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ヨガナンダ



命の重さ

「一人の人間の命は、地球上のどんなものよりも重い」
四十年ほど前、ウルトラマンかウルトラセブンか、
そんな特撮もののテレビ番組を見ている時に耳にしたセリフです。

まだ子どもだった当時、
学校の道徳の時間でも「命の大切」について繰り返し聞かされ、
それはごく当たり前のこととして深く心で感じていましたが、
子どもより「より道徳的」であろうはずの大人たちが、
戦争などで無益な殺し合いをする姿に、
大人社会の矛盾の一端を感じたものです。

命とは何か、命の価値とは、
私たちが生きる上で最も根本的なこの概念ですら、
突き詰めれば実に不確かで、矛盾に満ちたものであることを感じます。


「最も尊いものは命」、これまでの述べてきたように、
この考え方が人類すべての人たちに徹底されない限り、
恒久的な世界平和は訪れません。

人間の頭で考えた論理や倫理、正義といったものは、
その時代や民族によっていくらでも改変することが可能です。
利害関係の異なるもの同士が互いの正義を振りかざし、
お互いを殺し合うということが、
過去の歴史で幾度となくくり返されてきました。

人類は近年文明の発達を得て、
スイッチひとつで何万人という人を殺すことのできる核兵器を無数に持ち、
細菌兵器、地震兵器、コンピュータテロ、
私たちの命や生活に甚大なる影響を与える近代兵器を作り出すことは、
実に容易なこととなりました。

これは幼稚園の砂場でケンカする子どもたちの手に、
実弾の入ったピストルが握られているようなものです。

この危険な状態から脱するためには、
握られているピストルを手放すと同時に、
ケンカをしている互いの論理や正義を裁く以前に、
「ケンカは絶対にしてはいけない」というルールを徹底するしかないのです。

日本の戦国時代のように、争う者同士が槍や刀を振りかざす時代であれば、
これは理想論ということで一笑に付されても、
それは致し方のないことかもしれません。

けれども戦争のことのみならず、環境問題、自然災害、・・・
人類滅亡の様々なシナリオが、
現実問題として私たちの目の前に迫ってきている現在、
この理想論を現実化さすしか
私たちが地球上で生き延びる道はないものと確信しています。


人類は、今大きなふたつの未来を選択の時を迎えています。

ひとつは誰しもが感じている
人類終焉の時が間近に現実として起こるということです。
もしそうなるとすれば、それは数十年後といった遠い未来ではなく、
ごく近い将来に起こりうる可能性が大でしょう。
  (もちろん、そうならないことを信じています)

もうひとつは、現在のすべての面での閉塞感を打破し、
まったく新しい、まさにパラダイムシフトした、
今話題の言葉で言うアセンション(次元上昇)した世界が、
目の前に開けてくるというものです。

多くのスピリチュアルな人たちが語るアセンションというものが、
実際に起こるのかどうかは分かりませんが、
そこで語られる理想的な未来の姿は、
過去の歴史をひもとき、論理的に分析し、
歴史をひとつの生命現象として捉えた「文明法則史学」から導かれる
これからの人類のあり方と大いに一致するものです。


今は巨大な歴史の転換期であり、
これから人類は、陰の時代、東洋の時代、そして命の時代を迎えます。

これまでの800年間は、西洋を中心とした陽の時代でした。
そしてたぶんより長い6,400年というサイクルで続いていた金属(陽性)の時代も
同時に終焉を迎え、
これからきわめて急速に、陰の時代、水(陰性)の時代へと入っていきます。

きれいな波を描く歴史の流れから見て、
この変化のスピードは、これから数年、十数年は、
より一層加速度を増してくるものと予測されます。


これまで800年、あるいは別の見方をすれは6,400年続いた陽の時代は、
陰陽の順序で、陰から生まれた生命が、
陽という論理でより大きく発展してきた時代でした。

ですから陰である生命よりも陽である論理がより尊ばれ、
一神教の神がその論理(ロゴス)でもって生命を創造し、
命よりもその元となった論理がより大切であるという価値観が主流だったのです。

今は巨大な歴史、文明、価値観の転換期です。
まったく新しい陰陽のリズムがスタートし、
その最初は当然のことながら陰から始まります。

陰の象徴のひとつは命です。
命はすべてであり、命そのものが神であり創造主です。
命は誰かから創られたものではなく、
命を持つ私たちそのものが神であるということです。


ですからこれからの時代、
恒久平和実現の絶対条件である「最も尊いものは命」という考えは、
理想論ではなくなります。

数十年後、今と変らず人類が地上で繁栄を続けているとするならば、
この「命の尊さ」が最も大切なものとして人々の心の中に浸透するのは、
むしろ当然のことと言えるでしょう。

2010.8.26 Thurseday  
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