ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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ヨガナンダ



元はじまり<7>

自らの思いや行動が運命を形作るというのは、
ほとんどすべての宗教やスピリチュアリズムが説くことであり、
そのため、幸せになるためには『善行』を積まなければなりません。

善行とは、日々の家族や社会との交わり、ボランティア活動、・・・
本来は何であっても構わないのですが、
これまでの金属の時代の宗教(組織)の場合、
教会組織や建物、プロとして活動する宗教家の生活を維持するための資金、
その宗教独自の儀式や礼拝、
そういったものを提供したり行うことが、
最も尊い善行として評価を受けてきました。

どの宗教も自らの教えが最も価値のある尊い真理であると
説いているわけですから、
そこで示された様式に則った儀式や礼拝を行うこと、
その尊い教えを広めるための資金を提供することは、
最高の価値あることとするのは当然のことです。


宗教にお金の問題は付きものであるとよく批判を受けますが、
金属の理を受けて形ある組織を維持していく以上、
お金のことは避けては通ることのできない問題です。

お金というものは誰にとっても大切なものです。
それを提供するというのは大きな決断のいることであり、
それによって決心がつき、腹が据わるという効果もあります。

一日の日当が一万円の人が十万円の寄付をするということは、
その人が丸十日間、
その組織に対して勤労奉仕をするということに等しい訳ですから、
やはりこれは大きなことです。

けれどもお金や権力の集中するところには、
必ず腐敗の根がはびこります。
今は金属の時代が終焉の時を迎え、
そういったことがどんどん表に表れるようになっています。

真宗大谷派と本願寺の「お東騒動」
創価学会と大石寺との抗争
私の知る天理教でも、全国、海外にある万を数える教会の
教会長の任命権、土地、建物の権利等は教団の本部が握り、
それを巡っていくつかの教会と本部で対立が生じているということを耳にしています。

心のあり方を説くはずの宗教における醜い争いは、
まさにおぞましいという表現がピッタリです。

親しくしている真言宗のお坊さんの話によると、
四国八十八カ所の霊場であるお寺には、
毎年引きも切らせず参拝客が訪れていて、
財政的にもかなり裕福なところが多く、
放蕩息子に百万単位で小遣いを与えている寺もあるのだと嘆いておられました。

宗教組織に寄付するお金は「浄財」と呼ばれ、価値があるものとされ、
お布施は最も大きな功徳を積む善行であってしかるべきです。
けれどそのお金が最終的にどのように巡り、
周りの人たちにどの様な影響を与えるのかを考えてみたならば、
盲目的にお金を寄付するのはいかがなものかと思います。

もっとも宗教団体に寄付をするお金に限らず、
それが及ぼす影響が最終的にいいものになるかどうかといった判断は、
誰にもつけることはできません。

狂信的な思想を持つ集団の中には、爆弾を抱え、
異教徒の民衆とともに自爆することが最高の善行とするものがあるように、
そもそも善行といったものは、
その人の主観で判断するしかないのです。


○○寺にお参りさえすれば、□□教の神様に手を合わせさえすれば、・・・
そういった形と権威ある組織に身も心も依存しようとする心が、
自らの主観の目を曇らせ、その組織をも腐らせていく元凶となります。

それは宗教だけではなく、スピリチュアリズムの世界でも同じです。
テクニック依存、セミナー依存では、
本当の自分の内に潜む輝きは見えてきません。


私は宗教を「元はじまりむとして精神世界の道を歩んできました。
そして滅び行く宗教の教えの中からも、
まだまだ新しい時代に受け継いでいかなければならない大切なものがあると感じ、
またそれを伝えるのが私の役割だと信じ、
こうして宗教のことを語らせていただいているのですが、
今もし何か心の問題を学びたいという人が目の前にいたとしても、
その人に何かの特定の宗教による信仰を持つことは正直言って勧められません。

かと言って、これまでの宗教に代わる、
人の生き方をも変える大きな力を持つものはなかなかありません。

今は古いものを持っていた手のひらを開き、手放し、
これから新しいものをつかもうとする過渡期なので、
何かこれといった明確なものを示すことができないのは致し方のないことです。

またその不安定な過渡期において、
自分にとって大切なものを懸命に探すところに意味があり、
それ自体が価値あることなのだと思います。

最近は「自分探し」という言葉をよく耳にしますが、
これまでの、自分の外にある「いいもの探し」をしていた時代から、
本当の自分を見つける「自分探し」の時代になったのですね。
今という時を象徴する大切なキーワードです。

2011.2.7 Monday  
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