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2018年4月13日 ・・・ 許すということ

今朝、地元広島の廿日市で14年前に起きた殺人事件の
犯人が逮捕されたというニュースが流れました。

< 廿日市女子高生殺害事件 男逮捕 >

04月13日 09時04分

14年前の平成16年、廿日市市で当時17歳の女子高校生が殺害された事件で、警察は別の暴行事件で事情を聴いていた山口県宇部市に住む35歳の男の指紋やDNA型が現場に残されていたものと一致したことなどから、事件に関わった疑いがあるとして殺人の疑いで逮捕しました。

廿日市女子高生殺害事件 男逮捕|NHK 広島のニュース


地元なので事件の起きた場所についてはよく分かります。
極楽寺山という山のふもとで、
海沿いの住宅が建ち並ぶ市街地を少し山手に入ったあたり、
畑がたくさんあるとてものどかなところです。


今から十年ほど前、
いつも参加している積極人間の集いで、
殺された北口聡美さん(当時17歳)のお父様で、
懸命に犯人捜しをしておられる北口忠さんのお話を聞きました。

その時のことは八年前、
「生命の重さ<3>」に少しだけ書きました。


毎週参加している積極人間の集いに、
数年前ゲストスピーカーとして、
突然自宅に侵入してきた暴漢によって娘さんを惨殺されたお父様が、
「今も犯人を捜しています。ご協力お願いします」
ということをお話しに来られました。

集いでは、スピーカーの方の話の後で、
参加者全員が一言ずつ感想を前に出て発表します。
みなそれぞれ同情や励ましの感想を述べた最後、
主催者である広島キリスト教会の植竹利侑牧師がこんな話をされました。

「愛というのは『許す』ということです。
 けれども、娘さんを殺した犯人に対して
 私たちが『許し』を与えることはできません。
 その犯人に許しを与えられるのは、
 被害者のご家族であるお父様だけです」

植竹先生は牧師であり、
長年教誨師(きょうかいし)として刑務所に赴き、
死刑囚を含む数多くの犯罪者の心に救いを与えてこられた方だからこそ
言える言葉です。



北口さんのお父様の、何としても犯人を見つけ出したいという真摯な思い、
その話を聞く参加者の暗い表情、
そして植竹牧師の柔和な表情と重い響きを持った一言、一言、
この時のことは、今も強く印象に残っています。

犯人が逮捕され、今のお父様はどのような思いなのでしょう。
喜び、安らぎ、そういった感情なのでしょうか。
または再び怒りが芽生え、葛藤しておられるのかもしれません。
いずれにせよ、その心情を他人が推し量ることはできません。

殺人事件の被害者家族にすら
「許しを与えてください」と静かに語ることのできる植竹牧師、
その言葉の裏に、どれだけ深い人生の年輪を刻んでこられたのでしょう。

「許し」という言葉を聞くたびに、
あの植竹牧師の深い言葉の響きを感じ、
人間にとって、許すということが
最も深い人生のテーマであるということを思います。

北口さんのお父様が、
あの時の植竹牧師の言葉をどのように捉えられたかは分かりません。
またその言葉を受け入れ、
犯人に対して許しの思いを持つべきだとも思いません。

ここでの「許し」とは、「赦し」と書くべきなのかもしれません。
深い、宗教的とも言える慈愛の思いは、
人間が持つ通常の感情の範囲を超えています。

ただ自分が望むのは、
北口さんに植竹牧師の言葉を心の中に留めていただき、
いつかそれを、北口さんの心の安らぎにしていただきたい、
それだけです。

  <広島キリスト教会>

広島キリスト教会 植竹利侑牧師と酒井伸雄

2018.4.13 Friday  
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