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言葉の限界<7>

言葉を厳密に定義するのは難しいものです。
言葉は文字というデジタルの記号を使って表しますが、
概念という抽象的なものは、
言葉を含めたひとつの形として表現することは本来不可能です。

また相対的なものは、
見る角度によって大きく様相を変えていきますので、
ひとつのことを場合によっては正反対に表現することすらあります。


だからと言っては何ですが、
このホームページの中の文章も、
なるべく言葉を厳密に使うようには心がけてはいるものの、
ところによっては矛盾したことも多々書いています。

「善悪というものは存在しない」と書きながらも、
「・・・ するのがいいでしょう」などと書いているところがあるはずです。

「真理は言葉で表現することができない」と書きながら、
「・・・ は真理です」とよく書いています。

「考えるのではなく感じるのです」などと書きながら、
「・・・ について考えてみてください」と書くこともよくあります。

より言葉数を増やして表現すればより厳密に矛盾なく書けるのでしょうが、
毎回言葉の定義の解説を加えながら文章を書くことは無理ですし、
どんなに言葉を費やしても、100%正確に書くことは不可能です。


私たちは言葉(文字)というものの限界を知り、
それに絶対性を求めずに付き合うべきです。
   (どこかで「しなければならないことは何もない」と書きながらも、
    ここで「・・・べきです」と書いていますね)

それを絶対だと信じ切ってしまうことから間違いが生じ、
時には思考停止状態に陥ってしまうことがあります。
「お役所仕事」などはその典型ですね。

先月末にネットニュースでこんな記事を読みました。
asahi.com(朝日新聞社):蔵書9万冊、でも入館者1日12人だけ 都議会図書館

9万冊の蔵書がある東京都議会の図書館が、ほとんど利用されていない。昨年度の都議の利用は1日平均で2人に満たない。一般の人を入れても12人だ。貸し出しは759冊で、毎年1千冊以上の本を購入しても一般図書館の100分の1程度の水準。都議からも「広く開放するべきだ」との声が出るが、今のところ具体的な動きはない。

 東京・新宿の都議会棟2階にある図書館。575平方メートルの館内には本が整然と並び、村上春樹のベストセラー「1Q84」もある。雑誌約70種類の最新号もそろえてあるが、平日の午後も利用者はほとんどいない。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

ところが、都心の真ん中にあるこの施設が実際には満足に活用されていない。同法では議会図書館の利用者を制限していないが、都議会では規定で貸し出すのは都議、都議会会派職員、都職員らに限定。さらに本を庁外に持ち出せるのは都議だけで、一般向けには閲覧しか認めていない。都議会局は「議員の調査研究に役立てるのが図書館の目的のため、議員の利用を最優先にした」と説明する。

議会図書館は地方自治法で設置が義務づけられているそうですが、
「法律で示された文言を守る」ということが絶対となってしまい、
その根底にある
「都議会議員の活動を支援するのは、最終的には都民の利益のためである」
ということや費用対効果といったことは、
完全に思考の枠内から飛んで行ってしまっているのでしょう。


これは典型的なお役所仕事の一例ですが、
私たちはこれを他人事のように笑うことができるでしょうか。

どんな立派な人の書かれた書物や聖典と呼ばれるものでも、
そこに書かれているものは絶対ではありません。

それを自分の中に取り入れ、
自らの体験を通して己の知恵として昇華した時に初めて絶対となります。

どんな人でも心の中には少なからずとらわれや自己規制といったものがあります。
そしてそのとらわれや自己規制をより強固にするために
言葉を利用することがよくあります。

あなたが信条としている言葉はありますか。
もしあるのなら、その言葉の反対を常に意識することが大切です。
その言葉が素晴らしいものであればあるほど、
それに相対する価値やその根底に目を向けなくなってしまいます。

「・・・ してはダメだ」、「・・・ すべきである」、
この言葉は強い自己規制をさせると同時に
ひとつの方向に向けての求心力を持っています。
これがよくないとは言いませんが、
この言葉を使う時は、それが本当かどうか常に疑ってかかるべきでしょう。

なにか嫌なことがあった時、
「いや、これでよかったんだ ・・・」と自分で自分に
納得させようとすることがあります。

言葉は大きな力を持っていますので、
それでもって慰められ、前向きに考えられるキッカケにもなります。

けれどもこれは、自分の心の奥底からわき上がってくる
本当の感覚を得にくくするということにも繋がることを理解してください。


言葉はとても大きな力を持った極めて便利な道具ですので、
その言葉の特質を知ってうまく付き合っていくことが大切です。
くれぐれも言葉を絶対だとは思わないでください。

物理学における有名な原理に「不確定性原理」というものがあります。
  <不確定性原理 - Wikipedia>

これは、『すべての計測は、計測結果に必ず影響を与える』、というもので、
実験の計測者の条件が計測結果に影響を与えてしまうのですから、
どんな客観的と思われるものでも、
100%正確に計測することは不可能だということを示しています。

これは当然物理学だけではなく、言葉にも宗教にも芸術にも、
すべての分野に当てはまることであり、
どんなものでも人によって見え方、感じ方が異なってくるのです。

誰にとってもまったく同じように見えたり感じたりするものは存在しないのです。


これからの水の時代、陰の時代は、
絶対から相対へと価値観が移りゆく時代でもあります。

私たちは、言葉を含め多くのものを絶対であると信じ込まされてきました。
そこから脱却することも、アセンションへの大きな登竜門のひとつなのでしょう。

言葉も、絶対だと思い込んできた数々のものも、
水の上をぷかぷかと浮かんでいるような相対的なものなのです。

   



2011.1.4 Tuesday  
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