喫茶「石岡」 | ||||||||||||||||
映画と文学で有名な尾道は風情あふれ、 のんびりといろんなところを見て歩くには最高の町です。 <広島県尾道市(しまなみ)の観光情報> この尾道で知り合いの石岡さんという方の奥さんが ちょっとしゃれた隠れ家的な喫茶店をオープンさせていて、 JRに乗って広島から一時間半ほどかけて尾道に向うことにしました。 尾道は作家林芙美子が幼少の頃時を過ごしたところで、駅前には銅像が建っています。
放浪記といえば、女優の森光子が二千回以上舞台で主演したことで有名ですね。 昔懐かしい商店街を抜け、 有名な千光寺まで伸びる千光寺ロープウェイの乗り場の横にある 細い路地道を歩いて行きます。 尾道はこんな細い車の通れない路地が縦横無尽に延びていて、 昭和の頃の日本の情緒を楽しむことができます。 道沿いには楽しいお店や看板がたくさんあります。 ここは猫の細道というのですね。 たしかに尾道は猫の数が多いようで、 いろんなところで可愛い猫の姿を見かけました。 町並みも自然も、そして庭に生えている木や草花一本一本にも、 なにか尾道らしい落ち着いた風情を感じます。 庭先にある赤い実をつけた南天が鮮やかです。 細い道沿いに「マリンテクノ」という船舶技術を学ぶ学校の寮がありました。 民間で船舶技術を学べる学校は、 この尾道のマリンテクノと他には芦屋に一校あるだけだそうです。 木にくくりつけられてサーフボード、 なんともシュールですね。 (^o^)v この標識を見ていただいてお分かりのように、 尾道はのんびり見学できる施設がたくさんあるのです。 ここは漫画家園山俊二さんのご親戚である絵師園山春二さんのお店だそうです。 酒好きの私としては、 色とりどりのビールの小瓶が目に付きます。 (^^ゞ 細い小径にはお地蔵さんがよく似合います。 造花の蓮の花が生けてありました。 こんな道が迷路のように続くんですよ。 尾道ならではです。 朽ちかけた側溝の木のふた、今時分珍しいですね。 道沿いのお家の庭には、ほんの手の届く身近なところに 柑橘系の実をつけた木がたくさんありました。 郷愁を誘う町並みを眺めていると時の経つのを忘れます。 尾道駅からのんびり歩いて15分ほどでしょうか、 目指すべき喫茶「石岡」に着きました。 庭に植わっている大きなクロガネモチの古木が目印です。 場所は ・・・ ちょっと言葉で説明するのは難しいですね。 下の Yahoo地図をご参照ください。 拡大、ドラッグ自由自在です。 店の前に特に看板はないのですが、 赤い「自家焙煎珈琲豆」の幟が目印です。 門を入ると、右手の庭にはしゃれた椅子とテーブルが置かれていました。 夏場ここから景色を眺めながらコーヒーを飲むのもいいでしょうね。 ^^☆ 奥さんが玄関先で出迎えてくださいました。 石岡淳子さん、この方がお店のオーナーです。 美味しいコーヒーを入れることにかけては相当のこだわりを持っておられて、 豆、その煎り方、入れ方、・・・ かなりお勉強されたようです。 当然コーヒーカップも素晴らしいものです。 味はちょっと言葉では表現しにくいのですが、 エグ味がまったくなくとてもまろやかで、 香りに奥行きがあります。 私は元々コーヒーには砂糖もミルクも入れないのですが、 このコーヒーだと、ほとんどの人がブラックで飲むことができるでしょう。 またブラックで飲まないともったいない味と香りです。 ヾ(´ー`)ノ。・:*:・゜'★,。・:*:・゜' 本当はこのコーヒーを飲む前に、 石岡さんご夫妻と私の三人でビールを飲みながら、 美味しいすき焼きをいただいたのですが、 食べて飲んでおしゃべりするのに夢中になっていて写真を撮っていません。 (*≧◇≦)ノ□ 昼間からビールにすき焼き、ホント、贅沢な一時でした。 (*^・^*) お店の中、というかお家の中はこんな感じです。 昔ながらの民家の姿をそのままの形で残し、 そこでコーヒーを飲んだり食事ができるようにしておられます。 琴、着物、壺などの民芸品、 落ち着いた佇まいの部屋の中にさりげなく飾られています。 この松ぼっくり、ものすごく大きいんですよ。 写真では分らないかもしれませんが・・・。 甲立(広島県安芸高田市)で拾われたものだそうです。 庭から見える景色を案内してくださる石岡さんご夫妻、 ご主人の石岡孝善さんとはカンボジア支援のボランティアで知り合って以来 十数年のお付き合いです。 正面にしまなみ海道の尾道大橋が見えます。 サロン風レトロ喫茶「石岡」は、完全予約制となっています。 ゆっくりと尾道で落ち着いた風情を楽しみたいという方は是非立ち寄ってみてください。 リクエストをすれば、いろんな食事の用意もでき、 また音楽や映像を楽しむことができるので、 何人かで会合がてら、というのもいいかもしれません。 営業時間 9時〜17時(基本) 定休日 不定期(予約制) 住所 〒722-0046 広島県尾道市長江一丁目18番13号 電話 0848−37−7538 ※ 禁煙です 石岡さんと二人お店を後にし、 石岡さんに尾道の町を案内していただきました。 坂道の途中にある休憩所、 石岡さんの後の窓の向こうは、映画のロケでも使われたところだそうです。 尾道は坂が多いしお年寄りの方も多いので、 こういったところが必要なんでしょうね。 石岡さんの案内のまま尾道古寺めぐりコースを歩いて行きます。 このコースはすべてきれいな石畳になっていて、迷うことがありません。 御袖天満宮には力石を担いだ人夫さんの像がありました。 ここの石段は転校生で主人公の二人が転げ落ちた所なんですね。 ネットで調べていて気が付きました。 もっとしっかり見ておけばよかった・・・。 (>_<)
こんな楠(?)の巨木がありました。 尾道は神社仏閣が多いので、 こういった大きな樹木がいたるところで目に付きます。 手水舎の横に今年の干支の虎の置物が、なんともしゃれていますね。 ちょっと変わった三猿の像がありました。 みてご猿、いうてご猿、きいてご猿、まえむき猿、でご猿、 最後のふたつはちょっと苦しいですが、五猿(ご縁)というのはなかなかいいですね。 ところで最近英語を勉強していて知ったのですが、 三猿というのは日本オリジナルではないのですね。 外国にも「Three wise monkeys」として各地にあるようです。 <三猿 - Wikipedia> 西国寺の山門は大きなわらじがシンボルです。 古寺めぐりコース沿いにある尾道東高校は、 とても歴史のある建物が残っていました。 林芙美子もここで学んだそうです。 延々と続く石畳、尾道は石材業が盛んだったことでも有名なのです。 毅然とした姿で建つ姿三四郎の像。 姿三四郎のモデルとなった講道館四天王の一人西郷四郎は、 晩年を尾道で過ごしたそうです。 古寺めぐりコース最後の方にある浄土寺は、 真言宗らしく幕が色鮮やかでした。 眠たそうな猫がおとなしく座っていました。 石畳のすぐ南側にはJR山陽本線が走っていて、 その線路と石畳の間には、桜の木がたくさんありました。 尾道市は市の木が桜だそうで、 桜の木がお寺の境内などたくさんいたるところに植わっていました。 春桜の季節に尾道を訪ねると最高でしょう。 ヽ(^o^)ノ この後おのみち歴史博物館、映画資料館を見て回りました。 尾道は歴史と昔ながらの風情、 そしてたくさんの文学と映画の故郷でもあります。 猫が多いからでしょうか、植木の周りがペットボトルで囲ってあります。 この南天はえらく実が密集していますね。 珍しいので写真を撮りました。 尾道の飲み屋街を通って駅の方に向います。 こういったところを通るのは好きですね、 町で暮らす人たちの生の生活感に触れられます。 舶来居酒屋「暁」、舶来という言葉と浪漫明朝のフォントがマッチしています。 ここは昔遊郭だったそうです。 格子は当時のままなのでしょうか、名残を感じます。 意外と飲み屋さんの軒数が多いのに驚きました。 今は不況で大変だと思いますが、 港町だから飲み屋が多いのでしょうか、いわゆるマドロス酒場ですね。 居酒屋の横にポツリと古い井戸が残されていました。 こんな風情のあるお酒屋さん、思わず立ち寄ってみたくなりますね。 夕暮れ時の海岸沿いは海に太陽の光が反射してきれいでした。 ここにはたくさんの尾道の風景を描いた絵が陶板になって飾られています。 尾道駅近くの桟橋から向島に渡る福本渡船は映画「さびしんぼう」の中にも登場します。 自転車を押して渡船に乗る女子高生を見ていると、 さびしんぼうの富田靖子を思い出しました。
さびしんぼうは本当にいい映画でした。 ラスト近く、ドーラン塗りまくったさびしんぼうの富田靖子が、 雨のしずくとともにドーランが落ちて涙が流れるようになるシーン、 衝撃的でしたね。 今でも、そして生涯忘れることがないでしょう。 また久しぶりに観たくなりました。 ^^☆ 尾道には階段状に海に延びる雁木が残っています。 雁木がある海岸は全国的にかなり少なくなっています。 貴重な文化遺産です。 映画の町尾道は、たくさんの映画のロケ地として使われただけではなく、 昔は市内に10軒ほどの映画館があったそうですが、 残念ながら現在は駅前にあるこの「シネマ尾道」一館だけです。 戦後の日本映画を代表する一本といえばやはり「東京物語」が筆頭ですが、 その東京物語は、 尾道に暮らす老夫婦が東京にいる子どもたちを訪ね旅をする物語で、 尾道もロケ地として登場します。 本当に素晴らしい国民的名画で、私も何度も繰り返し観ては心打たれました。
この東京物語が作られたのは1953年ですから、 もう57年も前のことです。 それからの日本は高度経済成長を経てすっかり変わってしまいましたが、 この尾道には、まだほんの少し当時の古き良き風情、文化が残っているような気がしました。 尾道という町は心安らぐ素敵なところであり、 私たち日本人みんなの大切な財産です。 〜 Fin 〜 2010.01.16 Saturday |