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2018年10月23日 ・・・ 無我

何かを深く思っていると、
それに関することが目の前に現れてくることがよくあります。

これは意識がそれを何らかの力で引き寄せているのか、
または強く思っているがゆえ、
目の前を通り過ぎるものの中にそれを見つけることができるのかもしれません。

いずれにせよ、これは誰しもが感じていることであり、
昔から「問題意識を強く持て」というのはこのことでしょう。


昨日「自分から離れる」を書き、
早速その思いを深めるものと出合いました。

この武道を技と精神を説く動画を見て、
武道の目指すひとつの境地である無我というもの、
それは昨日書いた「自分から離れる」ということと相通じる、
または同じことではないかということを感じました。



合気道の創始者である植芝盛平は、
武道の目指すものは、
相手との一体化、宇宙との調和であると述べたそうです。

また新体道の青木宏之氏は、
「無になっていると相手の意識が自分の中に飛び込んでくる」
と述べられています。

つまり相手やすべてのものと一体化するには、
自分というのを無くし、無になるということなのでしょう。


これは、自分、自我、自意識と呼ばれるものが、
すべてのものとつながっている本来の状態から遠ざけるものであり、
そのつながりというパイプをふさぐものということなのでしょう。

これはまだ検証できることではありませんが、
宇宙に広がる真空状態の空間、
ここは“何もない空間”ではなく、
逆にすべてのものが満たされているところだと聞いたことがあります。

またその対極のミクロの世界も同様で、
素粒子の世界で、陽子、中性子からなる原子核と電子の間には、
何もない空間が広がっていますが、
ここも何かに満たされ、どこかにつながっているのかもしれません。

この時空全体がフラクタル(自己相似形)で成り立っていることを考えると、
意識が無の状態、真空、素粒子の中の空間、
それらに価値や働きのつながりがあるのではと感じます。


現代物理の最先端には多元宇宙論というものがあり、
この宇宙とはまったく別のいくつかの宇宙が、
多層的に重なっているというものです。
そしてその間の情報のやり取りは、
重力でもって行われていると言われています。

もしそれが本当にあるのなら、
人間が無と認識しているものの中に、
そのつながりの何かがあるのかもしれません。
あくまでも推論です。


無の境地とは、色のついていない鏡のようなもの、
だからこそそこには何でも映るとのこと。

実際に青木宏之氏が、
早業ガンマンが取り出す銃を、
身体の動き以前の意識の動きから察知し、
それを手で押さえ、
しかも後ろ向きに立っていてもそれを感じ取ることができるというのは、
門外の者から見るとまさに神業です。
  ※ ここのところです。


自分を無くし、すべてのものと一体になることによって、
武道の達人のような技を繰り出すことができるというのは、
人間はまさに本来底知れぬ力を秘めているということです。

だからこそ、「自分から離れる」でも書いたように、
川上哲治氏はボールが止まっているように見え、
上の動画の中で、弓道歴十年の西洋人の方が話された、
「的が自分に近づいてきて大きく見えてきた」
というようなことも起こるのでしょう。

またタイガー・ウッズの自分がボールになり切るというのも、
自意識を捨て、無になるひとつの形と言えるでしょう。


東洋での心の修練は、座禅や瞑想といった、
無になることを重んじます。

これはどんなに文章表現力の高い人でも、
実際に高い境地に達した達人であっても、
言葉や理屈では表現できない世界です。

それは言葉や論理というものが、
自我意識から発したものであり
無とは対極のところにあるからです。。

ですからこれは頭で理解するのではなく、
自らの身体で感じ取るしかありません。


これまで調和の精神を重んじる武道が、
なぜ相手を倒す格闘技なのかとても疑問でしたが、
先の動画を見て、ひとつ腑に落ちました。

東洋の真理とは身体で感じ取るもの、
そのためには相手と対峙し、
相手の身体と触れ、相手のとの調和、一体感を覚え、
その上で相手を倒し、動かすことで、
その感覚をつかみ取る方法なのだと思いました。

やはり肉体を持った人間は、
人間同士ぶつかり合う中で最も大きな学びを得るのではないでしょうか。


西洋でも、新約聖書マタイによる福音書にある、
『心をいれかえて幼な子のようにならなければ,
 天国にはいることはできないであろう。』
という言葉は、無になることを説いているのだと感じます。

東洋も西洋も、究極の目指す真理は同じなのでしょう。



2018.10.23 Tuesday  
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