しあわせの青い鳥通信
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父がくれた言葉


 私の父は昭和9年生れの74歳です。広島県安芸高田市向原町の農家に生まれ、7人兄弟の下から2番目で、かなりの「がんぼ」(広島弁でやんちゃなという意味)だったようです。                                
 農家の四男ですから、地元では働き口がなく、中学卒業後、和菓子屋さんへ丁稚奉公し、結婚を機に現在住んでいる呉市広町へ移り、親戚の家の一部を借りて、大衆食堂を始めます。
広町は呉市街地から山一つへだてた呉市の東部に位置し、先の大戦では海軍の広航空しょうが置かれ、現在も民需へ転換された多くの工場があり、そこへお勤めの工員さんが主なお客様でした。
 私の幼少時代は、店の奥の一角が住まいを兼ねており、3畳か4畳くらいのスペースに親子3人が暮らし、余りに狭いので部屋を上下2段に仕切って住んでいた記憶があります。部屋にはドアーもなく入口にカーテンがあるだけでしたが、狭いとか不自由といった記憶はありません。
 父は廻りがあきれるほどの働き者で、365日正月もお盆もやすむことなく朝早くから夜遅くまで働いていました。今でこそ正月に営業する飲食店は珍しくなくなりましが、昭和40年頃に正月から営業している店はほとんどなく、お客様の信頼も得て繁盛していたようです。
 その後、常連のお客様からお弁当を頼まれたり、工場の機械やプラントの修理で遠方からいらっしゃったお客様から泊まるところを紹介してくれと頼まれたのが現在の給食弁当「冨士屋」や広ステーションホテルにつながって行きます。
 私が一度父に何故旅館を始めたの?と聞いたところ、「寝ていてもお金儲けが出来るから。」と言ったことが印象に残っています。 また、私が仕事がしんどいとか疲れたとかと弱音を吐くと、「しっかりせい。仕事と思うな。ゴルフと思え。」と檄をとばしって下さいました。
 私はと言えば、つい最近まで父の「仕事と思うな、ゴルフと思え。」と言う言葉の意味がまったくわかりませんでした。 何故仕事がゴルフ(楽しみ)なのか、何故、日々たんたんと仕事ができるのか、旅行に行ったり、映画を観たり、本当のゴルフをしたり、もっと人並みに楽しんだらいいのにと思っていました。 トイレ掃除と複写ハガキを続けていく中でやっと、「仕事と思うな、ゴルフと思え。」という父の心境が多少は理解が出来るようになりました。
 今日も父は、私より早く起きて弁当工場で仕事をしております。 仕事をゴルフ(楽しみ)と感じることのできる父を尊敬しておりますし、私も身を持って子供たちに大切なことを伝えられる父になりたいと思います。 偉大な父を持った私は幸せです。 そんな父に感謝するとともに、一日でも長く元気でいて欲しいと願うばかりです。



価値を発見する楽しみ


 トイレ掃除のおかげか、複写はがきの効用か以前と比べて思考パターンが変わってきたと思います。例えば、今年に入って愛犬のサクラの散歩をすることが多くなりました。以前の私なら「犬の散歩」は暇な時にやること、価値の少ないことと決めつけて、めったに散歩することはありませんでした。
  少々忙しい私にとって夕方の4時~5時の1時間は貴重な時間です。それでも自分のやりたい事を後廻しにしてでもなるだけ散歩をするのは、①サクラが私にとって癒しを与えてくれる大切な役割をもった家族の一員であること、②私たち家族の都合で昼間は家に一人で留守番をさせていること、③愛する妻のお役に立てること、④散歩の1時間が私にとって気分転換になっていること、⑤普段の運動不足を多少なりとも解消できること、⑥近くにお住まいの愛犬家の方々と友だちになれることなど、「犬の散歩」にも6つの価値や意味を見い出すことができるようになったからです。
 また、広島に出かける時はなるべく電車やバスなどの公共交通機関を使うようにしています。電車やバスを利用するということにも、①乗車中は本を読むのに最適な時間と場所であること、②二酸化炭素の一人当りの排出量が少なくエコに貢献できること、③公共交通機関を利用することでその会社の経営を支えることができること、④居眠りしたり、リラックスすることができるなど4つの価値を見出すことができます。
 更に、一見価値がない、あるいは価値が小さいと思われるものの中にも実は大切な価値があることに気付かされます。例えば、病気やけがなどの身体的ハンディキャップです。両足義足の島袋 勉さんのように事故で両足を失うということは、無駄なもの、不必要なものと考えがちですが、見方を変えると「両足がないという身体的ハンディキャップ」には、島袋さんの内面的成長を促すという大切な価値や意味があったと考えることもできます。
 また、同様にソプラノ歌手の村上彩子さんの場合も「6度の芸大受験失敗」という事実が彼女の内面的成長を促し、彼女のセールスポイントにもなっています。
 彼女は今年の8月に鹿児島の知覧で、来年の8月には広島で平和コンサートを開催する予定です。歌を通して平和の大切さを訴えていこうということですが、先の大戦中では広島や呉はもとより全国各地で多くの方々がお亡くなりになりました。その方々の死という過去は変えることはできませんが、戦争の悲惨さを伝えることにより、今の平和を一日でも長く継続し、世界へ拡げることができれば、「多くの方々の死」が平和への土台となったという、大きな価値あるものとなるかもしれません。亡くなった方々の死やご家族の悲しみが無駄になるかならないかは、これからの私たちの行動にかかっているのかもしれません。
 多くの事に価値や意味を見い出すことのできる私はちょっとだけ幸せです。

 ありがとうございます。    

 佐々木 一幸 拝

     呉掃除に学ぶ会

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