、素晴しい結果を生むものであればあるほど、
人はそれに傾倒し、自らを見失ってしまいます。
どんな魅力的なものであっても、そのもの自体に価値はありません。
それを自らの内面に消化し、自らが輝くところに価値が生まれるのです。

外の世界に魅力を感じ、心引き寄せられた結果、
自らの内面に目が行かなくなってしまっては本末転倒です。


スピリチュアルリーダーと呼ばれる人たちの中には、
その人たちの説く言葉とは裏腹に、
「私の唱える教え、方法論こそが魅力ある最高のものです。
 本当に価値あるものはここにあり、あなたの内面にはありません」
というメッセージを発信し続けている人がいます。

こういったメッセージに惑わされるのは、
やはり惑わされる方に何かに依存したいという心の弱さがあるからでしょう。

私たちは学校や社会で、効率的で便利なものこそ価値がある、
より多くの “正しい答” を知ることが善であり、
その答を導く過程で無駄な時間を費やしても意味がないと
教え込まされてきました。

それが現在の “正しい答” 、 “効率的な方法” をセミナー等で伝授する
スピリチュアリズムを生み出した元であると思われます。

答は人それぞれ、万人にとって正しい答など存在しません。
答が尊いのではなく、その答を導く過程で感じ取る知恵が大切です。
そしてそれを知ることは、
本当のスピリチュアリズムの大きな目的のひとつだと考えます。


このようなことは以前も書いたことがあると思いますが、
最近そういったことを強く感じることが何度かあったので、
あえて再び書かせていただきました。

この私の考え方が絶対に正しいわけではありません。
私の考え方自体に価値はありません。
こういった考え方があり、それを知ることによって、
読んだ人自身が価値判断する時の材料にしていただければいい、
ただそれだけのことです。


具体的に書いた方が分かりやすいので、
実際にネットで見たこととそれについて感じたことを書かせていただきます。
繰返しますが、これはあくまでも私個人の意見であり見方です。

スピリチュアルな世界に、あるカリスマ的魅力を持った女性がおられます。
まだ若いとても容姿の美しい女性ですが、
自からスピリチュアルなことを専業とする会社を興し、
それをサポートする代理店となるメンバーも何人かおられます。

会社組織を維持していくためにはお金が必要です。
それ自体は悪いことではありませんが、
スピリチュアルな世界でそれが行き過ぎると、
様々なグッズやセミナーで伝える方法論に大きな価値があるということを
言わざる得なくなり、
「自分の外側に価値がある」ということを周りに思い込ませるように進んでしまいます。

アセンションの時はもう間近だそうで、
そのため、それを準備するセミナーが準備されています。
毎月一回12回シリーズで、一回の受講料が5万円、
それを一括で申し込むと割り引きがあった50万円だそうです。

それだけの額のお金を出してもいいと思わせるほど、
この方には魅力があるのでしょう。


そのセミナーのことは、代理店の方のブログで知りました。
代理店の方たちはそれぞれ個人でブログを持っていますが、
時折そこに書かれている内容が、
他の人のブログとまったく同じ文章ということがあります。

以前その代理店の一人の方と懇意にしていたので、
その方のブログの文章とまったく同じものを他の方のブログで見つけ、
他の諸々のこととともに、そのことをメールで尋ねたのですが、
残念ながらメールの返事が返ってくることはありませんでした。

同じ仕事仲間で了解の上とはいえ、
他人が書いた文章をあたかも自分の文章のように発信するのは、
読み手に対するスパム行為ではないかと思いますが、どうでしょうか。


その方はTwitter もしていますが、
その方のフォローしている数は数千人です。
Twitter をしている方ならお分かりでしょうが、
数千人のツイートしたメッセージをすべて見ることはほぼ不可能です。

これの意味することは、
自らツイートしたメッセージは多くの人に読んでもらいたいので、
多くの人をフォローし、そしてそのお返しに自らもフォローされ、
自分はそのフォローし合った人たちのメッセージには目を通さないということです。

もっと分かりやすく言うならば、
自分のことを知ってもらいたくて何千人の人と名刺交換はするけれど、
もらった名刺が多すぎるので、そのほとんどを破り捨ててしまうということです。

こういったことをする人に、
なぜ人の生き方や心の問題を説くことができるのでしょうか、
私はそのことが根本的な疑問です。


同様のことは、まったく別の人でFacebookでも感じたことがあります。
ある幅広く活動している昔の知人から「友達リクエスト」が送られてきました。
その人のFacebook上の「お友だち」は四千名以上です。
その方は生き方についての本を出版されたそうですが、
人をまったく大切にしない人の説く生き方とはどのようなものなのか、
それを知りたいという意味で興味を覚えました。

『表大なれば裏大なり』、
TwitterもFacebookも、私たちのコミュニケーションのあり方を
根本から変える大きな力を持つ素晴しいツールです。
けれどもそれが素晴しいあまり、
人の思いを平気で踏みにじるようなことが平然と行われたり、
また我々のそういったことを感知するセンサーが鈍くなってしまのは、
きわめて恐ろしいことです。

素晴しいと思えるものほど、その負の側面を感じながら関わらなければなりません。


話が少しそれましたが、
そのカリスマ的スピリチュアルリーダーの女性は、
一昨年自らの生い立ちと考え方を綴った本を出版されました。

言葉にできないとほど壮絶な半生を過したその方は、
今明るく生きているだけでも強い説得力を持ち、
それを乗り越えられたからこそ人前で様々なことを説くことができるのだと感じました。

その本を読んだ後、
Amazon のカスタマーレビューにどのような書き込みがされているか気になり、
そのページを見に行きました。

今現在、5人の方がレビューを寄せ、評価しておられます。
全員が最高評価の五つ星です。
そこで少し気になったので、レビューを書いた人について調べてみました。
するとその内の4人は、
レビューを書いているのはこの本だけだということが分かりました。

これだけでもってその評価をやらせだと判断することはできませんが、
他の様々なビジネス手法から考え、
なんらかの操作があったと疑ってしまうのは自然な感情です。


この方が本当にどういう人なのかはまったく分かりません。
また人の価値を計る客観的尺度などないのですから、
自分がどう感じるのか、それだけで十分です。

ただやはり大切なことはひとつです。
本当の価値や輝きは己の内面にのみ存在し、
その内面に基づくしっかりとした価値観を持ち、
その上で自分の周りのものを判断して欲しいということです。

高額なセミナーに参加し、グッズを購入することが悪いとは言いませんが、
そこから得られる知識や効果とともに、
自らの内面に、外を指向する思いが湧いてくる危険性があることを知ってください。

幸せは得るものではなく、今ここにあるということに気づくものです。
大切なことは人から教えてもらうことはできません、
自らが感じ、気づくしかないのです。

外から得られるものは、
あくまでもその内面の気づきを手助けするものに過ぎないのです。


生きていく上で本当に大切なものは何なのか、
この動画を見て感じていただければと思います。



2012.1.23 Monday  
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