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食品30品目を考える
「食品30品目」というと誰しもがすぐに
旧厚生省が提唱していた「1日30品目の食品を食べよう」という
スローガンを思い浮かべるほど、
このコピーは私たちの頭の中にしっかりと定着しています。
けれどもこのスローガンは、
1985年に旧厚生省の「健康づくりのための食生活指針」として
出されたものの、
その後2000年に改訂された「食生活指針」では、
「食品30品目」という項目は削除されています。
このことはまだご存じない方が多いのではないでしょうか、
私の周りでも
「今日は何種類の食品を摂ったかな・・・」
と指折り数えておられる方がたまに見受けられます。
「たくさんの食品からバランスの取れた食生活を」、
これは一見響きのよい言葉ではありますが、
必ずしも真理ではないのではないか、
また、多くの食品点数を摂ることよりも
もっと大切に考えなければならないことがあるのではないか、
最近そんなことを強く感じるようになりました。
小野春子さんの三点セットに刺激を受け、
この3月から果物、生野菜中心のローフード生活に入りました。
ローフード、<2>、<3>
完璧に実行している訳ではないのですが、
朝は果物、野菜ジュース、
昼は普通の食事、ただし肉は摂りません。
夜は野菜ジュースに生野菜、豆腐(ネギ、ショウガたっぷりの冷や奴)
といったようなパターンの食生活を続けています。
一日に摂る食品の数は、とても30品目には及びません。
普通の日本人の食生活と比べると、
かなり粗食の部類に属するでしょう。
けれども体調は元気満点バッチリです。
3月からの5ヶ月間で体重は7キロ減りました。
先日三年ぶりに献血をし、血液検査をしてもらいました。
送られてきた血液データを見ると、
血液の濃さを表わす平均赤血球容積が、
3〜5年前に検査した過去四回のデータと比べて15%以上も上昇し、
コレステロールの値も下がっています。
長年三点セットを自ら実践し、多くの人にそれを勧めることによって
数々の難病を癒してこられた小野春子さんご自身も、
日々摂取される野菜や海草の種類は多いものの、
たぶん三十品目には満たないでしょう。
また肉・魚・乳製品はほとんどまったく摂られることが無く、
現代栄養学から見ると、
とてもバランスの取れた食生活とはいえない状態です。
現在、食生活が原因で体調を崩し、
生活習慣病等の病にかかる人の多くが過食によるものであることを考えれば、
なるべく多品目の食品を摂ることを考え、
過食、美食に走ってしまうのは、
逆に弊害を起こす面もあるのではないかと思われます。
江戸時代の有名な観相家(人相占い)水野南北は、
その完璧とまで言われた的中率の高さで高い評価を得ていました。
彼が唱えた開運の方法が「節食開運説」、
食事の量を少なく控え、規則正しい食生活をというものです。
<水野南北>
水野南北は若い頃放蕩し、牢に入れられ、
そこで娑婆の人間と囚人の人相の違いを知り、
そこから人相に関心を持つようになりました。
出獄後、自分の人相を易者にみてもらったところ、
「険難の相あり、寿命は後一年、それを避けるには出家するしかない」
と言われ、寺に行くと住職から
「一年間麦と大豆だけの生活をしたら入門を許可する」
との約束を取り交わし、見事それを実践し、
一年後に同じ易者に再び人相をみてもらったところ、
見事険難の相が消え、とても立派な相になっていることに驚嘆されたそうです。
人間の一生の吉凶は、皆ただその人の飲食による。
恐るべきは飲食である。
つつしむべきは飲食である。
飲食が分限(もちまえ)より少ない人は、
人相が悪くても吉であり、相応の福分(しあわせ)を得、
長生きし晩年幸福である。
飲食が分限より多い人は、
たとえ人相がよくても何事も順調に行かず、
手遅ればかりで生涯気苦労がたえず、
晩年不仕合わせ(不幸せ)である。
「食はその人の運命を左右する」、
私自身、食を慎む生活を続け、
水野南北のこの言葉の重みがより深く理解できるようになりました。
食べるものを選ぶ際、何を食べるかということと同時に、
どういったものを、
どういった状態で食べるのかということがとても大切です。
私はインドに行き、日本の食卓に並ぶ食品と、
インドで日々口にする食品の、
食品自体の持つエネルギーに大きな違いがあることを体でハッキリと感じました。
<食は命の原点>
あまり無農薬。有機栽培といったことにこだわりすぎるのもいやですが、
残念ながらスーパーに並んでいる食品類は、
美麗に包装されてはいるものの、
本来食の持つ生命エネルギーが欠乏しているものが多いのが現状です。
なるべく加工食品、添加物の多い食品は避ける、
味噌、醤油などの植物性発酵食品は昔ながらの加工方法を守ったいい物を、
野菜中心、今の私は、その野菜を酵素の生きたロー(生)の状態で食べるようにしています。
最後に、食品のバランスというのは、
その食品をすべて丸ごと食べるのか、
部分的にしか食べないのかで大きく異なってくるということを述べたいと思います。
ハイブリッドの効能<3>にも書いたように、
野菜、果物の多くは、普通捨ててしまうことの多い皮、皮と実の間に
栄養(生命エネルギー)が濃縮して存在します。
魚でも、身、骨、頭、皮、内臓、すべての部位で役割が違うように、
私たちが口にし、体の中に入った時の栄養の働きもまったく違うものです。
魚を切り身、刺身で食べるのと、
めざしや小魚のように丸ごとすべてを食べるのとでは、
それ自体でバランスが大きく異なります。
ある食品の特定部位だけ取り、
そういったものをたくさんの種類集めるよりも、
ひとつの食品を全体丸ごと食べる方がバランスが取れるというのが、
自然の理だと思います。
大切なのは野菜でも果物でも、また魚でも、
いかに全体を食べられるように調理するか、また食べるかということです。
私は若い頃から「出されたものは残さずいただく」というのをモットーとしていて、
サンマは頭から尻尾まで丸ごといただきます。
野菜はなるべく皮のまま食べ、根っこや芯の部分も極力食べられるように工夫します。
ブドウは当然皮ごと、さすがにミカンは皮をむきますが、
中の袋はそのままで、白い筋のような繊維はほとんど取り除かずに
一緒に口の中に入れてしまいます。
これは全体食で栄養のバランスをということとともに、
私なりの食べ物の命に対する感謝の表現です。
2009.9.28 Monday
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