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必要なもの
スペースクリアリングを意識するようになって数年、
少しずつものへの執着を手放すことができ、
家の中のものが少なくなり、整理整頓も進んでくるようになりました。
自分の部屋の中の様子を見ると、
その時々の自分の心の中の状態がよく分かります。
だからこそ、多少がんばってでも部屋をきれいに片付けておきたい、
それは片時も忘れることなく頭の中にあることです。
いらなくなったもの、使えなくなったものは捨ててしまうのが当然です。
まだ使えるものでも、使う予定がないもの、
それがあることによって本当に大切なものに目が行かなくなるものも、
処分してしまうのがいいのですが、
普通はこの段階での踏ん切りをなかなかつけことができません。
それはものを処分するということが、
その人の考え方というよりも、
もっと奥深くにある体に染み込んでいる心の癖のようなものに関係し、
ものへの執着は、その場の思いだけでは手放すことができないからです。
けれどもどんな執着でも手放すことは可能です。
ものへの執着は、実際に少しずつものを手放し、
それによる心の変化を自分の心で喜びとともに感じられるようになったなら、
確実にその執着は解放へと向かっていきます。
まずはそうなれるよう、その善循環サイクルを築くことです。
それを築くまでの期間は、人によって長短があります。
ものを手放す第一歩を踏み出すことにより、すぐに喜びを感じ、
解放に向かうサイクルができてしまう人もいます。
またすぐにはその波に乗れない人もいるでしょうが、
継続は力なりです。
「もう大丈夫」と思えるところまでなんとか意欲を継続させていけば、
いつかは必ず心の中に明かりが見えてきます。
これは飛行機が飛び立つまでの滑走距離に差があるのと同じですが、
滑走距離が長い飛行機ほど、
いったん飛び立つと空高く飛ぶことができるというのも事実です。
使えないものを処分する、
使えるものでも、使わないものは処分する、
そして本当に大切なものだけを手元に残す、・・・
少しずつですが、意識は確実に進化していきます。
そして今私が思うのは、
自分にとってどうしても必要なものは何だろうか、
必要最低限のものしかない生活になったなら、
自分の心はどうなるのだろうかということです。
今は時代が急激に変化してきています。
それに伴って自分自身の心も変化していきたい、
心と対極にあるものという存在からより大きなものを学びたい、
これは私の持っているとても大切で大きな願望です。
日本でも世界でも、
大きな災害によって財産のすべてを失ってしまった人たちがたくさんおられます。
平穏な暮らしを送っている私には、
その人たちの気持ちを推し量ることはできないのですが、
もし自分がそういう立場になったなら、
たぶん今この瞬間生を受けていることに、
今よりももっと深く心を傾けることでしょう。
だから今この生活の中で、
持てるものすべてを手放すことが必要だと考えてるわけではないのですが、
もしそうなった時のことを考え、心構えをしておくことは、
今自分が与えられている状況をより正しく見つめるために
必要なことだろうと感じます。
自分にとって最も大切なものは何か、
もし家が潰れるような災害に出くわしたら何を持ち出すだろうか、
そのことを真剣に考えてみました。
家族がいればきっとその家族ということになるのでしょうが、
一人暮らしの私にとって最も大切なものは、
ものとしてはほとんど存在しないということに気がつきました。
身の回りのものは、お金を出せば再び手に入るものがほとんどです。
本好きの私は、書棚に並んでいる本に捨てきれぬ愛着を感じるのですが、
それとてどうしても今後必要となるものはほとんどなく、
またそれを手放したとしても、同様の情報はネットにあふれるほど出ています。
やはり私にとってお金で買うことのできない最も大切なものは、
知人との連絡先や過去の写真等を収めたパソコンのデータです。
そのデータは、私のデスクトップパソコン内のハードディスクだけではなく、
外付けのハードディスクにもバックアップしています。
そしてこのたび、データストレージという形で、
Yahoo!ボックス にもそのデータをバックアップすることにしました。
本当に大切なわずかなものの安全を確保すると、
より一層ものへの執着が手放せた気がします。
ごくわずかな大切なものを意識するということは、
それ以外の、今の自分にとってさほど大切ではないものの存在をも
意識することにつながります。
自分にとって絶対に必要だと思えるものの範囲を狭めていくことは、
心の表面に折り重なっている皮のようなものを一枚ずつはぎ取っていくことであり、
その行き着く先は、
心の最も深い部分にある自分自身の心の輝きにあります。
今この瞬間すべてが満たされている、
そう思えることが幸せの極致であり、
ものとの関わりを見つめ直すことで、そこに確実に近づいていけるのです。
2011.11.15 Tuesday
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