ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
 ヨガナンダ > スピリチュアル夜話 > 理想の自己像<2>



ヨガナンダ



理想の自己像<2>

先の理想の自己像に書いたように、、
理想(目標)を実現するためには、
そこに至る道筋(計画)を作り、
それをひとつずつ着実に実践していかなければなりません。

そしてそれを実践していくためには、
今現在の自分ではなく、
理想の状態を手に入れた将来の自分、
それをイメージし、なり切ることが望まれます。

理想の状態を手にした将来の自分は、
きっと今よりも心身ともに充実し、より大きな度量を持っていることでしょう。
そしてそうであるからこそ、
その状態に至るまでの過程を着実に歩めるというわけです。


つい先日、ここ二三年大きな話題となっているアドラー心理学の本を読んでいて、
この理想の自己像に関して、もうひとつ大切なことがあるのに気が付きました。

アドラーは、これまで日本で主流であった
フロイトやユングの考え方とは大きく異なります。

フロイトやユングが、人間の行動は過去の経験や環境、
あるいは無意識といった持って生まれたものに起因する
原因論を唱えているのに対し、
アドラーは、人間の行動は過去の経験や育った環境などの
外的要因によって決められるのではなく、
自らの目的によって行動を決定する目的論を唱えました。

その目的論に則って考えると、
理想を実現できないのは、
“できない”のではなく、自らが“しない”という行動を選択したからであり、
その選択した理由として考えられるのが、
理想を実現するための行動が必ずしも実りを得るとは確信できないので、
その実現できなかった時の挫折を経験したくないというものです。

もし行動した結果として挫折を味わうぐらいなら、
行動をせず、
「自分は行動しさえすれば理想を実現できるのだ」
という可能性の中に生きる方が楽なのです。


これは非常に厳しい見方ではありますが、
自分の中にこのような考え方がまったくないと言い切ることはできません。
たしかに未知の結果と向き合うよりも、
頭の中で思う可能性とともに過ごす方が楽な面があります。

これを断ち切るには、
こういった考えが頭の中にあるということを自覚し、
その上でそれを手放し、
自ら立てた理想に至る道筋(計画)を信じ、実践していくしかありません。

己をしっかりと見つめ、
その上で不安、恐怖を手放すということです。


アドラーの考え方は本当に素晴らしいものです。
アドラーは、多くの面でフロイトやユングの考え方と
対極的と言っていいぐらい異なりますが、
これはどちらが正しい、間違っているといった問題ではなく、
様々なしがらみの中で生きる現代人にとって、
アドラーの、これまでとは根本的に違うものの見方によって、
大きな救いが得られるということです。

これは万物に平等の愛を注いだ金子みすゞの詩が、
死後数十年経ってようやく広く認められたのと同じく、
ここ数年で、日本の時流がようやくアドラーの考え方に
追いついてきたのだと感じます。

アドラー心理学と触れたほとんどの人は大きな衝撃を受けますが、
その考え方はあまりにも革新的すぎて、
一度触れただけではすんなりと頭の中に入ってはきません。
何度も何度も繰り返し本を読み、
そして日常生活の中での心のあり方を見つめていくことが求められます。


・・・ アドラー心理学5つのキーワード ・・・

1.課題の分離
「これは誰の課題なのか?」という視点から、
変えられるもの(自分の課題)と変えられないもの(他者の課題)を分離する。

2.承認欲求の否定
人にほめられたいという「承認欲求」を持ち続ける限り、
自分がしたいことはできない。

3.認知論
人は誰しも客観的な世界ではなく、
自らが意味づけを施した主観的世界に生きている。

4.目的論
人間の行動は過去の経験など外的要因によって決定される(原因論)
のではなく、
自分の目的によって決定される(目的論)

5.自己決定性
人生をどう歩むかは自分の意志で選び取っている。
つまり、自分次第で人生は変わり得る。


アドラーは、ベストセラーになったこの二冊の本を読みました。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 古賀 史健

ダイヤモンド社 2013-12-13
売り上げランキング : 10

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII
岸見 一郎 古賀 史健

ダイヤモンド社 2016-02-26
売り上げランキング : 75

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

この二冊はこれから何度も繰り返し読んでいこうと思います。

そして最近、週刊ダイヤモンドのアドラー心理学の特集を読み、
それぞれの項目にうまく要点をまとめられているので、
アドラーを体系的に理解する大きな助けとなりました。

週刊ダイヤモンド (今こそ! 「嫌われる勇気」 初めてのアドラー心理学)週刊ダイヤモンド 2016年 7/23 号 [雑誌] (今こそ! 「嫌われる勇気」 初めてのアドラー心理学)

ダイヤモンド社 2016-07-16
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アドラーがすごいのはよく分かるけれども、
まだ概要がおぼろげにしか分からないという方
  (たぶんほとんどの方がそうでしょう・・・)
におすすめです。


理想の自己を実現するのは自らの意志であり、
その目的をしっかり持って日々生きていく、
これがアドラー流の考え方です。

2016.8.25 Thurseday  
ひとつ前へ  ホームへ メニューへ 次へ
Link Free
Copyright 2010 Sakai Nobuo All right reserved.