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型を破る

最近このホームページにダウン症の書家金沢翔子さんのことを
何度か書いていますが、
今日は期せずしてその翔子さんの書を見、
お母様泰子さんとのトークショーを聴きに行くことができました。


念ずれば花開く、
今日は午前中知り合いの被爆者の老人宅に行き、
病院に行って留守をしておられるその方のパソコンを勝手に操作していました。

その方は目がお悪いので、
私の勧めで32インチの液晶テレビをディスプレイとして使っておられます。

用事を終え、ディスプレイを元のテレビが映る状態に戻したところ、
知り合いのTSS(テレビ新広島)アナウンサー三上絵里さんが
ニュースを読んでおられました。
彼女は私が毎週参加している積極人間の集いによく来られるのです。

その三上さんが読んでいたニュースが、
今日から市内の三越で金沢翔子さんの書展が開かれ、
午後にはトークショーが催されるというものでした。

私は普段テレビをまったく見ないのですが、
あまりのタイミングのよさにビックリです。


トークショーは午後2時からで、
会場には5分ほど前に着いたのですが、
百席近くある椅子は満席で、その周りには人垣が何重にもできています。

金沢翔子 金沢泰子

翔子さんは四日前の金曜日に転んで脚を怪我され、
今日は病院に行って手術をする日だったのですが、
広島で会があるからということで、
怪我を押して広島に来てくださいました。
今日は車椅子での登場です。

トークショーは、主に同じく書家であるお母様泰子さんのお話でしたが、
時折マイクを取って話をする翔子さんの言葉は会場を大いに沸かせました。

少したどたどしく、けれども懸命に話をする翔子さんの語り口は幼い子どもと同じです。
ただ心に感じたことを正直に表現する、
だから力があり、聞く人の心に響きます。

翔子は小学校は普通学級に入りました。
だから入学当初から何をやってもビリです。
運動会でもいつもビリでした。
ある時、走っている途中で転んでしまったお子さんがいたのですが、
翔子はそれを見て立ち止まり、その子を抱え上げ、
やっぱりその時も結局ビリでした。
けどビリでも前の子とすごく差が付くので、
いつも再びゴールテープを張ってもらい、
写真を見るとトップでゴールしているのと変わらないんです。


この優しい心がそのまま翔子さんの言葉や書に乗り、
聞く人、見る人の心を揺さぶるのでしょう。

翔子が生まれた時、心にあるのは絶望だけで、
日々泣いて過しました。
その泣きながら幼い翔子を育てたということに、
今とても翔子に対して申し訳ない気持ちを持っています。

けれど今はとても幸せです。
日本一幸せな母親だと感じています。
ですから障がいを持つ子どもさんがいて悩んでいる人、
被災して苦しんでいる人たちに、
生きてさえいれば必ず喜びの日が来るということを伝えたいんです。


泰子さんの柔和な微笑みを浮かべながら話される姿を見て、
その言葉は真実なのだと感じました。


トークショーの最後には、
湯崎広島県知事と筆の里として有名な熊野町の三村町長がステージに上がり、
熊野筆の毛筆と化粧筆を記念品として渡されました。

金沢翔子 金沢泰子 広島県知事 熊野町長

知事、町長お二人とも簡単な挨拶をされたのですが、
その言葉があまりにも型どおりで、そのこともすごく印象に残りました。

「本日わざわざ広島までお越しいただき、・・・
 また是非これを機会に、たびたびこちらにも足を運んで・・・」

自治体トップの方の挨拶は、たぶん全国どこに行ってもこんな感じなのでしょう。
それが悪いことだとは言いませんが、
無難であっても人の心に訴えるものがまったくありません。

今大きく変わろうとしている世の中において、
型にはまったこういったものは、
当たり障りがなくていいというメリット以上に、
改革していく力がないというデメリットが大きく露呈してきています。


一昨日の読売新聞に、
革新的な技術力で世界を席巻したソニーが、
今や他の国々の企業に遅れを取っているということについて書かれていて、
その中で、
『リスクを冒さないようにすることが最大のリスクである』
という言葉がありました。

社会が安定した成長を続けている時ならば、
過去の価値観を踏襲し、無難なことを継続して行うことに価値があったのでしょうが、
今は違います。
今はこれまでの型を破り、まったく新しいスタイルを、
社会にも、自分の中にも見つけ出していかなければならない時です。

だからこそ、真に自分の内を見つめている金沢翔子さんのような人物に、
世間の注目が集まるのだと思います。


書展を見終えて家に戻ると、
知り合いからハガキが届いていました。

筆まめなその方のハガキは、ハガキ道の様式に則り、
宛名は筆(筆ペン)、自分の住所は朱肉色のスタンプを使った住所印、
文面は青いカーボンを使った複写したもので、
これが最も理想的なものとして多くの人に親しまれています。

本文最初の一行は相手の名前と日付を書き、
二行目からは、きれいに整った言葉でお礼のメッセージが述べられています。

たぶん年に何百枚、何千枚とこういったハガキを書かれるのでしょう。
とても流麗な文章ですが、
書き慣れた文章のその中のたった一文字にも、
私の心が動くことはありませんでした。

「この人は心でハガキを書いていない。
 ただ頭の中にあるパターンに従って書いているだけだ」
私の内面がそう反応します。


今は私たちの周りに情報があふれています。
その多すぎる情報を処理するため、
ひとつひとつの物事の本質をじっくりと捉えることをせず、またはできず、
すべて過去自分が経験したもののパターンに当てはめ、
機械的に処理しようとしています。

そしてそのことを、ほとんどの人は無意識に行い、
自分が物事を深く考えず、
ただパターンに従って表面的な処理をしているだけだということに
気がついていないのです。

これは今価値観が大きく変わろうとしている時において、
大変危険です。

入ってくる情報を遮断する、ものや囚われを手放す、
自然や素直な子どもたちを見つめる、・・・
真に価値ある自分の内面を探る手段を見つけ、実践してください。


リスクを冒さなければ新しいものは手に入りません。
また、真の自分を見つめることはできません。




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