地球を貪り食う
目の前に迫り来る危機に対する人の反応は様々です。

暴走したトラックが前方からやってくる、大型台風の暴風雨圏が近づいてくる、・・・
突然に迫り来る危険に対しては、人は身構え、必死で防衛策をとろうとします。

しかしその危機がきわめて大きく重要なものであったとしても、
ゆっくりゆっくりと、緩慢なるスピードで近づいてくるものに対しては、
危機感を察知するセンサーが麻痺してしまうのか、
人は意外なほど無頓着にその危機的状況を迎え入れてしまうものです。

「ゆでがえる」というたとえ話があります。
鍋に水を張り、そこにカエルを入れます。
その鍋を火にかけ、少しずつ温度を上げていっても、
冷水からぬるま湯の間は心地よいため、カエルはそこから逃げようとはしません。

しかしながら温度がどんどんと上昇し、
ぬるま湯がお湯になったところで初めて身の危険を感じ、
そこから逃れようとしても、
お湯の中ですでにゆで上がってしまったカエルには、
そこから逃げる力は残されていないのです。


私たちの暮らしているこの社会の中には、
たくさんの解決しなければならない課題があります。
年金、エネルギー、景気・雇用対策、医療、福祉の問題、・・・
どれもなおざりにはできないものばかりです。

けれども私たちにとって、私たちの次代を担う子どもたちにとって、
もっと大切で緊急を要する課題が他にあるのではないでしょうか。
それは環境問題であり、食糧問題です。

18~19世紀、ヨーロッパを中心に起った産業革命を契機とし、
人類は猛烈なスピードで高度な文明を手に入れ、
それと同時に多くの動植物の種を絶滅させ、
貴重な自然環境を取り返しの付かない状態にまで破壊し尽くしてきました。

そのツケが現在地球温暖化、海面上昇、
世界各地で起っている気候異変などによって表われてきていることは周知の事実です。

あなたの周りの人たちに聞いてみてください。
「数十年後、地球に人類が今のような形で繁栄し続けていると思いますか?」
「今のようにお金さえ出せば好きな食料が手に入る状態が長く続くと思いますか?」

たぶん十人の人に聞いたならば、その内数人の方から
「人類はこんなことをしていたら近いうちに絶滅するよ」
「いつまでも好きなものを好きなだけ食べられる状態は長く続かないだろうね」
という声を聞くことができるでしょう。

これが平和といわれ、豊かとされている日本人の平均的な認識です。

環境、食料の問題は、豊かな暮らしを守るために必要な課題ではありません。
もっとそれ以前の、いかに命を保つかという、
人間、命ある動物として最優先で考えなければならない課題です。

なぜ生命存続の根底を揺さぶる危機が迫り来ているにも関わらず、
私たちは強い危機感を持たず、
シニカルな笑みを浮かべ、軽い嘆息をつきながらも
その危機に向かって積極的な解決への道を探ろうとしないのでしょうか?

国政を司る代議士を選ぶ選挙でも、
各政党はこの環境・食糧問題をなぜ第一の政治課題として取り上げないのでしょうか?

私たちはカエルではありません。
未来を創造する知性、欲望をコントロールする理性を備えた人間です。
危機感の麻痺した頭脳にカツを入れ、
「今最も優先的に取り組むべき課題は何なのか」
「具体的に何をすればいいのか」
そのことをしっかりと考え、行動していかなければなりません。
取り返しが付かない状態になるまで、もう時間的余裕はないのですから・・・。


現在、世界の人口は62億人、
その内8億人の人々が飢餓による死に直面しているといわれています。

こういった悲惨な現状を生み出した最も大きな原因は世界的な経済格差です。
日本の食糧自給率はカロリーベースで約40%(Excelの表)、
このような危機的な数字であるにも関わらず
私たち日本人が日々享楽的ともいえる食生活を送ることができるのは、
ひとえに日本が経済的に繁栄し、
他の食料輸出国にまだ食料を輸出するだけの余裕があるからです。

もし日本の首都圏に大地震が発生し、経済活動が麻痺してしまったら・・・、
世界的な異常気象で世界の農作物が壊滅的な被害を受けたら・・・。
今の地球環境を考えると、
日本の豊かな食生活というのはいつ危機的状況を迎えるかも分からない
きわめて不安定な砂上の楼閣の上に成り立つものであり、
そうなったならば、日本人もすぐに飢餓で苦しみ人たちの仲間入りをするであろうことは、
誰しもが容易に理解できることです。


この世界的な飢餓・食糧問題を根本的に解決できる方法があります。

それは私たちが肉食をやめることです。

肉食は、きわめて非効率的なエネルギー摂取方法です。
1㎏の肉を手に入れるために、
その家畜を飼うための10㎏の飼料用穀物を必要とします。
大量の飼料用穀物を栽培し、家畜を飼うため、
人体、環境にきわめて負荷の大きい殺虫剤、農薬、化学物質が大量に使われます。
人類よりもはるかに多い家畜の糞尿による環境汚染も無視できない問題です。

肉食の文化は、世界最大の人口を抱える中国にも急速に広まり、
今や世界的な人口増加のスピードを上回る早さで穀物消費量は増加し続けています。

これは穀物の種子を握っているアメリカの穀物メジャーといわれる勢力であり、
穀物、穀物の種子は、きわめて重要な戦略物資となっているのです。


食は“人を良くする”と書き、
人間の肉体は、ある意味生まれてからこれまで食べたものが
化けたものであるとも言えます。

それだけに食というのの習慣を変えることはきわめて大きな困難を伴います。
私もこれまでにこの肉食の問題を何度も目や耳にし、
このホームページにも何度かそのことを書いてきました。

けれども頭では分かっていても、
小さい頃から身に付いた食習慣であり、
食物連鎖の上位に位置し、
ある意味いろんな旨味やエッセンスが濃縮された肉というものの持つ魅力から
脱することができずにいました。

しかし先日この「地球を貪り食う」という動画を見て、
大きく心を動かされました。

■地球を貪り食う



これまで知識としては知っていたことですが、
動画でまとめて見て迫力があったのか、
挿入されている音楽がドラマチックで心に響いたのか、
ナレーションが親しみのあるポール・マッカートニーだったからなのか、・・・
何が原因なのかは分かりませんが、
これまでのように頭の中だけではなく、
自分自身の行動、食習慣を変えようという気持ちになってきました。

今まで学んできたものが、ひとつの時を迎えたのかもしれません。
また47歳になり、若い頃のように
激しく動物性タンパクを求めなくなったということもあるでしょう。

みなさんはこの動画を見てどの様に感じられますか?

私はこれを見て、
肉食をやめるということが、今人類が抱えている食料・環境問題を解決する
最も簡単で根本的な方法であり、
この問題を解決できるかどうかは、私たちひとりひとりの行動に鍵があるのだ、

ということに気が付きました。


この動画を見て数日が経ち、
その間目の前に出された料理に肉や卵があっても、それを残すようなことはしていません。
ただ食事をする際に、
トンカツ、焼き肉、唐揚げ等肉料理を選択することはなくなりました。

刺身のツマ、菊の花、魚の骨、頭、・・・出されたものはすべて残さずいただく、
これをモットーとしてきた私にとって、
急に肉、魚を口にしないベジタリアンになることは不可能です。

けれども少しずつでも動物食から遠ざかっていかなければなりません。
食習慣はその人の行動、生き様であり、
これができなければ、私がこれまでこのホームページに書いてきたことが
机上の空論に終わってしまうでしょうから・・・。


動画の最後の方でポールがこう語っていました。

  ・・・ 選択権はあなたにある ・・・



こちらの動画も合わせてご覧ください。

■ベジタリアンになる30の理由



No.1 心臓病は、小さい頃から発症し始めるから。
No.2 ヴィーガンの食事は心臓病を抑えることができるから。
  ヴィーガン----- 肉 魚 乳製品 卵 すべての動物性食品を食べない人達
No.3 肉や乳製品、卵を食べることは、肥満につながるから。
No.4 子供に、何を食べているのかウソをつかずに済むから。
No.5 どの鶏肉のパッケージにも、ごく少量の糞が入っているから。
No.6 肉は、汚くて血なまぐさいから。
No.7 公平じゃないから。
No.8 どんな生き物だって、自分の家族が屠殺されるのを見たくないから。
No.9 肉は性的不能を引き起こすから。
No.10 自分の犬を食べたりしないから。
No.11 狂牛病はアメリカに存在するから。(PETA本部がアメリカのため。そしてアメリカにあるということは、私たちにも関係してくるのです。)
No.12 これは、私たちにも止めることのできる暴力だから。
No.13 誰も「殺し」で生計を立てる必要はないから。(屠殺業に関わっている人は心身共に病みやすいと言われ、また低所得者が働くことが多いから。)
No.14 心の狭い人間に弱い動物達を虐待させ、そしてさらに、小さい子供にもそれを食べさせることになるから。
No.15 どんな動物も、私たちの味覚の為だけに殺されることはないはずだから。
No.16 家畜のためではなく、飢えた人々に穀物を分け与えることができるから。
No.17 アメリカで使用される水の約半分が家畜を育てる為に使われているから。
No.18 肉を食べながら「環境保護家」とは名乗れないから。
No.19 彼らは私たちから身を守る術を持たないから。
No.20 動物達だって、苦痛を感じれば叫ぶから。
No.21 誰も死にたくはないから。
No.22 彼らも恐怖を感じるから。
No.23 どんな風にスライスしても、それは動物の体の肉だから。
No.24 「商売だから」は言い訳にはならないから。
No.25 囚人でさえ、こんなに狭い所に押し込められてはいないから。
No.26 鳥の羽は、人間が食べる為についている訳ではないから。
No.27 みんな自由が欲しいから。
No.28 魚を食べていては「ベジタリアン」とは言えないから。
No.29 「力が正義」ではないから。
NO.30 なぜなら、あなたはこれが間違った事だということを知っているから。

2007.8.5 Sunday


ひとつ前へ ホームへ メニューへ 次へ