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言葉の重み<2>

言葉はとても大きな力を持っています。
「ペンは剣よりも強し」と言われ、
報道を通しての言葉は、武力よりも人の心を動かす大きな影響力を持っています。

言葉による自分自身に与える力も同様です。
普段口にする言葉によってその人の考え方や行動は大きく左右され、
口ぐせがその人の運命をも変えうる力を持っているのは、
今や多くの人が認識することとなりました。



けれども、言葉が大きな力を持っているとは分かっていても、
そう簡単に習慣化した言葉づかい、口ぐせを変えることはできません。

それは口ぐせはその人の生き方そのものであり、
それを変えるということは、
その人の行動や習慣、心の中のあり方など、
様々なものの変化を要することだからです。

これはスペースクリアリングとも同じです。
ガラクタを捨て、部屋を片付けると人生が変わると分かっていても、
なかなかすぐには行動に移すことはできません。

できないけれども、できない中で、
それでもどうしていくのが最もやりやすいのかということを
考えなければなりません。

「今日からあなたの生き方、運命を変えなさい!」
などと誰かに言われても、すぐに実行に移すことは絶対に不可能です。

しかし生き方や運命はすぐには変えられなくても、
口ぐせを変えたり、ガラクタを処分することは、
努力を必要とすることではあるものの、
やる気と決心さえあれば実行することは可能です。

運命や生き方という最終目的地に至るには、
その最も身近な入り口はどこかを探し、
そこから入るのがいいのです。

心が変われば、態度が変わる。
態度が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。


これはよく見かける有名なメッセージですが、
この第一行目に、
「言葉が変われば ・・・ 」、あるいは
「ガラクタを捨てれば ・・・ 」
という一行を入れるとより適切かと思います。


なかなか口ぐせを変えるのが難しければ、
日常生活という全体ではなく、
その中の一部分である限られた時間だけでも
いい言葉を唱えるようにすればいいのでしょう。

その代表的なものがホ・オポノポノです。
ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛しています。
この四つの言葉を一日中唱える必要はありません。
一日の中で気が向いた時に唱え、
それで自分の心が変わり、
日常の言葉づかいである口ぐせも変えていくことができます。

まずは入り口から、そして取っかかりのいい一部分から、
そこから少しずつ奥へ奥へと進んでいけばいいのです。

まずはやろうと決心すること、そしてそのための第一歩を踏み出すことです。


言葉についてもうひとつ思うのは、
言葉は入り口としてとても大切なステップではありますが、
それ自体が目的化してしまっては、
他の大切なものを見失ってしまう可能性があるということです。

私の知り合いでとても気立てのいい男性がいます。
気が優しくて親切で、よく人のお世話をするので周りからの評価も上々です。

けれども彼は本質を見抜く力が無く、依存心が強く、
自分の苦手なことからはいつも逃げ腰で、
その逃げ腰の態度を、論理のごまかしでもって心の中で抹消しようとしています。

真面目に自分の仕事に取り組むことが嫌いな彼は、
神社仏閣で願い事をするのが大好きで、
それによって自分の運命を拓こうと、延々と努力をし続けています。

言葉づかいが大切だということも、
大好きなどこかのセミナーで耳に入れたらしく、
ありがとうと言うことことが大切だ、感謝の気持ちを持とう、・・・
そんなことを紙に書いてコピーしてみんなに配っていました。

仕事嫌いで御利益大好きな彼は、
いつもお金がなくてピーピー言っています。
身近な人に仕事を頼む時は、
いつもタダで、または昼飯おごるから ・・・ とお願いして回っています。

感謝とはなんでしょうか。
言葉で「ありがとう」と唱えることも感謝ですが、
それはその人の心や行動を代替するから価値があるのであって、
それ自体が最終目的ではありません。

ありがとうと言えば御利益がある、
いつもありがとうと感謝の言葉を述べているから、
行動で感謝を示さなくてもいいのだということになれば、
それは本末転倒です。


言葉は己の心を磨き、行動を変えていく道具として価値があるのであり、
それ自体に招き猫のような御利益を期待するのは間違いです。

それはホ・オポノポノでも同じです。
四つの言葉は意味のないまじない言葉ではありません。
四つの言葉を己の心に向かって唱え、
それによって自分自身を変化させていくから効果が生まれてきます。

すべての基本は同じです。
主体はあくまでも自分であり、
自分以外のものに依存してしまっては本来の価値は得られません。

言葉は大きな力がありますが、
どんな言葉を口から発するかということと同時に、
その発した言葉を自分自身どう生き方に活かしていくかということが、
より一層大切なのです。

「ありがとう」という感謝の言葉はまず自分に向かって発するべきです。
そしてその感謝の言葉とともに、
自分自身をより深く愛してください。

自分を深く愛し、その自分の中に価値の原点を置き、
主体性を持つことがすべてのはじまりです。

2010.12.3 Friday  
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