ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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ヨガナンダ



怒り

陰極まれば陽となる、
空気を入れ過ぎた風船のように、
たまりにたまったものはいつかは耐えきれなくなって爆発します。

人間の感情も同じです。
怒りの感情は、普段は抑えられていても、
なにかのキッカケで爆発してしまうことがあり、
その感情を腹の底まで落とし込むことができた昔の人たちは、
「堪忍袋の緒が切れた」と表現し、
現代の若者のように頭部の感覚器官から入った刺激を
胸にまでさえ落とすとのできない人たちは、
「キレる」ということになってしまうのです。

ためていたものが表に出る時は、
一気にあふれ出るようになってしまうのは自然現象です。
昔は社会的に抑圧されていた女性が殺人を犯した場合、
堪え忍んできた怒りの感情があまりにも大きいので、
残酷な殺し方をする場合が多いと言われてきましたが、
今はきっとそういうことはないと思われます。


私は普段から思ったことはハッキリと言うタイプですので、
突然に怒り出すということはほとんどないのですが、
昨日、たぶん十数年ぶりに怒りが小爆発してしまいました。

家の近所に周りの人たちに多大な迷惑をかけ続けている人がいて、
私はその中でも最大の被害者です。
普段はそれをずっと耐え、自分自身の責任だと納得し続けてきたのですが、
よっぱどその怒りがたまっていたのでしょう、
昨日ふとしたはずみにその怒りが表に出てしまいました。

怒りが爆発するというのは肉体的感覚ですね、
怒りという感情が胸にわき上がり、それが抑えられなくなった時、
次の瞬間には口や体が勝手に動き出しています。


十数年前、解体工事の仕事をしている時、
その現場の責任者だった私の言うことをまったく聞かず、
自分勝手に段取りを決めて仕事をするベテラン作業員に対し、
発車しようとするダンプカーのドアを思いっきり開けて、
湧き上がってくる怒りの言葉をその作業員に怒濤の如くぶつけていました。

こみ上げてくる感情に肉体を支配されるといった経験は
その時が初めてだったのですが、
ほんの少しの後味の悪さとともに、
胸の内がスッキリとした爽快感を味わいました。

汗と泥にまみれる土木作業の世界は、
いい意味でも悪い意味でも感情むき出しの世界です。

私はその世界にいた約十年間に、
体の底からわき上がってくる感情、直感の大切さ、
目に見えるものと見えないものとのバランスということを学びました。


昨日爆発した怒りは、そんなに大きいものではなかったのですが、
物心両面で「手放す」ということを実践している私にも、
まだまだ抑えきれない感情の渦があったのだということを気づかせてもらい、
少々気持ちが落ち込んでしまいました。

怒りを向けた相手はそれ以上のことをしているのですから、
その人に対する罪悪感はまったくありませんでした。

ただ自分の至らなさに気づいたということです。


怒りが顕在化し、胸の中の感情は一時大きく高まりました。
そしてそれによって自分自身がまた落ち込み、
落ち込むことによってまだまだ学ぶべきことがあるということに気づき、
先の「利他的な愛<2>」に書いた、嫌いな人に対して
「○○さんのお陰でこんなことが学べました。ありがとう ・・・ 」
という感謝の祈りを実践せざる得なくなりました。


一を知って十理解できる人、人の振り見て我が振り直すことのできる人、
いいと思えることをすぐ実行できる人、
こういった人が頭のいい人だと思いますが、
残念ながら私はそんなタイプではありません。

けれども「神のご守護」には恵まれていて、
いつも素晴らしいタイミングで気づきと学びの場を与えていただきます。


怒りが爆発し胸の中が少しスッキリしたからでしょうか、
その人のことをより冷静に見られるようになりました。

「嫌いなあの人、あの人からたくさんのことを学び、心の成長を促してもらえる」
「それを望み、私自身があの人を身近なところに創造したんだ」

このことが、これまでよりも一段深く得心できるようになりました。
これはけっして無理に思い込もうとしたわけではありません。
自然な心の反応です。


自ら創造したものだから、それに対する怒りの感情を手放さなければなりません。
いや、手放さなければならないのではなく、
手放せるようになるはずです。

怒りを爆発させた自分に対しても、
その罪悪感、不快感を受け入れ、手放さなければならないでしょう。
  (感情はまず認め、受け入れ、そして手放すのが順序です)

これは一般論として言えるのかどうか100%の自信は無いのですが、
心の中で潜在化している思いは、
一度表に出した方がスッキリして、
冷静にその感情を見つめることができるのではないでしょうか。

大昔にこんなことを聞きました。
「感情を胸に秘めて表に出さない人は内臓の病気になり、
 感情を大っぴらに表に出す人は、ケンカになって怪我をする」
なるほど ・・・ よく分かる気がします。

どちらにしても、そこから得た経験をいかにいい方に活かすか、
そしてその場の感情を受け入れ、手放すかでしょう。


日中家にいる時はパソコン画面に向かっている時が多いので、
それも感情をいらつかせる原因かと考え、
今日は100円ショップで観葉植物を買ってきました。

パキラ ミリオンバンブー カジュマル

これを机の上に置き、いつも愛でることにより、
より穏やかな気持ちで日々過ごせるようになりたいと思います。

感情は波立つもの、感情も循環し、
波のように、二重らせんのように進化していくのです。

2010.9.11 Saturday  
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