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体幹トレーニング

十年ちょっと前、胴体の持つ力、胴体力について書いた
故伊藤昇氏の本を読みました。

スーパーボディを読む―ジョーダン、ウッズ、玉三郎の「胴体力」スーパーボディを読む―ジョーダン、ウッズ、玉三郎の
「胴体力」

伊藤 昇

マガジンハウス 1998-11
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人間の動作は、手を伸ばしたり脚を前に進めたり、
体の末端にある手脚の動きに自然と注目がいってしまいますが、
その手脚の動きを支えているのが胴体であり、
その胴体がしっかりとした基盤としての働きを保っているからこそ、
自由で理想的な手脚の動きをすることができます。

その体の基盤であり根幹である理想の胴体のあり方とはどういったものなのか、
それをこの本では、プロバスケットボールのマイケル・ジョーダンや坂東玉三郎
といった “胴体力の達人たち” の体の使い方を例に、
分かりやすく説いています。

この本を読んで以来、人の動きを観察する時には、
必ず胴体の使い方、安定感を見るようにしています。

そして体の動きに無駄がなく、優美な美しさを讃えている人は、
例外なく胴体を安定した状態に保っていることに気がつきました。
これは手先だけを使って仕事をする人でも同じです。

胴体を安定した状態に保つ、
これの反対は、腰が引ける、へっぴり腰等であり、
このような不安定な腰、胴体の状態のままでは、
上手に手脚を使うことはできないのです。


けれど残念ながら今の日本人は、
この胴体力がきわめて弱くなっています。
体の中心軸である胴体を直立し安定した状態に保つことができず、
背骨が曲がって猫背になり、
腹の収縮力が弱り、下腹が突き出た状態になっています。

近代の哲人である中村天風の説いた
『肛門を締め、丹田に力を入れる』ということや、
偉大な教育者である森信三の
『教育の基本は立腰にあり』
という教えは、まさに未来の日本人に対する警鐘であったと思わざる得ません。


インドに行き、インド人たちのしなやかでかつ逞しい生き様を見ると、
心と体はひとつであり、彼らの日々明るく笑顔に満ちた生活を送っている姿は、
その逞しい肉体、そしてその根幹となる胴体力の強さが基盤となっている
ということに気づかされます。

胴体の力が強いから、硬い床の上に直接座っても、
背骨を立てた姿勢を長時間保つことができます。



背骨を直立させていられるから、
重い荷物を頭の上に乗せ、それを落とすことなく歩き回ることができます。



胴体が不動の安定感を保っているから、
手脚を独立し、かつ連携させながら複雑な作業をすることができます。



強い胴体力を持つインド人たちの身体、
その逞しさと美しさが、写真の中からにじみ出てくるようです。


日本人も昔は今のような軟弱な肉体ではありませんでした。
日本の伝統武術である空手の型、
世界選手権で優勝した宇佐美里香さんの型は限りなく美しく、
逞しい胴体力を感じます。



この動画をアップした人は、動画のタイトルに
「日本人の精神に敬意を」 ・・・ と記していますが、
この美しい体捌きには、誰しもが日本人の持つ深い精神性を感じます。

深い精神性は逞しい肉体にこそ宿ります。
そしてその逞しさとは、重いものを持てるとか速く走ることができるとか、
そういった表面的な強さではなく、
もっと根幹の、生命力に直結した強靱さであるのです。


その胴体力とは、最近話題になっている体幹の力に他なりません。
身体の中心であり内面である体幹、
その体幹の力としなやかさがあってこそ、
理想的な胴体の動きを実現させることができます。

時代が大きく動き、価値観が大きく変わろうとしている今だからこそ、
余分なものを捨て、自分にとって最も大切なものを見つめる
断捨離がプームになっています。

体幹の力が注目を集めるようになったのも、
それがあまりにも衰えすぎた危機感とともに、
混沌とした今の状況だからこそ、
普段は意識しない根底にある最も大切なものを鍛え直そうという
断捨離ブームと同じ流れを感じます。

大地が揺れる大変革の時は、
枝葉ではなく幹をしっかりと保つことが大切であり、
体幹は身体という大樹を保つ大切な幹なのです。


これまで体の中心軸を鍛える方法として、
腹式呼吸、肛門を締めるムーラバンダ
口唇筋肉を鍛えるパタカラを続けてきましたが、
先月からそれに加え、この体幹を鍛える体幹トレーニングを行っています。

体幹トレーニングはここ数年様々な本が出版され、
自分もずっと興味を持ち続けていたのですが、
このたびたまたま親しい友人にそれをすすめたこともあり、
自らも実践することとなりました。

体幹トレーニングに関する本は、
近くの書店で見ただけでも書棚に十種類以上の本が並んでいます。
その中でも、今体幹力で話題のサッカー日本代表長友佑都選手のトレーナーである
木場克己さんのものが、DVDを見ながら同時にトレーニングできるようなので、
これを選びました。

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木場 克己

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体幹を鍛えるとどうなるのか、
それはこの長友佑都選手の動画を見るとよく分かります。
体幹力とは高い身体能力を支える根底の力です。



これまで腹式呼吸を二十年以上続けてきたので、
呼吸やお腹の力には自信があったのですが、
この体幹力は、さらに別の根幹にある筋肉の力を要するようです。

本書には、体幹をほぐすストレッチ、
そして体幹を鍛える初級、中級、上級、プロフェッショナル編と、
計五つのパートに分かれています。

まずはストレッチと初級編合わせて二十分少々のプログラムを行ったのですが、
なかなか動画で示されているポーズが取れず、
汗だくでのたうち回り、その後はお腹内部の筋肉に疲労を感じるという
なんとも情けない状態でした。

そんな状態が数日続き、四、五日目あたりから少しずつ効果を感じるようになり、
動作が楽に行え、
それと同時に運動後の筋肉の疲労も感じなくなってきました。

「四十の手習い」ならぬ「五十四の手習い」ですので、
効果は如何ほどかとは思ったのですが、
確実に効果が感じられ、それを励みにしています。

今はトレーニングをはじめて18日目、
その間出張等で四回トレーニングを休み、計14回行いました。
体も少しずつ柔軟性を増しています。

そしてこの本で紹介されているメニューの他に、
簡単に行えるアブアイソメトリックも行っています。



これは簡単ですが確実に身体に効く感じです。
また何秒間楽にこの姿勢を保つことができるかで、
トレーニング効果も体感できます。


体幹トレーニングの効果は、
  常に身体を安定した状態に保つことができる。
  姿勢が矯正され、怪我の予防になる。
  腰痛、肩こりの改善につながる。
  身体の基礎代謝が上がり、肥満防止になる。
  腸をはじめとする内臓の働きを活性化させる。
  すべてのスポーツ、身体動作の機能を高める。
こういったところにあります。

体幹力を鍛えれば、すべての身体の動きに無駄がなくなります。
これは先の武道である空手をはじめ、
華道、茶道といった、ひとつひとつの身体の動きを極限まで突き詰めた
“道” の世界すべてに通じます。

体幹とは、幹であるがゆえすべてに通じる大元であり、
すべての枝葉に影響を与えるのです。

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2014.5.13 Tuesday
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