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「キレる」を考える

文明の発達した現代はすべてのものがスピード化し、
人間の思考もじっくり深く考えることなく、
衝動的とも呼べるような瞬間的反応で、
思考から行動まで結びつけてしまう場合が多くなっています。

“速い” ということ自体は悪いことではないのですが、
その速さが “思考の浅さ” につながってしまうことは大いに問題です。
特にこれが怒りの表現となると、今社会問題ともなっている “キレる” ということになり、
前後の見境なく爆発的に吹き出す怒りの表現、行動によって、
様々な問題や事件を引き起こしています。

いったんキレてしまうと、自分のしようとしていることによって、
どのような結果を生み、周りにどんな影響を与えるかという
冷静、客観的な判断がまったくできなくなってしまいます。

ナイフを振り回し、誰でもいいから人を傷つけたいという衝動にとらわれたなら、
善悪の判断はおろか、
それが被害者や被害者の周りの人たち、
また自分の今後の人生にどのような影響を与えるかなどということは
まったく頭の中から消え去ってしまうのでしょう。

インターネットの掲示板に殺人予告を書き込む事件が頻発していますが、
自宅のパソコンから掲示板にアクセスすると、
IPアドレスからすぐに自分が犯人であるということが分かってしまうのに、
キレてしまった頭では、その衝動的怒りの感情を抑えることはできません。

こういった “キレる” という感覚は、一般的に若い人たちに多く見られるのですが、
同じような感覚を持っていない人たちにとって、
キレるということを頭で理解するのはきわめて困難です。

それは “キレる” という感覚は、思考のひとつの形というよりも、
熱いものに手を触れると思わず手を引っ込めてしまったり、
寒いところに行くと体が自然と震えてくるような、
そういった肉体的、生理的反応に近いものだからです。


一昨日、ネットで下記のようなニュースが配信されているのを目にしました。
“キレる” というのはやはり大きな社会問題となっているようです。

<対人関係>「キレる」構造を研究へ 文科省
8月19日2時31分配信 毎日新聞

 引きこもりや「キレる若者」など対人関係の不適応が問題化していることを受け、文部科学省は来年度から、人間の社会行動やコミュニケーションに関係する脳の機能や構造を特定する研究に乗り出す方針を固めた。脳のある部位の変化や個人的特徴が、行動などにどのような影響を与えるかを示す指標を作り、問題行動や社会性障害の予防や治療につなげることを目指す。

 文科省や専門家によると、脳の生物学的な特徴と社会行動との関係は、動物では比較的解明が進んでいる。マウスでは、ある種の脳内物質を欠くと自閉的行動を示したり、攻撃性が高まることが分かってきたという。

 人間については、脳の計測の難しさなどから心理学的な手法での研究が主だった。今回、文科省は動物での知見を網羅的に結集し、計測技術の開発も進め、人間の社会性を生み出す脳内メカニズムの解明を目指す。文科省がテーマを設定し公募で研究者を選ぶ。さらに、不眠症や摂食障害、うつの増加を踏まえ、ストレス耐性や睡眠リズムをつかさどる脳幹研究も強化する。

 このため、今年度から5年計画で始めた脳科学研究戦略推進プログラムを拡充し、今年度の予算17億円から倍増以上の重点投資を計画している。

 文科省ライフサイエンス課は「脳科学だけですべての問題に答えることはできないが、問題行動や社会性障害の生物学的なリスク要因がある程度明らかになれば、予防や治療に結びつく可能性がある」と期待する。

 東北大で「脳神経科学を社会に還流する教育研究拠点」のリーダーを務める大隅典子教授は「早い段階でリスクが分かれば、育児や教育でケアできる可能性がある。こうした指標が差別につながらないよう、経験や環境によって脳が生物学的に変化することなども社会に説明しながら研究を進める必要がある」と指摘する。【西川拓】



これまでもこのホームページで、何度か “キレる” ということについて書いてきましたが、
今一度ここで詳しく、他の様々な自然論も含めながら詳しくご紹介したいと思います。

かなり内容的にあちこち飛んでしまいますが、どうかご了承ください。
この宇宙の森羅万象すべてのものは互いに関連し合っていますので。


まずは宇宙の基本構造のお話から。
宇宙、時空、私たちが知りうる限りのすべてのものは、
共生、循環、フラクタル、この三つの基本法則から成り立っています。
  参照 ・・・ 生命システム<2>

この三つの基本法則を三次元的な立体構造として最も端的に表したものが
生命の遺伝子情報を司る遺伝子DNAの二重らせん構造です。

遺伝子DNAの二重らせん構造

そしてこの二重らせん構造を二次元平面で表したのが、
文明法則史学で描かれる西洋と東洋の文明の興亡を描いたこういった図となります。

文明法則史学

東洋思想の象徴でもある太極図もまた二重らせん構造を二次元平面で表したもので、
こちらは「太陰の中に小陽あり、太陽の中に小陰あり」という法則をも含んでいます。

太極図

右側の沈む黒い陰の気の中に白い小さな小陽があり、
左側の上昇する陽の気の中に黒い小さな小陰があります。

陰、陽どちらの両極も絶対的なものではなく、相対的なものであり、
白黒ハッキリと分けられるものではありません。

東洋の墨絵や書道で使われる墨は真っ黒ではなく、
紙として使われる半紙も完全に漂白されたような純白ではありません。
墨の黒(陰)の中にはほんの少しの白(陽)を含み、
半紙の白(陽)の中にはほんの少しの黒(陰)いものを含んでいるのです。

男性の心の中にもアニマと呼ばれる女性的な部分があり、
女性な心の中にもアニムスと呼ばれる男性的な部分があります。
これは心理学者のユングの唱えたことです。

どんな聖人君子のような人にでも心に少しは暗い影のような部分があり、
極悪非道な人間にも、ほんの少しは慈悲の心があるものです。

例えていえばこういったことです。


東洋的な宇宙の縮図である太極図は、
黒い陰の気と白い陽の気が、互いに追いかけるように渦を巻いた形になっています。
この渦を巻くように回転するということが「循環」であり、
太極図はまさに二重らせんの渦を巻くDNAの構造の一部を切り取った
断面図であるともいえます。

この宇宙、時空が「大宇宙」であるのに対して、
私たち一人一人の人間は「小宇宙」と呼ばれ、
人間は大宇宙の一部であると同時に、
大宇宙そのものの構造や法則性を有した、
まさに大宇宙と同一の存在であるというのが東洋の根本思想です。

その宇宙そのものである人間の体には、
人体を構成する60兆個すべての細胞ひとつひとつに
二重らせん構造のDNAが含まれているように、
様々な宇宙の縮図が隠されています。

  「キレる」を考える<2>

2008.08.21 Thursday

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