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生命システム

生命(いのち)とは何でしょうか。
また生命の持つ性質、特性とは・・・。

広い意味で捉えるならば、この「自然法則」で述べてきたことすべてが
生命の特質であり、生命システムそのものであると考えることができます。

今回はこれまでのまとめ的な意味を込めて、
生命というものについて考えてみたいと思います。


私たちの肉体は生命を持ち、それを維持しています。
そして私たちの細胞ひとつひとつ、髪の毛も爪も、心臓も脳も、
すべての身体の構成要素がまた生命を保ち、それぞれの役割を果たしているのです。

しかしその身体の構成要素どれひとつをとっても、
そのもの単独では生命を維持することはできません。
特殊な溶液に浸したり、冷凍保存をすれば、朽ちていくことを
防ぐことはできるかもしれませんが、元の生命力のある状態を長期間保つことは不可能です。

ひとつひとつの身体の構成要素というミクロ的生命は、
身体全体というマクロ的生命があってはじめて維持されるものであり、
身体の構成要素から見れば、身体全体というマクロ的生命は、
そのミクロ的生命を維持するための「生命システム」であると考えることができます。


この「生命システム」をもうひとつ大きなスケールで考えてみましょう。

人間は、この地球上に単独で存在することはできません。
動物と植物は、酸素と二酸化炭素を交換し合うことでお互いの生命を維持し、
壊すことのできない共生関係を築いています。

数え切れないほどの多様性を持つ動物、植物の世界、
しかし例え何百万種類もの動植物が存在していたとしても、
そのほんの一部でも絶滅、または絶滅の危機に瀕したならば、
他の動植物への影響は計り知れないものがあることはよく知られています。

地球上の生命体すべては、極めて複雑、微妙な関係性の上に
精妙なる「生命システム」を維持させているのです。


さらにもうひとつ上のスケールで見てみましょう。

地球上の動植物が生命を保つためには、
太陽からの恵み、月による潮の満ち引きが等天体の働きが必要不可欠です。

つまり太陽系すべての惑星、恒星の運行リズムは、
地球の生命体を維持するために、欠くことのできない「生命システム」だということです。

そしてその太陽系は、より大きな銀河系の一部としての属性を持ち、
その銀河系もまた同様な銀河が集まり銀河団というものを形成するといった具合に、
すべてはより大きな集団、集合体の中の関わりの中で
ミクロ(極小)からマクロ(極大)まで、お互い綿密で相互的な生命維持システムを
築き上げているのです。


この様に生命、生命システムというものを考えるためには、
その周りにある様々なものとの関わり、結びつきを無視することはできません。

しかし残念なことに、これまでの世界の価値観の中心であった西洋的、科学的思考は、
この生命、すべてのものとの関わりといったものを軽視し、
すべてを独立した「物」として捉え、その「部分」を深く探り、その「部分」の中に真理があり、
「全体」はあくまでも「部分」の集合物であるといった考え方のもと、
「部分」と「全体」のつながりを考えるということがほとんどなされませんでした。


西洋医学の分野で考えても、内科、外科、皮膚科、歯科、・・・そしてそれらが
またさらに細分化されていき、より狭い「部分」の追求はされても、
それらの関わりの中で身体全体の健康がどの様に維持されていくのか
といった統合的な医療については、ほんんど顧みられることがありませんでした。

しかし実際の人間の身体は、様々な器官が複雑に関連し合って機能しています。
「噛み合わせの驚異」でも書いたように、一本の歯の噛み合わせが頭痛、肩こりをはじめ
様々な不定愁訴の原因となりうることがあります。
痛みや症状の出ている身体の一部分だけを取り上げて診断、治療をすることは、
自ずから限界があるのです。

心と身体の関係も同様です。
メンタルケアー、メンタルヘルスという言葉、最近でこそよく耳にするようになりましたが、
元々西洋医学は、デカルトの二元論でも分かるように、
心と身体はまったく別の物であるという考えの基、
肉体の健康のための心のあり方について真剣に論じられることはありませんでした。

病院は怪我や病気を治すところ、肉体的な手当てをするところだから殺伐とした
雰囲気は当たり前といったのものがこれまでの常識だったのです。


「部分」重視の西洋的思考は、すべての分野に渡っています。

産業革命以後の急速な工業の発展で、我々は地球の浄化能力を遙かに超えた汚染物質を
大量に排出してきましたが、『生活の豊かさ』を求める人間の欲求は、
『地球環境との関わり』という重要な課題を黙殺し続けてきました。

効率化という名の下、様々な分野で機械化、画一化が進み、
昔からの伝統技術、文化は衰退の一途です。

『食の豊かさ』を求めるあまり、経済的に豊かな先進国では美食化、過食化が進み、
肥満や生活習慣病が蔓延し、その一方で貧しい発展途上国では、
飢餓による生命の効きに瀕している人たちが多数存在しています。

『物の豊かさ、利便性、効率性を追求していけば幸せになれる』といった価値観は、
物事のある限られた一面のみを捉えたもの(科学的思考)であり、
「生命システム」という大きな原理・原則に則っていないものであるが故、
その幸福感は一過性のものであり、永遠の真理とはなりえないのです。
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