野呂山登山
瀬戸内海沿岸では神戸の六甲山に次ぐ二番目の高さ(839メートル)を誇る
野呂山は、その頂上から望む瀬戸内海の美しい景色でも有名です。

けれども私はこれまで一度も登ったことがなく、
今回は念願かなって初挑戦です。

いつものようにサイクリング&登山というけっこうな強行軍で、
なるべく朝早く起きて出発しようと考えていたのですが、
普段の明け方まで起きているとという生活習慣をすぐに変えることができず、
前の晩の深夜2時まで焼酎をロックでたしなみ、
朝8時40分出発というのんびりモードになってしまいました。 (^^ゞ

天気は良好、今日も日中は30度近くまで気温が上がることでしょう。

家から海田町を通って呉に向かう途中、
いつものように呉ポートピアパークで最初の休憩です。



ここまでちょうど一時間、持参のボトルの水をひと飲み、
ポートピアパークはいつもきれいな花で私を出迎えてくれます。



しばしの休息の後ふたたびペダルを踏み呉の市街地へ、
今日は海沿いの国道も強い向かい風が吹いておらず、
なかなか快適なサイクリングです。

呉の街に自転車で来るのは久しぶりですが、
ちょっと来ない間にとてつもなく大きな潜水艦が陸揚げされているのを発見し、
ちょっとビックリです。



「海上自衛隊呉史料館 - てつのくじら館」だそうです。
それにしてもデカイ・・・。



呉から野呂山のある川尻に行くには、
以前はよく車が大渋滞を起こす峠を越えなければならなかったのですが、
2002年に休山トンネルが開通し、
アクセスが飛躍的によくなりました。

とは言え、通るのは今回が初めてです。



全長1.7キロにも及ぶ長いトンネルですが、
最初から最後まで長〜い歩車道分離壁(長さ日本一!!)があり、
自動車の騒音、排気ガスをシャットアウトしてくれて、
自転車で走っていても快適そのものです。



呉から休山トンネルを通って矢賀、広と走っていきますが、
自転車を押して登らなければならないような坂はほとんどありません。

本当に休山トンネル、様々です。

呉から広までは以前仕事で来たことがあったのですが、
広より先、仁方、川尻は私にとって未知の領域です。

仁方を過ぎるとすごく立派な橋が見えてきました。
本土(!)と下蒲刈島を結ぶ有名な下蒲刈島大橋です。



この辺りはとてもきれいな島なみで、
その中に美しい吊り橋はよく映えています。

家を出てから約3時間、
なんとか野呂山のふもとである川尻に到着しました。



まずは頂上まで伸びている自動車道さざなみスカイラインに沿って登ります。
かなりの勾配ですので、ここは自転車を手で押しながらです。
真夏だったら汗が噴き出ていることでしょう。

のんびりと登っていると正午の時報が鳴り響きます。
さすがは田舎、かなり巨大な音量です。

右手に石鎚神社の分社を眺めると、すぐに登山道の標識が目に入りました。



ここをしばらく入ったところに自転車を置き、
いよいよ山登りのスタートです。



野呂山はとても有名な山ですので登山者が多いため、
登山道もよく整備されています。

山には登りにくい山、登りやすい山、いろいろありますが、
ここは空気が・・・、もっと端的に言えば“氣”がいいですね。
踏み出す一歩一歩の足取りがとても軽やかです。

登りはじめてすぐのところでは何かの花が咲いているのでしょうか、
とても甘〜い香が漂っていました。

登っている途中、いろんなところからふもとの景色、瀬戸内海を眺めることができます。



少しずつ小さくなっていくふもとの町を眺めるのは楽しいものです。

アスファルト舗装の道が知らず知らずのうちに石段へと変わっていきます。



登山の道中で耳にする沢音は心地いいものです。
そしてその水で喉を潤すと暑さ、疲れも吹っ飛んでしまいます。



ご親切にコップまで用意してくれています。



自然の水、しかもその山の水をその場で飲む、
これに勝るものはありません。
野呂山の水はとても清らかで美味しかったです。

セミの抜け殻が落ちていたので写真を撮ろうとしたら、
その横にもう一個落ちていました。



今年の夏は長かったので、ついこの間までセミの鳴き声を耳にしました。
今年のセミは普段の年よりも長寿だったのかな?

さらに登るとより瀬戸内の景色がよりハッキリと見えてきます。


ここらの島なみはなかなか風情がありますね。

野呂山の植物をパチパチ写真に収めました。
しばしお楽しみください。





















登山道の途中、少し左手に入ったところにある仏石を見に行ってきました。



これが仏様の横顔、かなり巨大です。
その表情はユーモラスというか、難しそうな顔をしておられるというか・・・、
とにかく手はしっかりと合わせておきました。

仏石の背後に周り、再び瀬戸内海をパチリです。



ホント〜に、ため息が出ますね。
広島に住んでいてよかったと思える瞬間です。

仏石の近くにはドングリが無数にころがっています。





木に生えているキノコを写真に収めていると、
すれ違った登山者の方が声をかけてくれました。



「この木は枯れているからキノコが生えるんですよ。
 キノコは枯れ木に生え、その菌で枯れ木を分解してくれるんです」
とのことです。

ありがとうございます。勉強になりました。
山で出会った人は親切な人が多く、
フレンドリーにいろんなことを教えてくださることがよくあり、
そんなことも山登りの楽しみのひとつなのです。







さっきの登山者の方が
「8合目の標識の根本に植物の名前が書かれた札があり、
 その辺り一帯に、その珍しい花が咲いていますよ」
と教えてくださいましたが、確かにありました。
札が。



けれどもその札が示す植物がどれなのか分かりません・・・。
申し訳ございません。





もう目的地まであと一息、
ちょっとしたベンチがあり休憩です。



午後の日差しを浴びる瀬戸内海、
もう言葉はいらないですね!!

ラストスパートで展望台に到着しました。



ここまで車で来られるようで、駐車場、レストハウスもあります。







いかがですか?
ただただ素晴らしい・・・まったくもって感無量です。
ここまで自転車3時間、登山2時間半、
エネルギーを使い果たすほどにがんばってきた甲斐がありました。

この美しい頂上からの眺め、
自分の足で登り、そして見るのはまた格別です。

最高のロケーションの中、充実した達成感と、
帰宅して風呂上がりに飲むビール・・・、
やっぱり山は最高ですね。

展望台から弘法寺の方に向かって歩いていきました。



野呂山山頂一帯は広い範囲にいろんな施設や見所があるようですが、
今日家を出発した時間が遅く、
もうすでに時刻は2時を大きく回っていますので、
あまりゆっくりと見て回る時間的余裕がありません。
また近いうちに再度野呂山登山にチャレンジしたいです。

まったく山頂付近の地理も分からずあてどなく歩いたのですが、
たまたま偶然弘法寺の手前、滝行で有名な高野山真言宗の阿闍梨
柚原康峰(ゆはらこうほう)和尚の地蔵堂を見つけ、
そこの外壁にコールタールを塗る作業をしておられる和尚がおられたので
声をかけさせていただきました。



柚原和尚は今年の4月、積極人間の集いでスピーカーとしてご参加いただき、
実業家から転向し出家した経緯、厳しい滝行について等
楽しいお話しを会とその後の喫茶店で聴かせていただきました。

そのお話しがとても心に残ったので、私はすぐにお礼状に
空海の建立した東寺の大日如来像の前で体験した不思議な出来事を綴った
母の愛を添えてお送りしていました。

積極人間の集いの参加者からはお礼状が何通も届いていたそうですが、
私のことも「母の愛」で強く印象に残っていたとのことで、
ありがたい限りです。

地蔵堂の中にお招きいただき、
美味しいコーヒーやお茶をご馳走になりました。
山水で入れてくださった心づくしの飲み物は、疲れた体に染み渡ります。

たまたまその時にご一緒だった
柚原和尚ともう40年のお付き合いだといわける山下さんとともに三人で
一時間ちょっとの間、話に花が咲きました。



お茶請けに・・・と私が出した炒り発芽玄米が好評で、
私が発芽玄米のパワーについて話をするととても興味がおありのようでした。

「これは修行をする時にピッタリです!」
ここまで言っていただけましたので、
その日携帯用の容器に入れていた
炒り発芽玄米を容器ごとプレゼントさせていただきました。

そのお礼にとくださったのが高野山特製のお茶の葉です。
口当たりがとてもいい美味しいお茶でした。



是非近いうちにお仲間と泊まりがけで来てくださいとのことでしたので、
飲食物(お酒とおつまみ)持参でお伺いいたします。

その時に鍋と発芽玄米も持っていき、
その場で作り方を実演いたします。

話が長くなって、地蔵堂を後にしたのが午後4時、
これから下山し、約50キロ近い道のりをママチャリを駆って帰るのかと思うと
少し気が重くなりますが、
残りのパワーを振り絞り、少し早足で帰路に着きました。

下山は休憩することなく約1時間、
ふもとに着いた時はまだ明るく一安心です。



登山道の入り口に立てかけておいた自転車がそのままありました。



山道は、登りと下りでまったく景色が違って見えるものです。
「本当にこの道で合っているのだろうか・・・?」
下山時はいつもこんな不安が頭をよぎります。

帰りは来た道をそのまま逆に戻っていきます。
川尻から仁方、広、阿賀を抜け、休山トンネルの向こうの呉市市街地に出た頃には、
午後6時をまわり、辺りはすっかり暗くなっていました。

呉から家の近くの宇品港まで自転車とともにフェリーに乗ろうかと思いましたが、
めんどくさいのとまだ多少パワーが残っているようなので、
そのまま走って帰ることにしました。

帰り道はさすがに脚の筋肉に疲れを感じます。
しかしそれにも関わらずペダルを踏む脚が軽快で、
自転車が路面の上を滑るように走っていきます。

これはなぜでしょうか??
今日は朝から固形物は炒り発芽玄米しか食べていません。
きっとそのパワーが湧き出てきたものと思われます。

ちょうど二年ほど前、
一日二食を炒り発芽玄米にしていた頃のパワフルさを思い出します。

発芽玄米恐るべしです!!

とは言うものの、外灯のない海沿いの国道を走り、
広島まであと一時間ほどの坂町まで行くとさすがに疲れを感じます。

大きなスーパーで休憩し、
ちょっとのんびり走りながら家にたどり着いたのが午後8時40分、
家を出てからちょうど丸半日後、
我ながらよくがんばったと思います。

今日はママチャリで100キロ近くを走り、野呂山に登り、
柚原和尚とお話しをさせていただいた超充実の一日でした。
しんどい思いをした方が、後々までいい思い出として残るものです。

家に帰ってしばし休憩をした後は、
お風呂に入り、ビールと焼酎ロックで乾杯です。

この美味しさ、とても言葉では表現できませんね〜!! (^-^)v

2007.10.06 Saturday


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