ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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理想の自己像

末期ガンを克服された工藤房美さんが、講演の中で、
こんなお話をされました。

もうひとつはこの本を読んだ八十歳の男性の方が、カレー屋さんのランチタイムのものすごく忙しい時に、入り口から入ってこられるなりガーッと泣かれたんです。
“わ〜今の時間に来られる〜”とか思いながらも、「どうしたんですか?」って聞いたら、「工藤さんにお礼ば言わな〜」って言われて、「私が工藤です。 どうしたんですか?」て聞いたら、その方がですね、とっても私は感動したんですが、こうおっしゃったんです。
「工藤さんの本を読みました。 私は八回読みました。 そしたら八個の気づきをもらいました。
 私は八十歳です。 八個の気づきをもらって、もうあり得ないぐらい泣きました。
 感動で感動で、何年分泣いたか分かりません。
 その後病院に行きました。 すべてのガンが消えていました」
っておっしゃったんですよ。
わ〜この人も奇跡を起したと思ってですね〜、「素晴らしいですね〜」って言って、
「あなたが起した奇跡です。 すごいですね〜」って。
村上先生が言われる『すべての人には無限大の可能性がある』ってこのことなんだな〜って思って、嬉しくてなりませんでした。


簡単なことでも、一度見たり聞いたりしただけではすんなりと心には入りません。
同じ本を八回も繰り返し読むというのはなかなかできることではありませんが、
それだけ真剣に求める気持ちがあったのでしょう。

「一度読んだだけでは理解できない」
この自らの“愚かさ”を自覚し、
それを補うべき行動が取れる人が、本当の意味での賢い人なのだと感じます。

そしてそれができるようになれば、
「誰もが知っている、感じている簡単なこと」の中に潜む、
極めて深い真理を体得できるようになります。


これまで潜在意識の法則に関する本は、
数百冊、積み上げれば部屋の天井に達するぐらい読んできました。
今は引き寄せの法則という言葉で呼ばれることが多く、
書店には数多くの引き寄せ関連の書籍が並んでいます。

なぜそんなにたくさんの本を読んできたかというと、
人間の心のあり方に対してとても興味があり、
少しでもいろんなことを知りたいと思っていたからです。
そしてその興味を持つようになったのが三十年ほど前からなので、
当時はまだ潜在意識のあり方が今ほど話題になっていなかったのですが、
コツコツと読んできたらそのぐらいの冊数になったのです。

また潜在意識の法則に関する本は、
読むと例外なく心が前向きになり、
マイナス方向に心が傾きつつある時でも、
確実に心を明るくしてくれます。

そして読むということは、そこから何かを学び取りたいと感じるからであり、
恥ずかしながら、知識として潜在意識の働きをよく知ってはいても、
まだ自らそれを十分に活用するには至っていないので、
今も求め続けているのです。

潜在意識の法則も、また生命のあり方そのものもそうなのですが、
基本的な法則は実にシンプルです。
そのシンプルな中に深い摂理を含有し、
複雑多岐に渡るこの時空を律しているのを感じる時、
限りない畏敬の念と慈愛といったものを覚えます。


この一ヶ月間でも、思うところあって、
潜在意識の法則に関する本を八冊読みました。
電子書籍も含めれば十冊を超えています。

そこに書かれていることは基本的には同じでも、
それぞれに気づくところがあり、
また一度読んで“知る”だけではダメで、
何度も繰り返し読み、そこに書かれていることを
己の心と体で習得しなければならないと感じることも多々ありました。

これまで何度も繰り返し書いてきていますが、
今は情報にあふれている時代だからこそ、
自分にとって本当に大切なごく少数のものを選び、
深く自分の中に入れるよう心がけなければなりません。

食べものに例えるとよく分かります。
食卓に世界各国のたくさんのご馳走が並べられても、
自分一人で食べられる量には限りがあります。
無理をして少しでもたくさん食べようとすると、
消化不良、栄養過多でメタボや生活習慣病になってしまいます。

大切なのは自分にとって本当に必要な少量の食べものを選び、
それをしっかりと咀嚼し、唾液とともに胃の中に落とし込んでいくことです。

先の工藤さんの本を八回読んだおじいさんは、
本に書かれていることをしっかりと“噛み砕き”、
自らの体の中に、たくさんの感動の涙とともに、知恵として取り入れ、
その結果、すべてのガンが消えたのです。

自分にとって大切な本、
一度読んで“もう書かれていることは知っている”と思える本を、
これからも何度も繰り返し読んでいきたいものです。


つい先日、潜在意識の法則について書かれたある本を読んでいる時、
そこに書かれている、ごく当たり前で、
これまでも何度も読んだり聞いたりしてよく知っていると思っていたあることが、
自分にまったく身に付いていないという事実を知りました。

それは理想の自己像を確立していないということ、
そして確立していないのですから、
それをイメージできていないということです。

『人間の潜在意識はイメージと現実とを区別できません。
 ですから自分の理想とする姿を常にイメージし、
 それがあたかも現実化しているかのように振る舞えば、
 潜在意識はそれを実際にあるものと勘違いをし、現実化します』

このようなことは、どの潜在意識の法則についての本にも述べられていて、
古くは聖書にもこのように書かれています。
『そこで、あなたがたに言うが、なんでも祈り求めることは、すでにかなえられたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになるであろう』
  (新約聖書:マルコによる福音書:11章:24節)

将来に対して望むべきことは常に頭の中にあり、
それを紙に書き、写真などでイメージ化したものを手帳に入れ、
いつも持ち歩くようにしています。
そしてそれに至る計画も、ある程度は具体化したものを持っていて、
それも手帳の中にはさんでいて、随時見るようにしています。

けれどそれらが現実化した時の自己像というものが自分の中に欠落していて、
このたびそのことに気がついたのです。

自分の持つ夢、それがすべて現実化するのが十年後だとしましょう、
その時の自分の姿をイメージすると、
服装、立ち居振る舞い、表情、体から醸し出す雰囲気、
それらはどうなっているでしょう。
そのことをイメージし、現在の自分と十年後の理想の自分を、
イメージの中で対面させ、同一化してみました。
すると今の自分と理想とする将来の自分の姿があまりにもかけ離れていたのです。

理想の自己像を確立し、それを常に頭の中でイメージできているのなら、
今の自分と将来の理想の自分とは、
年齢を重ねた肉体的部分以外は、ほとんど差はないはずです。
それが大きくあるということは、
理想とするものを潜在意識、つまり心の深い部分に持っていないということです。


これも例え話をしてみましょう。
狭くてきたない食堂の主人が、
将来は一等地に大きな高級レストランを持ちたいと願い、
そのことを常にイメージし、それが現実化したように振る舞っているとしましょう。

今の食堂で、高級レストランと同じようなメニューや食材を
提供することは不可能ですが、
高級レストランのマスターになったつもりで、
心を込めた接客をし、食器も高価なものではなくても、
常にピカピカの状態にすることにはてきるはずです。
それが理想をイメージし、それが現実化したように振る舞うということです。

自分を振り返ってみると、
自由を愛し、常に心のままに生きたいという思いを強く持っていて、
それはそれで個性としてこれからも持ち続けたいと思うのですが、
本来の理想とする自分の姿は、それと対極の、
己をしっかりと律する部分がなければならないのですが、
今の自分にはそれが著しく欠けていて、
理想の自己像を思い描き、
それと今の自分とを対比させたことで、そのことがよく分かりました。

理想とは将来なりたい姿です。
計画とは、その理想に至る道筋です。

その理想が成就されるためには、
計画をひとつひとつクリアーしていかなければなりませんが、
その計画をクリアーしていく自分とは、
今の状態の自分ではなく、理想の状態の自分であるはずです。

元々子どもの頃から計画を立てたり、
その計画通りに実行することが大の苦手で、
それは今も変わっていません。

それでも少しずつ内面的にも成長し、
より具体的な計画を立て、それを実行しようと意気込むところまではきたのですが、
それがきちんと実行できるところまでには至っていません。
お恥ずかしい話です。

けれどこのたび、その原因は、
今の自分というものを捨てきれず、
理想の自分、自己像を頭の中に持てないことにあるのだということが
よく分かりました。

理想の自己像を確立し、それを今の自分の中に、
イメージとしてすっぽりと包み込んでみると、
今の身の周りの状態にとても違和感を覚えます。
今の身の周りの状態は、
まさに今の自分が創り出しているということがよく分かりました。

意識が変わるとすべてが変わります。
理想の自己像を心の中に置くと、
これまで日常生活の中で“めんどくさいな”と感じでできなかったこと、
心の中の壁のようなものが、楽に乗り越えられるのです。

「理想とする自分だったらこうするだろうな」
ということが当たり前の基準になれば、
行動、立ち居振る舞い、日常に於ける物事の優先順位、
ありとあらゆるものが変わってきます。


気がついたのは深いものですが、実にシンプルなことです。
今はリオオリンピックの真っ最中、
オリンピックを目指すアスリートを例にしてみましょう。

才能はあっても練習嫌いの選手がオリンピック出場を夢見たとします。
その選手の夢がもし叶ってオリンピックに出られたとしたら、
きっとその時は、苦しい練習にも耐えうる心を持っているはずです。

その選手にとっての夢はオリンピック出場、
計画は、そこに至るまでの厳しい練習プログラムです。

そしてその夢があたかも実現したかのように振る舞うとは、
厳しい練習にも耐えうる、
今の自分とは違う理想の自己像をイメージするということです。

そしてそれが本当にイメージできたなら、
それまでとは異なり、
厳しい練習にも進んで取り組めるはずです。


これは自分の中で極めて大きな変革であり気づきです。
今年最大の収穫と言っても過言ではありません。

けれどなぜこんな簡単なことに気づかなかったのでしょう。
潜在意識の法則の中ではごく当たり前のことです。

自分にとっては今という時が最適だったのかもしれません。
またいろんな知識を入れ、経験を積んだがゆえ、
その『簡単な真理』が深く腑に落ちたのかもしれません。

今は理想の自己像を思い描き、
それとイメージの中で対話をしたり、
体を重ねて同一化することがさほど難しくなくできますが、
やはりそれには時が必要だったのでしょう。


理想の自己像と対話をし、同一化することは、
誰にとってもとても心地いいものです。

理想の自己に導かれ、ヒントをもらい、
明るい明日に向かって歩を進めていきましょう。

2016.8.14 Sunday  
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