ヨガナンダ 心の時代のパイオニア
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ヨガナンダ



新しい生き方<4>

これからの日本、これからの人類はどうなっていくのてしょう、
日々の変化の大きさに戸惑いつつ、
いよいよ私たちは決心しなければならない時が
刻一刻と近づいてきているのを感じます。

決心は自ら進んでするのか、
周りの力で無理矢理させられるのか、
選ぶべきはふたつにひとつです。


私たちが迎える短期的な未来は混迷ですが、
ほんの少し長い目で見れば、
そこにあるのは明るい輝きに満ちたまったく新しい世界です。

私たち人類は、さなぎから蝶へと大きく形態変化を遂げようとしています。
この流れは誰にも止めることはできません。

さなぎの時には葉っぱの上を自由に動き回れていましたが、
羽化を迎えた時はじっと耐え、
変化の時が通り過ぎるのを待たなければなりません。

震災からの復興は、私たちに課せられた大きな課題です。
私の暮らす広島は、原爆が投下されて焼け野原になってから、
ほんの数十年で見事な復興を遂げ、立派な近代都市を築き上げました。

けれどもこのたびの震災で被災した町や地域が、
旧来からの価値観で示される経済的繁栄を、
震災以前の状態以上に盛り返すことは不可能です。

これは被災地域だけではなく、日本全体も同様です。
もう日本は震災以前のような豊かな状態を
取り戻すことはできないということを知るべきです。


どのようなことでもいい面と悪い面があります。
物質中心社会から精神文明への過渡的現象として、
人間の意識(マインド)をコントロールすることにより、
いかに物質的充足を手に入れるかという引き寄せの法則や
願望実現のテクニックというものが多くの人の関心を集めました。

このことによって精神の不思議さと偉大な力を知ることには意味がありますが、
今まで以上に物欲を刺激するという面では、
旧来の価値観を大きく抱えたままのものであるとも言えます。

だからこそこれまで人々の関心を大きく集めことができたのですが、
この2011年、震災を機に、
こういった物欲を刺激するものは、
ハッキリとマイナス面の方が大きくなったと断言することができます。
  (ですからまったく価値がないとは言いません)

もう時代は大きく変わりました。
マインドの力を駆使して物欲を満たすことが『スピリチュアルな世界』だと
勘違いしておられる方が多いようですが、
私たちに現在求められている変革とは、
そんな表面的で生やさしいものではありません。

どうか今という時代の求めていることを冷静な目で見つめ、
何をしなければならないのか、それを深く感じてください。
もう対処療法で間に合うような時期はとっくに過ぎ去ってしまいました。


植物を例にとってお話ししましょう。
これまでのようにひとつの方向に向かい、大きな環境の変化がなかった時代は、
なるべくたくさんの実りを手にするために、
いかに効率よく茎を伸ばし、大きく成長するかばかりに意識の力を向けてきました。

じっくりしっかりと根っこを張るよりも、
促成栽培で植物の背丈を大きくした方が、
楽に多くの収穫を得ることができたのです。

日本は江戸時代末期にペルーの来航によって無理矢理開国させられ、
太平洋戦争の敗戦と同時に、
それまで鬼畜米英だった価値観を西洋合理主義礼賛へと
瞬時に意識改革させられました。

私たち日本人は、二度の外圧による屈辱的な価値観の転換によって、
無意識的に我々の根底の思想を見つめることに対して
恐怖心を抱くようになったように感じます。

日本人の民族性とは何か、その伝統文化とは、
生きるとは、豊かさとは、そして幸せとは、・・・
こんなことを考えず、目をそらし、
ただ経済発展、利便性、快適性、効率性の向上がすべての幸せにつながると信じ、
遮二無二その目標に向かって進んできました。

これは植物に例えれば、根を大地に大きく張ることせず、
ただ無風状態であるのをいいことに、
茎ばかりを大きく伸ばした状態であるといえるでしょう。

今は時代の波という風が大きく吹き荒れ、
物質文明という方向に傾いていた茎を、
まったく逆の精神文明の方向へと180度転換させようとしています。

その時に茎ばかりが育ち、根っこの弱い植物はどうなるのでしょう。
大きく風が吹く環境の中で生き残るには、
まずは古い方向に傾き肥大化した茎をバッサリと手放し、
大急ぎで根っこに栄養を注ぎ、できる限りの力で大地をしっかりとつかみ、
その上で新しい方に向けて茎を少しずつ伸ばしていかなければなりません。


このたとえ話がお分かりでしょうか。
この植物の根っこ、大地に相当するのが、
前項でお話しした命の持つ本質の部分です。

私たち人間、すべての動物、植物、水も空気も石ころも、歴史も文明も、
この宇宙の森羅万象すべてのものが命を持っています。

本当は命の本質とは、
最も身近で最も簡単なものであるはずです。

ただ私たちの根源という故郷に帰るだけでのことです。


恐れを捨て、ただ命の根源を見つめていきましょう。

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2011.6.24 Friday  
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