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ヨガナンダ



2018年10月22日 ・・・ 自分から離れる

先日の「進むべき先」に書いたように、
魂というか、自分の意識の本体は、
自分の体の外に存在しているように感じます。

そしてそれが事実であるならば、
自分自身とよりよく付き合うコツは、
自分を外から眺め、自分と他人とを区別しないこととなるでしょう。


無我夢中、没我という言葉があるように、
何かに必死になっている時には我を忘れ、
自分も他人もない、主観も客観もない、
ただ今その瞬間、そこに一心に集中している、
そんな状態になることができます。

ただし普段はなかなかそういう状態に至ることができず、
煩悩や雑念、そういった自分を取り巻く様々な思いに
取り憑かれてしまいます。


最近「ゾーン」という言葉を時折目にします。
これはそういう没我の境地になり、
思わぬ大きな力を発揮する、
潜在能力を花開かせた状態ということです。

元巨人軍監督の川上哲治氏は、
現役時代、絶好調の時、
バッターボックスに立っていると、
ピッチャーの投げるボールが目の前で止まって見えたそうです。
これがゾーンに入った状態です。

ゾーンを初めて知ったのは、
数年前、タイガー・ウッズのメンタルトレーニングについて書かれた
この本を読んだ時です。



一流のスポーツ選手は、
身体能力だけではなく、
精神面でも極めて高い境地に到達しています。

けれどもその後彼のセックス依存症が公となり、
長いブランクに入ったのですから、
天才と狂人、まさに紙一重のところにいたのかもしれません。

亡くなったマイケル・ジャクソンも常軌を逸した私生活と
幼少期の過酷な家庭環境はよく知られていて、
天才とは常識的尺度では推し量れないものなのでしょう。


いつも持ち歩いている手帳には座右の銘を記していて、
その中にタイガー・ウッズの言葉も入っています。

普通イメージトレーニングは、「ベストなプレイ」をする自分を
イメージするだろうけど、ボクは違うんだ。
自分がボールになって飛んでいくのをイメージするんだよ・・・
つまりボクのイメージはZEN(禅)なんだよ・・・。


この言葉、素晴らしいですね。
完全なる没我、すべてが一体となるワンネスの世界です。

本来主体となる己から離れ、
すべての中に自己を投影する、
その象徴がボールということなのだと解釈しています。


まずは自分から離れること、
これが正しく物事を見つめ、判断し、
自己の可能性を花開かせる第一歩なのだと感じます。

そしてその大きな影響を受けるのが、
普段頭の中を駆け巡っている思考、
その中で最も囚われが大きく、客観的に見られないもの、
悩みについてです。

何か悩み事があった時、
自分一人で頭の中で思いを巡らせていると、
どうどう巡りになり、
いつまで経ってもいい解決策が浮ばない時があります。

またどうしても捨てきれないものがあり、
その執着から一歩も先に進めないこともあります。


そんな時、他人に相談してアドバイスをもらうと、
気持ちが楽になり、解決への道を踏み出せることがあります。

けれどそんなことをしなくても、
自分でできるもっと簡単な方法があります。
それが、その悩みを他人が持っていたとしたら、
自分はどうその人にアドバイスするだろうかを考えることです。

つまり自分の悩みを他人のものとして、
“他人の外側”から客観視してみるのです。

人はおうおうにして自分に対して厳しく、自罰的傾向があったり、
逆に甘すぎる見方をしたり、
また他人に対して高いものを要求したりする傾向があります。

そんな自分の自分に対する考え方の癖が、
一度そんな形で客観視してみるとよく分かります。


またこんなこともあります。
潜在意識を大きく活用するためには、
将来に向けて具体的目標を立てること、
そしてそれが実現していることをありありとイメージすることだと
よく言われます。

そのイメージすることがなかなか難しいのですが、
それは、イメージをする今の状態が、
そこから大きくかけ離れているからです。

そこで、イメージを実現した状態を思い浮かべる前に、
それが実現するに相応しい自分、
その自分の姿を思い浮かべるのです。
これなら比較的簡単です。

例えば一万人の観客の前で歌えるぐらいの歌手になりたいとして、
そのステージに立っている姿はイメージしにくくても、
そうなった時の自分の心持ち、
それだったらよりイメージを持ちやすいのではないでしょうか。

具体的には、
自分の目の前、あるいは座っているソファーの横に
理想を実現した何年後かの自分がいると考え、
その姿をリアルにイメージします。

体格は、服装は、心の状態は・・・・、
そういった諸々のこと、それらがイメージができたなら、
今の自分自身がその中に入り込み、
今と未来の自分の姿を完全に重ねてしまうのです。

これはとても心地いいワークです。


囚われ、執着というのは、
自分の肉体、その内側にこびりつくようにしてあるものだと感じます。

ですから意識をなるべくそこから外に向けて離すようにすると、
その囚われからも離れられ、
より客観視できるようになります。


また姿勢を正し、肛門をキュッと引き締めるのも効果的です。
これは意識を外に離すことではなく、
内にある囚われ、モヤモヤと渦を巻いているものを、
一瞬にして鎮める働きがあります。

頭を冷やす、冷静になるというのは、
姿勢や肛門の状態が大きく関係します。
実際にだらしない姿勢で口を開け、まぶたをとろんとさせてみてください。
気持ちまでだらけてしまいます。

ですから、その姿勢を正し、肛門を締めた状態で、
意識を外に置くことができれば理想的です。


目に見えない心というものを、
形あるものと捉え、
体の内外を意識してみるのは分かりやすく面白いものです。

心身一如、心も体も、
時には自分という狭い世界から解放してあげましょう。

2018.10.22 Monday  
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