ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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ヨガナンダ



心の灯

スピリチュアルの世界を志す人間にとって、
何よりも嬉しいことは、
自らの心の動きを見て、そこに少しでも成長を感じられることです。

心の動きというものは、
湧き上がってくる感情を見るとよく分かります。

日常の中でいろんな心の動きがありますが、
自分にとって肯定的なこと、嬉しいことが起こった時は、
比較的感情を抑え、冷静、理論的に行動することができます。
けれども否定的なこと、気分を害するようなことが起こった時は、
咄嗟に感情が湧き上がり、
その感情の命ずるままに行動してしまいがちです。

そういった点で、自らの心というものは、
物事がすべて順調にいっている時ではなく、
逆境の時、不安や恐怖、怒りがわき上がってきた時ほどよく見えてきます。


『逆境が人を成長させる』とよく言われますが、
それは自らの心を深く見つめ、
そこから何らかの解決策を見つけ出さなければならない状況に置かれるからです。

とは言うものの、逆境ばかりの人生では心が萎え、病んでしまいます。
天気も晴れの日があれば曇りや雨の日もあり、
人生もまた、順調な時と逆境の時のバランスが大切です。

前世療法で、現在の肉体に入る前の記憶を持つ人たちの話によると、
今世どんな人生を過ごすかは、
自らの意志で選択をして生まれてきているそうです。

そして重い障害を持ったりした過酷な人生を選んでいる人(魂)は、
それだけそこで多くのものを学びたい、体験したいという強い意志を持ち、
そういう人(魂)たちのことを、
あの世の世界では、『勇気あるチャレンジャー』と呼ぶのだそうです。

もちろんその論を正しいものかどうか検証する術はありませんが、
人生は自らの意志で選んでいると考えた方が、
様々な心の世界の法則が容易に理解できるように感じます。

植物に例えるなら、
順調な時は太陽の日を浴びて、すくすくと茎を伸ばし、葉を茂らす時、
そして逆境の時は、じっと耐え、
目に見えない地中に根っこを生やす時だと言えるでしょう。


最近強く思うことがあります。
それは『心の灯(ともしび)』ということです。

心の灯というと、普通は暗い思いの中にあるほのかな希望という
感じの意味合いで使われることが多いのですが、
今感じているのはそうではなく、
心の中を照らし、しっかりとその姿を見せてくれる灯りという意味です。

つまり不快なことがあった時ほど、
心の中の灯りが灯されたように中の様相がよく分かるので、
それが心の灯と感じるのです。
そしてそれは希望にも通じることであります。


普段は直視することのない、暗くてよく見えない心の中が、
何か大きな出来事があれば、
灯りが灯され、よく見えるようになります。

それが先に述べたように不快な時の方がよく見えるものですが、
人によっては嬉しい時でも
自らの心の動きを深く見るキッカケにできる人もおられるかもしれません。

また心の中に灯りが灯されても、
心が大きく動揺してしまっては、
カメラの被写体がぶれるのと同様、
ハッキリとその姿を捉えることはできません。

意識の表面に感情は湧き上がっても、
その奥は冷静でなくてはなりません。

そしてその湧き上がってきた感情を、
正しい目で見つめなければなりません。
その場しのぎの言い訳や誤魔化し、
または問題を回避しよう、覆い隠してしまおうという思いがあっては、
目が曇ってしまい、心の動きはぼやけたようにしか見えないのです。


前項「瞑想」に書いたように、
久し振りに瞑想を再度習慣化するようになって、
心の中心軸が以前よりもより強固になったことを知りました。

その軸を基に心の動きを冷静に捉えられるようになったので、
その結果として、様々な感情の動きを『心の灯り』として、
より深く心を見つめる足がかりにできるようになったのだと感じます。


これはそうなろうと思ってなったことではなく、
自分にとっては、このたびの瞑想の再開によって、
ひとつのステップを踏むことができました。

瞑想は心を無にし、
今この時、この場所に意識を集中します。

今この時という最短の時間、
この場所という最小の空間、
この限りなく微少な時空の中に、宇宙、時空の無限の叡智が詰まっている、
それを瞑想によって理屈抜きに感じ、
そしてその無限の叡智のある場所こそが、
自らの心の中心軸ともなるのです。


親の豊かな愛情を受けて育った人は、
心にゆとりがあるとよく言われますが、
その心のゆとりというのものも、
確固たる心の中心軸と共通するのではないかと感じます。
それは安心感、安定感といったものでもあります。

また中心軸をぶれないものとするためには、
回りからの干渉に影響を受けないようにしなければなりません。
これはアドラー心理学の求めている、
<課題の分離、他人の課題には干渉しない>
<承認欲求の否定、他人の評価を気にしない>
<認知論、自らの作った主観世界の中で生きている>
<目的論、自らが選んだ将来の目的に意識をフォーカスする>
という原則ともマッチします。

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辛いことこそ『心の灯』、そう感じられること、
それ自体が心の中を明るく灯す灯です。

本当は辛すぎてくじけることもたびたびですが、
今それを灯にできなくても、
いつかきっと時が来ると灯になれると思うだけでも大きな希望です。

『人生に無駄はない』、『艱難辛苦汝(なんじ)を玉にす』、
それを心に置き、ほんの少しずつでもそれをより深く得心できるよう
歩んでいきたいものです。

2016.10.18 Tuesday  
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