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ヨガナンダ



道筋<3>

この世は相対の世界、表があれば裏があります。

宗教の特質のひとつが求心性の強さです。
人をひとつの方向に強く導くことができ、
人生の道から遠く離れ苦しんでいる人に対しても、
救いを与えることができます。

また命懸けでその道を求めれば、それに応えることができ、
自らの欲望を滅し、真理を追い求める生き方をしている素晴らしい宗教家を、
私は何人も知っています。

地球は、その内部に向かって強い引力(求心力)が働くがゆえ、
私たちは地表で生活を営むことが可能です。
けれどもその引力の力があるがため、
この引力圏内から脱出するには、
ロケットに強力な推進力を与えなければなりません。

求心力のあるものから離れるには力がいり、また恐怖です。
例えば、カルトと呼ばれる統一教会を信仰し、
教組の指示によって相手を与えられ、合同結婚式で婚姻の契りを結び、
その後子どもまでできてしまったら、
その後この組織から離れることは困難です。

万が一、教義や組織に疑問が生じたり、
他の教えにより魅力を感じるようになったとしても、
そこから離れるということは、自分のそれまでの人生を否定することになり、
大きな勇気が必要です。

これは特別極端な話かもしれませんが、
求心力の強い宗教には、大なり小なり、
こういった傾向が見られるのは事実です。


宗教は、そこで説かれている教義を絶対として人を導きます。
それが強い求心力の生まれる元です。

そこで「こうするのがいいことだ」と説くことは、
「こうしないのは悪いことだ」と説いているのと同じことであり、
一歩間違えば、それは脅しにもつながりかねません。

日本では伝統的に、
死者はほとんどの場合仏式で弔われます。
普段から信仰心の薄い人でも、お坊さんに読経してもらい、
花やお線香を手向け、墓を造って埋葬すれば、
迷わず成仏できると信じ、安心感を得ることができます。

これは裏を返せば、死者はそのように手厚く葬らなければ成仏することができず、
あの世に行っても苦しい状態になるのだということを、
強く意識付けていることに他なりません。

誰がこのように死者に対して手間とお金をかけて葬らなければ、
いい状態にはならないと説いたのでしょうか。
お釈迦様でないことは間違いありません。

仏教の生まれたインドでは、墓というものはほとんど大切にされていません。
インドのすべての紙幣に顔が描かれている、
あのインド最大の英雄であるマハトマ・ガンディーでさえ、
まともなお墓が建てられていませんでした。
  (ですから、私を南インド導いてくれた石谷政雄上人が、
   マドライにガンディー翁のお墓を建立しました)

聖人が教祖となり、教えを説き、それを組織的に受け継ぐようになると、
自然とその組織を守り、維持し、より大きくしようとする力が働きます。
それが求心力となり、心の持ち方という範疇を超え、
形としての『善なる道』を説くようになってくるのです。

これは物質を介して生命を維持している三次元世界では当然の流れであり、
私たちはこのことをよく心得ておく必要があります。


そして今時代は物質中心の陽の時代から、
精神性を重視する陰の時代へと変わりつつあります。

宗教の持つ強い求心性が崩れ、
葬儀でも無宗教で行うものが増え、
散骨し、お墓を建てない人が多くなってきているというのも、
確実に大きな時代の流れを反映したものです。


表があれば裏があり、
物事には善悪どちらにもなりかねない側面があるというのは、
宗教に限ったことではなく、
今広がろうとしているスピリチュアルムーブメントの世界も同様です。

これからの時代の理である水の理を反映したスピリチュアルな世界は、
自由であり、求心力とは逆の開放感があり、
一見ものすごく素晴らしいもののように感じますが、
自由には責任が伴い、自らの正しい判断力が求められます。

スピリチュアルな世界には、その世界にしかないいい面と同時に危うさがあり、
宗教とスピリチュアル、
どちらがよくてどちらが悪いと決められるものではありません。

評価というものは、時代や地域、様々な状況によって異なり、
地球上で、日本が昼の時はアメリカは夜であり、
アメリカが昼の時は日本は夜となるように、
今これからは、求心力の強い宗教から、
より開放的なスピリチュアルムーブメントに日が当たろうとしている、
ただそれだけのことです。


相対の世界では、自分の外に絶対的なもの、
絶対的な善悪は存在せず、その価値はすべて自らが決定し、
自分とそのものとの関わりの中に価値が生まれてきます。

表大なれば裏大なり、光強ければ影もまた深し、
これが真理であり “まこと” です。


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2011.9.19 Monday  
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