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ヨガナンダ



命の重さ<4>

「命」にはいくつかの種類があり、
世界平和を願う時の尊ぶべき命と、
死刑制度を考える時の死刑囚の命とを、
自分の中では別の観点から捉えていたことに最近になって気がつきました。


人類はこれまで幾多の争いを繰り広げ、
尊いたくさんの命を奪ってきました。
この場合の命とは、肉体的な生命のことです。

特に戦争による死は天寿をまっとうした死と異なり、
その死に方はあまりにも悲惨です。

ここ広島では、原爆により14万人という多くの市民の命が奪われました。
その当時の地獄絵図さながらの様子は、
これまでいろんな人たちから聞かせていただきました。

手を前に垂らし、焼けただれはがれてしまった皮膚を指先からぶら下げ、
水を求めて止めどなくさまよう姿、
内臓や眼球が飛び出した状態で家族を探す人たち、
そんな情景が市内各所で見られたそうです。

その悲惨な光景を目の当たりにした被爆者の方たちが、
「とにかくこのような戦争は二度と起してはならない」
と語るのは、理論理屈を超えた人間の魂からの叫びでしょう。

被爆者の方たちのお話を聞くたびに、
「最も尊いものは命」というのは、
やはり人類に与えられた最も根源的な課題だと感じます。


それに対して死刑囚の命に対しては、
まったく別の見方をしている自分がいます。

死刑囚が死刑執行によって奪われるのは当然ながら肉体的な生命ですが、
人間には肉体としての命とは別に、
魂、霊魂といった永遠不滅の命が宿っています。

その永遠不滅の命は、誰がどんな手段を用いても奪うことはできないのですから、
彼らは肉体的な生命を一度リセットし、また時を経て、
新たな生命でもって人生をやり直す方がいいのではないかと感じるのです。

その理由として、彼らの人を殺めたという重大な罪に対して、
死刑という応報の罪で償わせてあげる方が、
彼らの運命にとってプラスになるのではと考えるからです。


この時空(宇宙)は、厳粛なる因果律によって支配されています。
因果律というよりは、最近は「引き寄せの法則」と言った方が分かりやすいでしょう。

人の思い、行為というものは、植物の種を蒔くのと同じです。
思い、行為という種を蒔いた結果として、
その実りが得られ、引き寄せられるのです。

種を蒔くのは土の中です。
目に見えない土の中に蒔くからこそ、植物は育ち、
一粒万倍となって返ってきます。
善行は人知れず行うから陰徳となります。

それとは逆に、日の当たる土の上に蒔いた種は、
実りをつけることはありません。
大っぴらにいいことをして、その時に評価を得ても、
それは一時のことにしかなりません。

いいことは人知れず、
悪いことは人に分かるようにやって、
目に見える形で罰を受ける方がいいのです。


死刑に相当する重大犯罪を犯した彼らには、
公の場で法律によってそれ相応の裁きを受け、
死を以て、その因果の果を引き受けた方が、
彼らの永遠の魂の歴史に禍根を残さないのではと考えます。

最も理想的なのは、彼らが心から反省し、
残りの人生で自らその罪を償うことでしょうが、
もし反省の心なく社会に復帰した場合、
彼らが行った悪行の因縁は、
死刑以上の恐ろしい形として彼らに降りかかってくるものと思われます。

非常にシビアな問題であり、
これはあくまでも私個人の考えです。


「最も尊いものは命」というのは間違いのない真理であっても、
その命というものをどういうふうに捉えるかによって、
考え方は大きく異なってくる場合があります。

これからはすべてのものに命を見いだす時代です。
命とは何なのか、それを尊ぶとはどういうことなのか、
そのことが私たち人類にとって大切なテーマとなってくるでしょう。


<参考>

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著者は2人を殺害して服役中の無期懲役囚。20年近くにわたる刑務所内での観察や「聴き取り」から、殺人を犯した者の大多数は犯行を悔いも反省もせず、更生は「夢のまた夢」と言い切る。罪と罰の均衡や遺族の応報感情を満たす面からも、死刑は必要と主張。終身刑については、ただでさえ反省しない受刑者には刑罰の効果がないなどとして反対する。死と向き合うことで反省する可能性もあるとし、「執行猶予付き死刑」の導入を提言する。

朝日新聞書評 2010年8月22日 より

2010.8.29 Sunday  
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